ある夏の怪談!

内野あきたけ

悪霊対魂

「三毒崩壊!」
 藤四郎が経本を振り上げる。


亜死は後ろに退け反った。
「ヤナギとは違ってこの手の呪文も効くから、正直ありがたいですね」


「図に乗るなよ」


奴の鋭い眼光が藤四郎に突き刺さる。
「殺してほしんじゃ無かったのか?」


「命を手に入れる為になぁ!」


 奴は再び、回し蹴りを放つ。
 だがしかし、藤四郎は左手で受け止める。
 一瞬、彼は顔をしかめる。


 それから足を一歩引いた。


「ふふふ」


 藤四郎の笑いは逆に体育館の静けさを際立たせた。


「これが本当の殺し合いですか。俺が習っている歴史の授業の戦争なんかより、断然!断然っん!ショボい!!」


 彼は驚くべきほどの勢いで叫んだ。


「強がりはそこまでにしておくんだな。綺麗に最期を飾って死ぬのと、戦争のように残酷で大量の死人が出るのとどちらも殆ど変わらんのだよ。判らぬか?殺し合いはショボかろうが残酷で凄惨だろうが、呪いだろうが、心筋梗塞だろうが、死は死その物なんだよぉ!!!!殺し合いの手段なんぞみんな同じ事だ!」


「了解。お前の望みを叶えてやりますよ」


突然、藤四郎は体育館の地面に座り込んだ。


「天使の価値観と煩悩破壊の業丸よ!その普遍的な慈悲と絶対的な平和により大いなる自己に力を」


 奴の鋭い爪が藤四郎の首筋を切り裂こうとしたその瞬間だった。


 ぐにゃっっと一気に空間が曲がった。


 そこに突如として現れたのは、黒々しい異彩の波動を放つ日本刀のようなモノだった。


 その物体は奴の攻撃を受け止めていた。


「見えますかね。これが俺のよく使う武器的な存在ですね。言ってみればなんでしょう。アニメや漫画でよくあるじゃないですか。そのキャラクター特有の武器ぃ?」


すると悟一が目を丸くした。


「業丸じゃねぇか!!」





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