No title

(´・ω・`)

51.新しい仲間?

「いい湯だったなー」
「あ、武器の手入れしとこう」
「なんか今日一日すごい疲れた…」
「ベッドだ!」
「だー」

今朝と同じ部屋に統一性のない5人分の声が響く。
カイとニビと俺とあと2人。

「さて、自己紹介でもするか?お前らの名前すら知らねーし」

シワひとつなかったベッドの上で暴れ回っていた2人にそう声をかけると、彼らは一回転して俺の前に正座してみせた。





あれから俺達はフォルセティアの言う通り、ブラギさんと商店街を見て回った。
人集りについては時間が解決してくれたらしく、俺達は存分に街を満喫する事ができた。
朝ご飯を食べ、各々の武器を新調した後、ウルクラグナという国を知る為に色んな所を案内されまくった。

俺達がこの2人と出会ったのはその時だ。
路地裏の前で俺達をじっと見つめる彼らの視線に耐えきれず、俺は2人に声をかけた。

「どうかした?俺は君らを知らない筈なんだが…」

瞳孔の開いたその目は少し不気味にも感じたが、俺は目線をそらさず答えを待った。
すると彼は少し間を置いた後、元気な声でこう言った。

「僕らを仲間にしてよ!」
「……ん?」





正直なところ訳が分からなかったが訳ありかもしれないので今はこうして一緒にいる。
しかし本当にこのまま仲間になるというなら、せめて名前だけでも知っておきたい。

「俺の名前はレイス。才能は器用貧乏。言葉の通り何でもできるけど何もできない。よろしく」
「俺はカイ!才能は御庭番!主の願いを叶える才能で、主はレイスな!よろしく二人共!」
「ニビ。才能は一応…料理。よろしく」

俺達の自己紹介を聞き終えると、2人は謎の拍手を送ってきた。
少しすると、満足したらしい彼らの紹介が始まる。

「僕ら名前ないよ!」
「ないよー」
「でも才能はあるよ!」
「あるよー」
「僕は占星術士!」
「私は影遊びー」
「すごいでしょ!」
「でしょー」

元気いっぱいに行われた自己紹介は、その陽気な声とは裏腹に内容が些か不可思議すぎた。
聞いたこともない才能もそうだが、名前が無いというのはどういうことなんだ…?

「才能はまぁ置いとくとして…名前はあった方がいいよな?仲間になるんなら」
「そりゃそうだけどさぁ。新しく名付けるのか?俺らネーミングセンス皆無だろ?」
「僕ら何でもいいよ!」
「いいよー」

何でもいいって言ったって最低限それらしい名前は付けてやりたい。
でもカイの言う通り俺らにネーミングセンスというものは欠片もない。
どうしたものか…。

「あ」

新しく買った武器の手入れをしていたニビの肩を不意に鷲掴む。

「え、なにレイス。無言怖い無言。その爽やか笑顔やめて」

死んだ目で微笑みかける俺とは対照的に、ニビはとんでもない面倒事に遭遇したかのような顔をしていた。

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