No title_君なら何とタイトルをつけるか

天ノ

1000年後の再会

3000年の日本。
AIの声、人々の行き交う入り組んだ道、大きなビル、空中に浮く映像、気球。
1000年後の日本は科学の国を代表した物となっていた。
川の流れる音、小鳥の声、草木の揺れる音なんてそんなに聞くことは無かった。
変わった日本の変わらない首都東京の道を走る少女がいた。灰色の髪は靡き、赤い瞳はキラキラと輝いていた。
「おはよう!アイ」
「ウエルちゃん、おはよう」
セーラー服ながらも必死に走りアイと呼ばれた少女の前で止まった。
「遅刻しちゃうよ!急ごう」
ウエルはアイの手を引っ張って教室の扉まで走った。
アイの可愛い髪と瞳もウエルの輝きでより輝きを増していた。扉を抜けると同時にチャイムが校内に響いた。
「危なかったぁ…ヴェルちゃんが引っ張ってくれたから間に合ったよ~ありがとう」
2人は息を切らせて席へ着いた。
「おはよう、遅かったじゃないか」
「おはようメコ。寝坊しちゃったの」
メコの呼ばれた黄色の瞳 赤髪の少女は笑っていた。
「お疲れさん~」
ウエルは微笑んだ。
「ウエル遅いですよ。昨日の宿題を早く私に提出してくれないか?」
「あぁイグニス!ごめんね。はい、これ」
ウエルはカバンからプリントを取り出しイグニスに渡した。
「確かに受け取った…」
「委員長らしいね。いつもありがとう」
「当然だ」
イグニスは纏めたプリントを持ち教室を出ようと扉を開けた…。その瞬間プリントが舞散った。
「…っ!?」
イグニスの頭に手を乗せ飛び越えたグレイは舞散ったプリントと倒れたイグニスを見て苦笑いをし、両手で耳を閉じた。
「おい、こらサラ!!人を乗り越えてまで教室に入るな!止まれ!!」
イグニスは廊下まで響く大声で怒鳴った。
怒鳴り声が無くなるとグレイは両手を離して微笑んだ。
「ごめんなさーい」
生意気なグレイは一言そう言うと席に着き、アイと話していた。
「まったく…」
怒った顔でイグニスはプリントを拾い集めていた。
「皆、おはよう」
扉から綺麗な声が教室に響いた。
その時 女子の高い声も響いた。
「ハイネ君 おはよう!」「今日もかっこいいね」「素敵…」「きゃー!まじ最高だわ」
惚れ込んでいる女子を横目に他の男子達はハイネを羨ましそうに見ていた。
「手伝おう」
ハイネは足元に落ちていたプリントを拾いイグニスに渡した。
「おはよう ハイネ」
「あぁおはよう」
イグニスに微笑んだはずのハイネだが周りからの高い声が増した。
「ウエル グレイ アイ メコもおはよう」
「おはよう」
4人はあたりまえの様に応えた。
「あの6人いつも話してるよねー」「ハイネ君と仲が良いなんて羨ましいなぁ」
クラスの奴等はそう言っていた。
ウエルにハイネが微笑んだ。
その時 微かに心臓が苦しくなった。
顔が暑くなったウエルは顔を伏せた。
「…ウエル?」
「っ!何でもない!」
「えー?大丈夫?」
「大丈夫だから!」
意地悪気に顔を近づけてくるハイネからウエルは必死で心臓の音を隠そうとしていた。
「あははは、ウエルちゃん顔真っ赤だよ」
グレイが面白そうにウエルの頭を撫でた。
「それくらいにしといてあげてください」
イグニスがウエルをフォローするようにグレイをとめた。
「ラブラブだねぇ」
「そうだねー」
メコとアイもウエルを見て面白そうにしていた。
まとまって話す6人の席の空間はどこか懐かしく、そして色々な色が混ざった幸せ色をしていた。朝の日差しが6人を照らし それを見ていた2人の男子 リアムとアイクが何かを錯覚したように目を擦った。
2人の脳裏には古い…見た事のないようで見た事のある気がする物が写った。それは…昔 楽しそうに話す消えた海上団の制服を着る6人の勇敢な軍人だった。
「…俺達もあんな風になりたいな」
「そうですね」
リアムが呟くとアイクが少しだけ嬉しそうに応えた。



一日の終わり 放課後。
「前世でまた会おう」
急にノイズがかかった声が6人の頭に響いた。頭痛が酷く痛む6人はそれぞれの部活中に頭を抑えた。
そして全員が思い出し、思った。

"やっと会えた…もう見つけていた"




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