ある夏の怪談!

内野あきたけ

最終決戦へ 1

 もう十年以上も昔の出来事である。
 とにかく蒸し暑い夜だった。
 幼い頃の八雲悟一は、そこにいた。


 お堂の炎がゆらゆらと、怪奇を写し出している。そして線香の香りは彼の脈拍数を上昇させた。


 頭がクラクラする。天井には黒い化け物が恐ろしくペタペタとブラ下がっている。


 だが、幼い悟一はまるで恐怖しなかった。怖いものなど何も無い。あるのは怒りだ。


 麗之助の父である亜死をはじめ、永遠の命を与えられたモノ達がいつか死ぬ『本当の命』を求める戦い『霊界戦争』が始まろうとしていたのだった。


 事の始まりは、悟一の知る霊能力者がすべて尽く、あまりの恐怖で精神病を煩い、生かさず殺さずにまで追いやられる羽目になったと、聞かされた時であった。


 名の知れた霊能力者たちが尽く全滅……その非常な光景はスピリチュアル界に大きな衝撃を与える事となった。。


 一連の事件の犯人はおおよそ検討が着く。悪霊達だ。
 その霊力の尋常のなさ。


 殺される人間が出るのは時間の問題だと悟一は直感した。


 この時の彼は少なからず霊力もあり、風の噂で聞き付けた『霊界戦争』とやらが人間に危害を加えるのではないかと危惧した悟一は、即座に化け物たちの集うお堂へと駆けつけたのである。


 それが、悪夢の始まりだった。


 そのお堂は普段は滅多に使われることが無いわけであるので、化け物達が住み着くにはうってつけの秘境だ。


「もう戦うな」と、悟一はそこに住み着くモノ達に向かって声をあげた。と、その時。悟一の身体は空中に投げ出され、地面に叩き付けられた。


「……お前に何が出来る……何が分かるのか……俺たちは……止まらないであろう……くくくくく」

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