転生したら防御チートを手に入れたのでので死亡予定の悪役令嬢を守ってみせる

ユーガ

最下層へ

――迷宮・19階層――


「何かいるわよ!」


  セリィが何かを見つける。


「あれはオークだな」


  奥にいたのはオークだった。


「何か様子が変じゃない?」


  オークは何かと戦っているみたいだ。しかし、その何かが見えない。


「あ、オークが死んだぞ!」


  オークは見えない何かにやられて倒れる。


「何かいるぞ……」


  俺達は武器を構えた。


  奥から唸り声が聞こえてくる。


「暗くてよく見えないな」


「明るくするわ!  閃光フラッシュ!」


  セリィが魔法で辺りを明るくする。


  すると数十匹の真っ黒の狼がこちらに牙をむいていた。


「あれはシャドウウルフよ!」


「シャドウウルフの群れか……しんどいな」


  シャドウウルフは1匹だとそこまで強くはないが群れだとオークが倒されるほどに強くなる。


「ガウッ!」


  1匹のシャドウウルフが飛びかかってくるのを境に他のシャドウウルフも一気に飛びかかってくる。


「挑発!!」


  俺は挑発を発動し、シャドウウルフの注意をこちらに向ける。


「よし、溜まったな。衝撃派インパクト!」


  俺はスキルを発動する。


  しかし、シャドウウルフは危険を察知し、既に距離を置いていた。


「まじかよ……」


  シャドウウルフは奥の暗闇に沈んでいって見えなくなる。


「逃げた……?」


  そう思っていると


「ぐはっ!」


  突如後ろからシャドウウルフが現れたのだ。


「何で!?」


「恐らくシャドウウルフのスキルの影移動だ!」


「フロウ何で知ってる?」


「モンスター図鑑って本で読んだ!」


「だとしたらどうすれば……」


「スキルが分かったのなら私に任せて!」


  ナージャが前に出る。


  シャドウウルフは再び暗闇に沈んでいく。


「今!  影縛り!」


「キャイン!」


  自分達の影からシャドウウルフが中途半端に出てきて動けなくなっている。


「捕まえたよ!」


「よっしゃ!  これなら楽勝だぜ!」


  俺達は動けなくなっているシャドウウルフにトドメをさしていく。


「よし、19階層も行けたな!」


「これなら最下層まで余裕だな!」


「まぁ油断せずに行こう」


  俺達はできる限り戦闘をせず、安全地帯も活用して最下層まで降りる。








――迷宮・25階層――


  最下層は今までのとは違って一部屋しかなく、その一部屋がとてつもなく大きい。


「でっけぇ……」


「ここにボスモンスターが出るのかぁ。怖いなぁ……」


「大丈夫、ボスモンスターは一週間前に倒されたばっかりだからあと三週間は復活しないよ」


「さ、最下層到達証明のために魔石を採掘しよう」


  俺達は部屋の中心にある巨大な魔石に向かう。
  この魔石はボスモンスターのものだ。
  1回では運びきれないのでこうやって最下層到達証明として冒険者が少しずつ運ぶのだ。


  ゴゴゴゴゴ……


  採掘していると突然地鳴りがする。


「何だ!?」


「魔石が光ってるぞ!!」


「一旦離れよう!」


  俺達は魔石から離れる。




  バキバキ!!  ゴゴゴゴゴ!!


  魔石の光や地鳴りがよりいっそう強くなり、空中にヒビが入る。


「何が起こるんだ……」


「ま、まさか……」




  ドォォォォン!!!!


  部屋の中心の方で爆発のような音がする。


  煙が晴れるとそこには超巨大なミノタウロスがいた。


「あれは……ボスモンスター……」


「グランミノタウロス……Sランクモンスターよ!」


  悪い予感は当たったようだ。迷宮のイレギュラーでボスモンスターが復活してしまった。


「とりあえずこの部屋から出るぞ!!」


  俺はみんなを連れて逃げようとする。


  しかし、


「扉が閉まっている!?」


  クソっ!  何で出れない!


