転生したら防御チートを手に入れたのでので死亡予定の悪役令嬢を守ってみせる

ユーガ

転生、そして儀式

「おぎゃーおぎゃー」


  俺は生まれた。
  違和感が凄い。


「男の子よ!  あなた!」


  母親が泣きながら父親にそう言う。


「頑張ったね、リリー!」


  父親も半泣きだ。


  嬉しいな、こんなに喜んでくれて。
  挨拶しておくか、分からないだろうけど。


「あうあう!(よろしく)」


「喋ったわ!」


「よろしくだって!」


  分かるのかよ。すげぇな。


「あなた、名前はどうする?」


「そうだな、男の子だからアルバートにしよう!」


「アルバート、あなたは今日からアルバートよ」


  アルバートか。
  よし、俺はアルバートとして第二の人生頑張ろうじゃないか。




――5年後――


「アル、お誕生日おめでとう!」


  俺は5歳になった。


「もう5歳か、成人なんてあっという間だな」


  この世界の成人は15歳だ。


  この世界の成人までの流れをざっと説明しよう。
  まずこの世界は一言で言うと剣と魔法の世界だ。
  

  7歳になる男女は春に"神の啓示"という儀式を受ける。
  

  その儀式では自分の職業を知る。
  

  そして10歳になるまでその示された職業を元に自分を鍛える。


  10歳になったら家を出て自力で生きていく。


  15歳になったら家に戻ってきて成人する。


  とまぁ、こんな感じだ。


「ありがとうございます!」


「もう5歳か、大きくなったな」


「はいアル、プレゼント」


「俺からもだ」


  そう言って母からは魔術書、父からは剣を貰った。


「ありがとうございます!  大事にします!」


「アルももう5歳になったことだから剣術と魔術を教えないとな」
  

「家は騎士の家だから誰かを守るために強くならないといけないのよ」


「はい!  頑張ります!」


  剣術と魔術か楽しみだな。


  それから週6日剣術と魔術の練習が始まった。


  剣術は父が実戦形式で教えてくれる。


この世界の剣術には何種類かの流派がある。


  俺が教えて貰っている剣術は"金剛流"という守るのに特化した流派だ。


  俺はこの世界では誰かを守ると決めているのでぴったりだ。


  だが、最初から実戦形式なんかでいいのかと父に聞くと、教えるのが苦手だから素振りと実践しか出来ないと言われた。


  毎日ボコボコにされるだけなんだが。


  それでいいのか父よ。


  

  魔術は母が基礎から教えてくれる。


  母は教えるのがとても上手い。
  誰かさんと違ってな。


  魔術は基礎から学んでいかないと全く出来ないらしい。


  まず魔力の流れを感じる訓練から。


  これがとことん難しい。
  母が自分に流してくれるのでそれを感じるというものなのだが、微妙すぎるので全くわからない。


  流れを感じることが出来たら次はそれを操作する訓練。


  詠唱すれば勝手に魔術は使えるらしいが時間がかかるので無詠唱を練習しようとのことだ。


  誰かを守るには自分が強くならないと!


