転生したら防御チートを手に入れたのでので死亡予定の悪役令嬢を守ってみせる

ユーガ

悪役令嬢の目覚め

「アルゥゥゥゥ……」


  お、レインはセリィから逃げ切れたようだな。


「お疲れ、大変だったな」


「お疲れじゃねぇよ!  助けてって言ったじゃん!」


「絶対無理だって思ったらから……てへぺろ?」


「いや可愛くねぇよ」


「なん……だと……?」


「いや、可愛いって思ってのかよ」


「なわけねぇだろ」


「だよなー」


「で、お前達はいつまでこの国にいるんだ?」


「装備が出来上がるまでって聞いたな」


「もうこの国に住めよ。歓迎するぜ?」


「そんな訳にもいかねぇよ。まだ稽古付けてもらわないといけないしな」


「あぁ、ガルムさんだっけ?」


「おう、俺はもっと強くならないと」


「俺だって勇者だから強くならないと」


「お互い様だな」


「ああ。もう夕暮れだな、じぁな」


「おう」


  俺は血眼になっているセリィを連れて城下町の宿屋に行った。




「レイン様、素敵だったわ」


「そ、そうか……」


  不味いなぁ、もうすっかりベタ惚れしちゃってるよ。


「必ずあの人の嫁になってみせるわ!……どんなことをしてでも」


  ちょっと待って、今聞こえちゃいけない言葉が聞こえた気がするんですけど!?


「セリィさん、今なんて……?」


「何でもないわ!  もう寝ないとね。じぁね」


「あ、おやすみ……」


  セリィは部屋を出て女子部屋に行く。


  はぁ……悪役令嬢が目覚め始めてるなあ。




  アテナ様ー、おられますか?


――なんじゃ。久しぶりじゃのう。


  また創造神様とお話したいんですけど


――おう、わかった。待っておれ


――お久しぶりですね、アルバート。またセリーナの事ですか?


  はい、ちょっと悪役令嬢に目覚めてしまったみたいで。何か助言を頂けたらと思いまして。


――そうみたいですね。で助言なんですが……


  何でも良いんでお願いします!


――ありません。


  なるほどなるほど……ってえぇ!!
  そこを何とかぁ!!


――別に意地悪をしている訳じゃなくてどうしようも無いんですよ。


  お願いします。何でも良いんで……


――え、えぇ……と、とりあえず強くなりなさい。そして彼女を守りなさい。良いですね?


  はい!  わかりました!


――おい、アルバートよ。あまり創造神を困らすでないぞ?  ちょっと引いてたぞ?


  あ、はい。気をつけます。




  引かれてたのか……


  俺は精神的な疲れからその後、すぐに眠りについた。






――数日後――


「装備が完成したぞ」


  俺達は王城に呼び出されて装備を受け取った。


  俺のは白を基調とした頑丈そうな鎧、
  フロウのは羽かと思うほど軽い鎧、
  セリィのは黒色のローブ、
  ナージャのは白色のローブだった。


「ありがとうございます。大事に使わせて頂きます」


「そうしてくれ。それとその装備の説明書も受け取ってくれ」


  装備にトリセツあんの!?  手入れの仕方とか?


「わかりました」


「その装備は特殊な物でな。魔鉱石が埋め込まれているのだ。これはそれの使い方の説明書だ」


「なるほど。お気づかいありがとうございます」


「よし、じぁ下がって良いぞ」


「失礼致しました」


  俺達は玉座の間から出る。


「魔鉱石の装備だってよ!」


「城下町で見たけど良いものだと王金貨1枚とかだったよ」


「そんな良いものをくれるなんて太ももだな!」


「それを言うなら太っ腹な」


  お前はどっかの5歳児か。


「お前達、家に帰るぞ」


  お父様が迎えに来た。


「みんな、また来いよ!」


  レインが見送りに来てくれる。


「はい!  今度は妻としてあなたの元に戻ってきますわ!」


  おぉう、押しが強い……


「そ、それはまだ早いんじゃないかな……」


  レインもグイグイ押されて困っているな。


「さ、帰るぞ」


「またなー!」


「お元気でー!」


  俺達は王国を出て、家へと帰った。


  ほんとに色々あったなぁ……






―――――――――――――――――――――――――




  それから2年、俺達はガルムに稽古をしてもらい、とうとう家を出る10歳になった。


「お前達ももう10歳か……」


「私、寂しいわ……」


「お父様、お母様、大変お世話になりました」


「こちらこそ、あなたがいてくれて助かったわ」


「セリィが外で遊ぶようになったのもお前のおかげだしな!」


「お父さんお母さん行ってきます!」


  俺達は最後にハグをする。


「では、行ってきます!」


  馬車に乗った。


「おーい!  待ってくれー!」


「ん?」


  後ろから馬車が走ってくる。


  そこから2人降りてきた。


「アル!  頑張れよ!」


「あなたなら大丈夫よ!」


  父親と母親が家から見送りに来てくれたのだ。


「お父さん、お母さん……」


  久々の再会につい涙を流してしまう。


「おいおい泣くんじゃない。これから頑張るんだろ?」


「はい、必ず立派な大人になって帰ってきます!」


「アル、無茶しないでね?」


「わかってます」




「今度こそ行ってきまーす!」


「待ってくれー!」


「またかよ!」


「アルー、連れてってくれー!」


  フロウとナージャが走ってくる。


「私達も一緒に行きたい!」


「一緒に行ってもいいか?」


  フロウとナージャが目をうるうるさせながら上目遣いでお願いしてくる。


  ナージャは可愛い。ナージャは。


「ああもちろんだ。俺達、ずっと一緒だっただろ?」


「ありがとうアルー!」


「うおっ!  フロウ、抱きつくな!」


  フロウが喜んで抱きついてくる。やめろ、暑苦しい。


「ほんとのほんとに行ってきます!」


「「「「行ってらっしゃい」」」」


  俺達は4人で近くの街に向かった。

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