ある夏の怪談!

内野あきたけ

寸分の狂いも、一点の曇りも無い世界

 その時、悟一は生き霊の痛恨の一撃を、喰らわされた。
 どす黒い、狂気の腕が、業丸と混じり合いひび割れた。
「サイキックアタック」
 そのような声が、悟一の心に響いて、凄まじい精神低下の様を、感じた。
「嗚呼、これかあ……」
 悟一は、ふらふらと力無く千鳥足を繰り広げた後に倒れた。


どれ程、時間が流れても、悟一は立ち上がらなかった。
そしてまた、生き霊も、一歩たりとも動こうとはしなかった。


そして、数十秒後に、悟一はゆっくりと、目を開いた。
彼の脳裏には、以前に、仲間と語り合った会話が音楽のように流れていたのである。






《悪霊とであったら、やみくもに消滅させようとしないことだ。
彼らが、抱えている苦しみを尊重してやれよ。
悪霊そのものを消滅させようとする行動は、彼らのアイデンティティーを否定する行為なので、まずは苦しみを尊重することが大切だ。
そうして、尚且つ、光を与えてあげな。
有り余るほどの愛を注ぎな。
それは、何故か。
それは、暗闇でさ迷っている物は、自分の姿も見えない。
自分が苦しみであることに気づかない。
なので、光を与える事により、自分が悪霊で有ることに初めて気付んだよ。
この時、消滅させようとしてしまうと、全体を根本的に光で包んで、闇の存在に気付かなくなっちまうんだな。
だから、光を与える事により、自分の持っている闇と比べさせ、
闇という、己のアイデンティティーを壊すことへの抵抗を無くさせる。
これを、無理矢理に押し付けるのではなく、悪霊に考えさせ、自ら、抵抗を無くさせてから、光で包んでやるんだ。
これが、徐霊の極意ってとこだな。》






彼は、ハッと、また目を大きく開いたのである。

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