ある夏の怪談!

内野あきたけ

心霊パラダイス

 若者たちは完全にパニックに陥っていたのである。


 辺りを包み込む途方もない邪悪な妖気は、霊感の持たない人であっても、その存在が確実に理解できるものであった。


「物凄い臭いだな。極めて邪悪な負のエネルギーだ」


 恐怖におののく数人の若者と、霊感を極限まで開花させた彼ら三人がどう時刻に同じ心霊と会いまみえているという奇怪な状況が成立したという訳である。


 もぞもぞ…………もぞもぞ


 と得たいの知れない邪悪な心霊が姿を表す。


 そいつには、両手足と顔面のようなものがあったが、人ではない何かと言うこと、は必然的に一同は理解していたのである。


「邪悪だな」
麗之助はボソッと呟いた。


「ほうほう。どういう事だ?」
悟一が麗之助に聞く。


「普通に強いけど、俺たちからしたらザコだ」
「麗之助、お前どこからその自信が来るんだよ。まあ分からなくもないがな」


「寂滅為楽!!」
 悟一が呪文を唱える。


 奴は呪文を受けると、一歩後ろに下がった。


「ほうほうほう。面白い勝負になりそうだ」
 と、麗之助。


 すると、突然、奴は悟一の腕を掴んできた。
 なま暖かく、どす黒く、そして邪悪な感覚だった。


「来い!!」
 悟一が叫ぶ。


 奴は片一方の腕で彼を攻撃しようと試みた。
 だが、悟一は予め用意しておいた経本を振り上げる。


 寸分の差で悟一の攻撃が当たった。
 普通の人間なら、掴み掛かられた時点でアウトだろう。


 だが彼らは違った。
 平然と、悪霊との戦いを楽しむ事ができる心を持っていたのだった。


 奴は吹っ飛ばされた。


「やったか!悟一」
「いや、油断は対敵だ」





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