転生したら防御チートを手に入れたのでので死亡予定の悪役令嬢を守ってみせる

ユーガ

伝説の冒険者

「で、どこにいるんだ?  その伝説の冒険者って」


「わからん!」


「潔いな!  分からんねぇのかよ!」


「でもこの森のどこかにはいる」


「はぁ……そんなんで見つかんのかよ……」


  俺達は森をどんどん進んで行った。






「ねぇ……ほんとにこの道で合ってるの?」


  セリーナが心配そうにそう言う。


「確かに……生えている木も変わってきたし……」


  ナージャが言う通り、木の種類が変わっている。


  なんか捻れてる木とか爪の跡があったりとかそんなんだ。


  どこか怪しい雰囲気がする。


「おい!  あんなところに家があるぞ!」


「おい1人で行くなって!」


  フロウが目の前にある小さな家へと走っていく。


「ここに伝説の冒険者がいるんじゃないか?」


「気をつけろよ」


「ごめんくださーい!  僕達伝説の冒険者を探しているんですけどー」


  フロウが扉を叩き、そう呼ぶ。


  しかし返事はない。


「いないのかな……」


「もう帰ろうよぉ……」


「そうだよぉ……」


  ナージャとセリーナは涙目だ。


「人の家の前で何の用じゃ」


  突然森の方から声が聞こえてくる。


「うわっ!!」


 声が聞こえた方を見ると森から白髪の老人が現れた。


「あなたが伝説の冒険者ですか?」


「まぁ昔はそんな風に言われとったな」


「僕達、あなたに会いに来ました!」


「ほほ、そうかそうか。ゆっくりしておいき」


「ありがとうございます!」


  あっさり信じてくれるんだな。


「優しそうな人だね」


「もっと怖い人かと思ったー」


  俺達は家に案内された。






  囲炉裏を囲んで俺達は老人と話す。


「お名前は何て言うんですか?」


「ワシはガルムじゃ」


「ガルムさんの昔の話を聞かせてください!」


「ほっほっほ、良いじゃろう。まずはドラゴンと戦った時の話じゃな……」


  それからしばらくガルムさんの武勇伝を聞いた。ドラゴンの話や神獣と戦った話など、とても面白かった。








「そろそろ日が暮れるな。今日はここまでにしておこうか」


「えぇー」


「とっても面白かったです」


「そうかそうか。いつでも来なされ。魔物には気をつけてな」


「「「「はーい」」」」






「ガルムさん、いい人だったね」


  セリーナはあんなに怖がっていたのに今ではもう凄くテンションが上がっている。


「帰ろっか」


  来た道を戻って村の近くまで帰ってきた。


  帰り道は魔物には出会わなかった。


「よし、じぁ俺達こっちだから」


「じぁな。またいつでも来いよ」


「おう!」


「またねー!」


  俺達はフロウとナージャと別れ、執事さんの所まで戻る。


「おかえりなさいませ。いかがでしたか?」


「とっても楽しかったわ!  連れて行ってくれてありがとう、アル!」


「セリーナが喜んでくれて良かったです」


「セリィで……いいわよ……」


  セリーナは照れてモジモジしている。


「わかりました。セリィ、また行きましょうね」


「う、うん!」






「ただいま戻りましたー」


「ただいまー」


  ドアを開けると目の前にボレアスさんがいた。


「お、お父様……?」


  え、何か怒ってる?  もしかして帰ってくるのが遅かったとか?


「セリィ、どうだった?」


「はい、とっても楽しかったですわ」


  そう言うとボレアスさんは笑顔になった。


「そうか!  良かったな、セリィ!」


「はい!  また明日も行きたいですわ!」


「アルバート、ありがとうな。娘は外で遊べるのかと心配してたが杞憂だったな」


「とても楽しそうでしたよ」


「そうそうお父様聞いて!  アルがね……」


  セリーナは今日あったことを嬉しそうにお父様に話している。


  楽しんでもらえて良かった。またガルムさんのところへ行こう。




  それから豪華な夕食を食べ、とても大きな風呂に入り、フカフカのベッドで寝た。


  いやぁ、風呂の世話をしますってメイドさんが入ってきた時は凄い焦ったわー。


  全力でお断りしたけどな。恥ずかしいからね。


  あぁ、布団がフカフカだぁ……おやすみなさーい。






――翌朝――


「アル、起きて!  遊びに行くわよ!」


  セリィが俺の部屋に来て急かす。


「んん……わかりました。急いで準備しますね」


  俺は前世、できる限り寝る時間を増やそうとした結果身につけた早着替え術をここで発動する。


  スポポン!  ササササッ!


