ある夏の怪談!
「ヤナギ」の怪
決戦の場は田舎であった。悟一、麗之助、藤四郎の三人は新幹線で群馬県高崎市まで移動しできた。
東京からは二時間ほどで到着するのである。
藤四郎はキネシオロジーを使い、心霊の一人がいる場所を突き止めたのであった。
場所は藤四郎の親戚の寺だ。本堂に座布団を並べ、三人は作戦を練り始める。
内陣には輝かしい仏像や曼陀羅の数々と、その真ん中に不動明王が炎を背に立っている。
藤四郎は内陣に上がり、左右対称の二本あるロウソクに火を付けた。
「この内陣には得度式をした人でなければ入れないんですよ」
藤四郎が言った。
「なるほどね」
と、悟一。
「ところで悪霊の件なんだが、柳といったな」
麗之助の言葉に二人が振り向く。
「先ず最初に俺たちと戦う、記念すべき一体目の四大心霊って訳だな」
ほのかに笑みを浮かべながら悟一は声を発した。
「悟一先輩。なぜ奴らが、悪霊の中でも最も恐れられてきたか分かりますか?」
「そりゃあ、強いからだろう?」
「いえ、違います。頭がいいんですよ。まるで肉体を持っていた頃を覚えているかのように」
「親父は肉体を持っていた。普通は肉体が無い分、霊力だけで戦えたけどな」
麗之助が言う。
「亜死は殿堂入りの強さです。しかし、今度の悪霊はさらに強いですよ。柳という女の悪霊は一目見ただけで自分達の想像を絶します」
「一目見ただけで想像を絶する?どういう事だ?」
悟一が言った。
コン、コン コン、コン
扉を叩く音が聞こえた。本堂の扉だ。
三人は音のする方向に目を向ける。
女がいる。
髪が長く、浴衣を着た霊だ。
「奴か!」
麗之助が叫ぶ、
「(コン、コン)すみません。私達の噂話をしている人がいるのですが、目障りなので死んでほしいのですが?」
その瞬間、扉は開け放たれた。
「もう俺たちの事を嗅ぎ付けて来ましたか。おかしいですね、結界はちゃんと張ってあったはずなのに」
藤四郎は壁に掛けられていた木刀を握り、振り上げた。
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