魔法使いが迫害される世界で賢者の弟子になります!

ユーガ

第22話『目的地』

「着いたぁー!」


 馬を貰えたので予想より早く着いた。

 まぁそれでも最短距離を通ってまる五日なので時間はかかっているのだが。

 当初の予定よりも早くついたのでとりあえず良かった。



「疲れたぁ……馬乗るのって結構気を張るから心も体もクタクタだよぉ」


「馬乗るのは初めてだったけど何とか乗れたな。マックス、大丈夫か?」


「うぅ……景色がグルグルにゃぁ……」


「道がかなり凸凹してたしな。さぁ、あそこに門番がいるし許可証をもらおう」


 俺は巨大な門の横にある小さな建物に向かう。

 そこには鋼の鎧を装備した衛兵が数人いた。



「すみません。街に入りたいんですけど」


「じぁ身分を証明できる物見せて」


「あ、じぁギルドカードで」


 俺はそう言って銅のギルドカードを渡す。

 衛兵はそれを中に持って行って機械にかけると何か書類らしきものを持ってきた。



「で、この街に来た目的は?」


「前いた街よりも大きな街に来たくて」


「なるほど。そう言う冒険者は多い。だがここらの魔物は他のところより強いから気をつけろよ?」


「分かりました」


「じぁ、ギルドカードに証明書組み込んどくからそっちの2人も渡して」


「分かりました」


「はいにゃ」


 衛兵は俺達全員のギルドカードを機械に通し、返す。

 ギルドカードを見ると盾に槍が交差しているマークが付いていた。

 これが許可証の変わりになるのだろう。



「じぁ、街で問題起こすなよ」


「分かりました。ありがとうございました」


「おう」


 俺達は衛兵と別れ、帝国都市の巨大な門をくぐった。

 まず目に入ってきたのは正面に見える巨大なドームのような建物だ。


 辺りを見渡すと石造りで統一された街はどこかローマを思わせる。



「すげぇ……何だあれ?」


「あれはコロシアムだよ。あそこで色んな戦いが見れるのよ」


「魔物を捕まえてきたり、人同士で戦ったり色々あるのにゃ」


「へぇ……」


「さ、まずはギルドで情報収集しよ?」


「そうだな。えっとギルドはあっちか」


 俺達は入口の南町からギルドのある東町に向かった。

 地図を見るにこの街は東西南北の4つの町に分かれていて北に居住地、東に行政等の機関があり、西は工場など、南に飲食店や宿屋などの旅人向けの施設があるみたいだ。



「うわぉ、ギルドも立派だな」


「おっきいにゃー!」


 ギルドは他の建物と同じで石造りだが、何よりも大きい。

 見た感じ五階建てで、広さは大きめの市庁舎ぐらいだ。

 俺達はギルドに入った。



「ようこそ。コロッセオのギルドへ。なんの御用で?」


「ここら辺に遺跡とかってありますか?」


「遺跡……ですか? 少々お待ちください。周辺地図を持ってまいります」


 そう言って受付嬢さんはギルドの奥に入っていって大きめの地図を持って戻ってきた。

 そして地図を開き、コロッセオの北にある山を指さす。



「ここの山に小さめの迷宮があります。その最下層に壁画などがあるという報告があったのでここがいいかと」


「迷宮?」


「ええ、この迷宮は自然迷宮で10階しかありません」


「自然迷宮ってなんですか?」


「この世界の迷宮は二種類あります。魔力だまりに自然に生まれる自然迷宮と魔王が作った魔工迷宮の2つです」


「魔王のものがまだ残ってるのか」


「で、この迷宮は自然迷宮なので比較的危険ではありません。ですがあくまで魔工迷宮と比較して、なので注意は怠らないようにしてくださいね?」


「分かりました。ありがとうございます」


 俺達はギルドを出て、南町で宿屋を探す。

 いい感じの宿屋が見つかったので近くにあった酒場で食事を取る事にした。



「おいお前、今年もあれにでるのか? そろそろだよな?」


「当たり前だろ? 今年こそは優勝してみせるぜ!」


「そんなこと言って毎年初戦負けじゃねぇかよ!」


 隣の席に座っている男二人組が大声で話している。

 何やら祭りか何かの話をしているみたいだ。

 コロシアムで行われる祭りだろうか、それももうすぐ開催されるらしい。

 少し興味あるな。



「なんでも今年の優勝商品は凄いらしいぜ?」


「何なんだよ」


「あの竜炎だってよ!」


「竜炎だと!? よくそんなもの手に入ったな!?」


 竜炎って何だ?

 この2人の驚きようから察するに凄いものではあるんだろうが……



「なぁミリア、竜炎って何だ?」


「ええとね、竜炎ってのは遥か昔に世界で大暴れしていた古龍の吐いた炎が大地に残ってそれが結晶になったものなんだよ」


「炎が結晶になる?」


「うん、不思議な話だけどね。何でも高濃度・高純度の魔力で生成された魔法は長く残るらしくて、それが魔法と相性のいい水晶、しかも超高純度のやつに吸い込まれて出来るらしいよ」


「よくそんなこと知ってるな……学者か?」


「うちにそういう本が沢山あったんだよ。お父さんが教会で魔法関連の研究してたから」


「魔法狩りがあるのに研究はいいのか」


「みたいだね……」


「で、いつ迷宮に行くのにゃ?」


「明日には行けるか?」


「多分大丈夫だと思う。大体のものはまだ収納ボックスに残ってるしね」


「なら明日、迷宮に出発だな」


「「おー!」」


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