――ボスモンスターが復活してから人が入ると倒すまでは出れないようになっているのだ。


  アテナ様!?  どうしたらいいんですか!


――倒すしか無いな。


  無理ですよ!  冒険者達が何十人も集まってやっと倒すモンスターですよ!?


――お前達は強い、しっかりと連携すれば必ず倒せる。なんたってお主は妾の申し子じゃからな!


  全く簡単に言ってくれるな……
  仕方ない。やるしかない!


「みんな、構えて!  倒すよ!」


「倒す!?」


「Sランクだよ!?」


「無理よ!」


「やらなきゃ出られない!  それに大丈夫、守護神の申し子がいるんだぞ」


  俺は心配されないように笑顔でみんなにそう語りかける。


「だな!」


「援助は任せて!」


「魔法は任せなさい!」


「よし、アイギスの最初の大仕事だ!  気張っていくぞ!」


「「「おう!!」」」




「ブモオオオオオオオオオ!!」


  グランミノタウロスの咆哮による風圧で吹き飛ばされそうになる。


「とりあえず、アイギスの盾、自動防御アブソリュートガード、対象変更:ナージャとセリィ!!」


  俺はスキルを後衛の2人に発動する。


「フロウには、防御力移動、対象変更:グランミノタウロスのをフロウに!!」


  グランミノタウロスの防御力をフロウに移動させる。


「行くぞ!  アル!」


「ああ!」


  身体強化で俺達はグランミノタウロスの足元に近づく。


「ブモオオオオ!!」


  グランミノタウロスは力士のように四股踏みをする。


「危ねぇ!!」


  俺達はそれを何とか避ける。


闘気オーラ纏い!」


  フロウは金色の光を斧に纏わせる。カッコイイなぁ。


「俺だって!  付与魔法エンチャント・ブレイズ!!」


  俺は剣に炎を纏わせる。カッコイイでしょ?  あ、すいません、調子乗りました。


「ブモオオオオ!!」


  グランミノタウロスは右腕を高く振り上げ、その巨体に見合わない速さで振り下ろす。


「行くぞっ!」


「「縮地!」」


  俺達は縮地を発動し、グランミノタウロスの死角に回る。


  ドゴォン!!


  グランミノタウロスの右腕は床にクレーターを作る。


  あんなん受けたら俺の防御力でもダメな気がする……


  だが隙が出来た!


「くらえ!」


「オラァ!」


  俺達は身体強化で跳躍し、グランミノタウロスの膝の裏を斬る。


  攻撃は命中するがまだかすり傷程度だ。


「さすがはボスモンスター、硬さも異常だな」


「ここは私が魔力解放で!」


「ダメだ!  魔力を消費しすぎる!」


「クソっ!  ひたすら叩いて攻撃を上げるしかねぇ!」


  フロウは足に連続攻撃を繰り出す。


  しかし、その硬すぎる皮膚に阻まれ、なかなかダメージが与えられない。


「ブモオオオオ!!」


  グランミノタウロスは今度は足を大きく振り上げる。


「かかと落としだ!  逃げろ!」


「チッ!」


  俺達は再び距離をとる。


「これじゃまともにアタックブーストも出来ない!」


  まずいな、攻撃をくらわなくても火力が足りなければどうしようもない。


  こちらの体力が無くなってしまうのが先だ。


  どうすれば……


――困っているようじゃな。アルバートよ。


  アテナ様、どうしたらいいんですか!
  よっと、危ねぇ!


  俺はグランミノタウロスの攻撃を避けては斬り、避けては斬りを繰り返しながらアテナ様と話す。


――答えを教えてもつまらんじゃろう。そうだな、ヒントは防御力を移動させるのじゃ!


  防御力を移動させる、なるほど。やってみます!


  俺は一旦距離を置き、グランミノタウロスに向かった。

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