  そう思ってしんどい訓練もなんとか乗り越えた。


――2年後――


「とうとう神の啓示ね」


「アルももうそんな歳か」


「では、お父さんお母さん行ってきます」


「「いってらっしゃい」」


  今日はとうとう待ちに待った神の啓示の日だ。


  この日はここら辺一帯の7歳の子供が集まる。


  場所はとても大きな教会だ。


「これより、儀式を始める!」


  牧師らしき人が前に出て説明を始める。


「やり方は簡単。目の前に置かれてある用紙に自分の血を一滴垂らしてくれ」


「終わったら見せてもらう」


  俺は針で指を刺し、血を垂らす。


  すると用紙が光を放ち、文字が浮かび上がってくる。


―――――――――――――――――――――――――


職業:守護者ガーディアン


称号スキル:【守護神の申し子】


―――――――――――――――――――――――――


「ん?  称号スキル?」


  俺は気になったので牧師さんに直接聞きに行く。


「すみません、称号スキルって何ですか?」


「称号スキルだと?  見せてご覧なさい」


  そう言われたので俺は用紙を見せる。


「こ、これは!  おい皆!  申し子だ!」


  牧師がそういうと全体がザワつく。


「申し子って何なんですか?」


「稀にな、称号スキルを持って産まれてくる子供がおる。それは○○の加護が多い。
  だがほんとに稀にお主のような申し子が産まれてくるのだ」


「申し子ってどういうことなんですか?」
  

「その神に認められた子供じゃ。加護は同じ神のもあるが、申し子は一人の神に一人だ」


「ほんとに!?  やったぁ!!」


  これは神様からのプレゼントかな?


  悪役令嬢をこの力で守れってことか。やってやろうじゃないか。


  俺はやる気に満ち溢れながら家に帰った。


「ただいまー」


「おかえり!  どうだったの?」


「この通りです」


  俺は用紙を両親に見せる。


「あなた!  アルが凄いわよ!」


守護者ガーディアンか。騎士向きのいい職業だな」


  いや、そこじゃねぇだろ。


「あなた馬鹿なの?」


「嘘だって。凄いな、アル!」


「守護神に恥じない騎士になるように頑張ります!」


「よぉし、じぁ早速ガーディアンについて調べようか」


  父はそう言って書庫から分厚い本を取り出してくる。


「これで自分の職業についてよく知るんだ。まずそこからだ」


  父から渡されたのは[職業大全]という本だった。


  俺はそのからガーディアンを探し出し、その説明を読む。


――ガーディアン――


  人を守ることに特化した職業。


  基本は盾と剣を使う。


  多対一の戦いが得意。


  ステータスは全体的に高いが素早さは遅い。


「なるほどね……」


  素早さが遅いのか。
  足が遅いのは何かと不便な気もするが仕方ないだろう。


「そうだアル、神の申し子はその神と対話出来るらしいぞ?  やってみたらどうだ?」


「神様と話せるんですか!?」


  よし!  やってみよう!


  ……て、どうやるんだ?


  神様ー、聞こえますかー?  聞こえてたら返事して下さーい。


  こんなんじゃダメだよな……


――聞こえとるぞ。


「うおっ!?」


  え、頭の中に声が響いてくる!


  あ、えと、よろしくお願いします……?


――ああよろしくな。


  えっとなぜ俺が申し子になったのですか?


――創造神に懇願されたのじゃ。「間違えて殺しちゃった人間がいるから申し子にしてあげてー」とな


  アハハ……そうでしたか。
  ちなみにお名前は?


――知らんのか!?  妾は守護神アテナじゃ。


  アテナ!?  あのアイギスの盾の?


――お、知っておったか。そうじゃ、妾は最強の盾を持っておる。その盾はいかなるものでも壊せん。


  やっぱり!  さすがアテナ様!


  良いなぁ、ガーディアンになったからそういうの憧れるな。


――お主も妾ほどのものでは無いが使えるぞ?  申し子だからな。


  まじっすか!?  それはどれくらいの物が使えるのですか?


――そうじゃのぉ……
  鍛えればどんどん強くなるが、今の状態でもお主の盾を壊せるのは勇者パーティーと魔王とその幹部ぐらいじゃの。


  チートじゃないっすか!?
  それって鍛えれば魔王とかでも壊せなくなるんじゃね?


――それはお主の努力次第じゃ。日々鍛錬に励むのじゃぞ?


  わかりました!  頑張ります!


「ふぅ……」


「どうだった?」


「アテナ様とお話する事が出来ました。それとスキルについても話を伺う事が出来ました」


「そうか、良かったな。じぁ、早速試して見るか?」


「はい!」


  そう言って庭に出た。


「二人とも、怪我したら直してあげるから、存分に戦いなさい」


  母よ、そこは「怪我しないように気をつけて」じゃないのか?


「アル、本気でいくぞ!」


「わかってますよ!」


  俺は剣を構えた。

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