ある夏の怪談!

内野あきたけ

『病棟にて』の怪②

「悟一くんのケータイ、電波が途切れた」


「まじか、どこら辺?」


「廃病棟、もう完璧な廃墟ね」


「連絡もつかないのか?」


「うん」


 麗之助と共に奴と戦っていた少女の名を柚華ゆずかと言った。


 彼女は悟一が中学の時のクラスメイトだ。


 悟一の生き霊である黒い影は、相討ちし、力無く地面に倒れている。


「まずいな。また再び、コイツが暴れでもしたら……いや、その前に悟一の安否を確認して早いところ手当てをしなくては」


 麗之助が言った。


 そして柚華は静かに


「探そうよ」


 と言う。


「ああ、こういう事を予想して、彼の携帯のGPSを起動させておいて正解だった。廃病棟付近だったな」


 こうして二人は、悟一を探し手当てをすることとなった。


 外はもう日が沈みかけていた。


 夜になれば悪霊たちの活動が活発になり、ウジャウジャと這い依ってくる悪霊らを一体づつ成仏するのは至難の技と言える。


 麗之助は経本を持って廃病院の入り口に立つ。


 嫌な風が吹き抜ける。


「……これは!」


「どうしたの?」


「驚くな、ここには霊がウジャウジャいるなんてそんなに生易しいモンじゃねぇ!半端じゃない妖気の数。そこらの心霊スポットなんかの比じゃねぇ」


 次の瞬間、悟一の生き霊は声をあげる。


「ひひひひっーーーーぁあああはっはっは。どうもおかしいとは思わないか?悟一!オマエは死ぬぜ、このバカものがぁ」


「貴様が呼び寄せたのか、悟一を殺すために、ウジャウジャと」


「ああ、その通りだ!」


「お前、その体でよく歩けたものだな。俺が今すぐぶっ潰してやろうか?」


「できるものならなぁ!」


 次の瞬間、麗之助は経本を構えた。


高雅こうが 寂滅為楽じゃくめついらく 三毒崩壊みどくほうかい!」









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