  うん、まだまだ以前のスピードは健在だ。


「じぁ、行きましょうか」


「朝食は?」


「お弁当と一緒に貰いましたから馬車で食べますよ」


「そう。じぁ行きましょう!」


  俺達は馬車に乗ってメルン村に向かう。


「今日もガルムさんの所に行くわよ」


「ふぁふぁひふぁしふぁ(わかりました)」


「口の中のものが無くなってから喋りなさいよ……」


  ゴクンッ


「わかりました。フロウとナージャはいますかね?」


「どうだろう?」


「着きましたよ。お二人とも」


「ありがとう。行こうか」


「うん!」


  俺達が森に入ろうとすると少し先にフロウとナージャの姿が見えた。


「おーい!」


  セリィが呼びかける。


「お、セリーナ、アルバートおはよう」


「おはよう」


「ガルムさんの所に行くのか?」


「もちろんさ!」


「じぁ一緒に行きましょうか」


  俺達は森をどんどん進み、ガルムさんの家に向かった。


  道中ゴブリンが何体か出てきたが俺とフロウだけで難なく倒せた。


  体感としては30分程度でガルムさんの家に着いた。






「ごめんくださーい!」


「はい、おはよう」


「ガルムさん!  俺に戦い方を教えてください!」


「俺も!」


「私も!」


「私にも教えて!」


「ワシにか?」


「ガルムさんは伝説の冒険者だからぜひ教えて欲しいんです!」


「ほほ、良いじゃろう。じゃがワシの稽古は厳しいぞ?」


「覚悟の上です!」


「ならとりあえず君たちの名前と職業とスキルがあるなら教えておくれ」


「俺はフロウ、職業は戦士ウォーリアー。スキルは武神の加護です」


「フロウか。加護があるのは凄いな」


「へへっ」


  フロウは自慢げだ。戦士か、攻撃特化の職業だったな。


「私はナージャ。職業は白魔道士でスキルはありません」


「ナージャか。白魔道士は回復が得意な職業じゃったな」


「私はセリーナ。職業は黒魔道士、スキルはないわ」


「黒魔道士なのか。白魔道士と黒魔道士がいるとかなりパーティーは安定するな」


「俺はアルバート。職業は守護者ガーディアン、スキルは守護神の申し子です」


「申し子!?  それは凄いな」


「アル、申し子だったの!?」


「まじかよ!?」


  みんなが驚いている。やっぱり申し子ってそういないんだな。


「よし、じぁフロウとアルバートはワシと稽古じゃ」


「え、私達は?」


  セリーナとナージャは心配するように聞く。


「ワシは魔法はそんなに得意じゃなくてな。従魔に任せる」


「従魔ですって?」


「いでよ!  スカルキング!」


  ガルムさんがそう叫ぶと魔法陣が現れ、そこからローブを身につけた骸骨が現れた。


「久しぶりだな。スカルキング」


「何の用だ。ガルムよ」


「あれって……」


「A級の魔物じゃない……」


「この女の子達に魔法を教えてやって欲しいんじゃ」


「いいだろう……お前も次の世代を育てる番なんだな……」


「お互い歳をとったな」


「さぁフロウ、アルバートよ。稽古を始めるぞ」


「「はい!」」








  俺達は少し移動し、少し広い所に来た。


「お前達がどれだけ戦えるかを確かめるために1回ワシと戦ってみようかの」


「まじかよ……」


「全力でかかって来なさい」


「仕方ねぇ、おおおっ!!」


  フロウはすぐに前へ飛び出し、ガルムに向かって斧を振り下ろす。


  ガルムはそれを軽々と避ける。


「フロウ!  勝手に突っ走るな!」


「すまん!」


「とりあえず……」


「アイギスの盾!  自動防御アブソリュートガード!!」


  俺は防御を完璧にする。


「それが申し子の力か。どれ、試してみるかの」


  ガルムは一瞬で後ろに回り込み、斬撃を放つ。


  キィン!!


  光の壁が斬撃を弾く。


「壊れぬか、ならっ!!」


  ガルムは飛び上がり剣を振り上げる。


「天叢雲剣!!」


  ガルムの剣が眩い光を帯び、光の剣が俺の盾に振り下ろされる。


  ギィィン!!


  何とか止めれた!  いや、まだだっ……!


  光の剣はまだ盾を押してくる。


  耐えろ!  耐えるんだ!


  ピシッ、ビシッ、バキバキ!


  光の壁に少しずつヒビが入っていく。


  まずい、割れる……


「ほれ、最後のひと押しじゃ!」


「落雷!!」


  空から雷が落ちてくる。
  その雷は俺の盾を砕いた。


「……ガハッ!」


「アル!?  クソっ、やるしかねぇ!」


「うわぁ!  うりゃぁ!  うおおお!」


  フロウが斧をがむしゃらに振り回す。


「ただがむしゃらに振り回すだけじゃ当たりはせんぞ!」


  ガルムはカウンターを繰り出す。


「グハッ!!」


「よし、こんなもんじゃの。ほれ、ポーションじゃ」


  俺達はポーションを貰い、それを飲む。


  すると体の傷がみるみる癒えていく。あんなに痛かった体が今では嘘みたいだ。






「どうじゃった?」


「まさかアイギスの盾が破られるとは……」


「とゆーか魔法使えないんじゃ……」


「思ったより硬くてつい本気を出してもたわい。魔法は少しは使えるんじゃよ」


  ガルムがほっほっほと笑う。伝説の冒険者の本気って笑い事じゃねぇだろ。


「全く攻撃が当たらなかった……」


「さっきも言ったがただがむしゃらに振り回すだけじゃいかんぞ」


「わかりました……」


「じぁお前達の実力も分かったことだし、稽古を始めるか!」


「「はい!」」

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