魔法使いが迫害される世界で賢者の弟子になります!
第15話『発見』
夜の森は月明かりに照らされ、薄明るい。
しかし、そこは整備されている道のみで一歩森に入ればそこには光などなく、かなり危険だ。
さらに、夜行性の魔物がいつどこから現れるか分からないので夜に森の中を移動するということはかなり危険なことなのだ。
俺達はその護衛をする、という条件で馬車に乗せてもらっている。
この馬車はこの先にある小さな村まで行くということなのでそこまで乗せてもらい、そこで一泊してそこからは歩き、という計画になっている。
「リトルウルフが3匹右から! 2匹は左! 俺は右をやる!」
「「了解!」」
森の中から目を赤く光らせているゴールデンレトリバーぐらいの大きさの狼が突然現れた。
魔力感知で先に見つけておいたので落ち着いて指示を出す。
「石弾!」
俺は目の前に3つ拳ほどの大きさの石を生み出し、それを高速でリトルウルフの頭部にぶつける。
ぐしゃっ、と嫌な音がしてリトルウルフの頭部は潰れる。
「せいっ! やぁっ!」
ミリアは槍で飛びかかってくるリトルウルフを強引に吹き飛ばし、単独で来たものを突き殺す。
複数で来るものは分けて倒す、正しい選択だ。
「素材回収にゃ!」
ミリアは倒されたリトルウルフの売れる部分を一瞬で剥ぎ取り、収納ボックスに入れる。
「ありがとう! あんた達強いんだな!」
「いい連携だったね!」
「そうだな」
「ダイゴ、リトルウルフの牙は高く売れるんだから潰しちゃダメにゃ!」
「ああ、すまん」
そんな感じで俺達はたまに現れる魔物達を倒しつつ、帝国都市に一番近い村に向かった。
しばらく進んでいると森の奥に濃い霧に包まれた部分が見えた。
「うわ、あそこ凄い霧だな」
「ほんとだ! 前が見えなさそうだね」
「ああ、あそこか。あそこには入らない方が良いぜ」
「どうしてですか?」
「あそこに入ると必ず迷うんだ。というか元の場所に戻される。ここら一帯は迷いの森って呼んでるのさ」
「迷いの森……か」
「まぁ入らん限りは何も無いから安心してくれ。さ、もうそろそろ着くぞ」
商人がそう言ったのて森を見るのをやめ、前を見ると木の柵に囲われた村が見えた。
ここから遠くに見えるあの山まで歩きか……
「よし、着いたぜ。魔物を倒してくれてありがとな!」
「こちらこそ乗せてくれてありがとうございました」
「じぁまた会ったら声掛けてくれよな!」
「はい、ありがとうございました」
俺達は商人と別れ、村の宿屋に向かった。
この村はラッカーナから帝国都市に行く人が必ず泊まる場所なので宿屋や飲食店が多い。
「ごめんくださーい。泊まりたいんですけど」
「はい、いらっしゃい! 何人だい?」
「3人です」
「はいよ、3人部屋が空いてるからそこね」
「ありがとうございます」
これでやっと俺もベッドで寝れる……!
俺は3つ並んだベッドを見て1人ガッツポーズをした。
部屋に荷物を置いて俺達は軽く食事をするために酒場に向かった。
宿屋の一番近くにあった酒場に入るとかなりの人で賑わっていた。
その誰もが自分達のような冒険者らしい格好をしていた。
「いらっしゃい。冒険者かい?」
カウンターに座るとバーのママのような人が声を掛けてきた。
「はい。明日帝国都市に向けて出発しようと思って」
「帝国都市にね……なら迷いの森には気をつけることだね」
「迷いの森ってそんなに広いんですか?」
「広いよ。毎年行方不明者が出てるくらいにね」
「そうなんですか。迷いの森ってずっとあるんですか?」
「えぇ、勇者がいた時代にもあったみたい。勇者の言い伝えによると迷いの森の中には天国があるらしいわよ。行けたらいいわね、うふふ」
「天国……か」
「天国って事は死んでるにゃ!? ガクブルにゃ……」
「まぁ、言い伝えだからね。さ、明日も早いし帰りましょ」
「そうだな。けどその前に何か食ってこうぜ」
「魚が良いにゃ!」
「じぁ私も何か頼もーっと!」
酒場で食事を終えて宿屋に戻った。
久々のベッドは気持ちよかった……
――翌朝――
「ここから帝国都市まで一週間程度かかるから覚悟してね」
「一週間もかかるのか……?」
「遠いにゃー!」
「これでも最短ルートを選んでるんだよ!」
一週間も歩くなんて日本人には考えられないな……
車が欲しい……運転できないけど。
「分かった、すまん。行こうか」
「レッツゴーにゃ!」
俺達は必要最低限の荷物を手に持ち、後は収納ボックスに入れてマックスが持つ。
森は整備などされておらず、木が鬱蒼と生い茂り、薄暗い。
「うぅ……不気味にゃぁ」
「魔物もあまり出てこないのも少し不気味だな」
「みんな、そろそろ迷いの森の近くだよ。気をつけてね!」
「んにゃ? あっち、何かあるにゃ」
「何言ってんだよ。あっちは霧だぞ?」
「僕の勘がそう言ってるにゃ! 行ってみるにゃー!」
「うーん、仕方ねぇな。少し行ってみるか? マックスの勘は当たるしな」
「えぇー!? ダメだよ、危ないよ!」
「大丈夫、ちょっと行ってみるだけだ。それに危ないと思ったらすぐに引き返す。良いだろ?」
「……もう! ちょっとだからね!」
そう言って俺達ははぐれないよう、手を繋ぎながらマックスの言う方に歩いていった。
「この霧……魔法か?」
霧の中に入ってみて普通の霧とは違うことに気づいた。
この霧には魔力の流れがある。
中心から発生している魔力を霧に変換しているみたいだ。
それに加えて混乱の魔法も付与してあるので入った人達は皆迷う訳だ。
俺は耐性があるから平気だが、ミリアはちょっと危ないな。
「あれぇ? こっちじゃないのぉ?」
「こっちだ。マックスは平気なんだな」
「僕はいつでも冷静にゃ!」
変な方向に進もうとするミリアを引っ張りながら霧の中心に向かって歩いてしばらく経つと霧が薄れてきた。
「お、そろそろ中心だな……え?」
霧の中心に着いて霧が晴れるとそのにはそこそこ大きな村があった。
霧の中心に村? どういうことだ?
しばらく狼狽えていると槍を持った男達が数人走ってきた。
あの耳……エルフか?
「何者だ! どうやってここまで来た!」
「え、俺達たまたま辿り着いて……」
「嘘を言うな! 普通の人間にはあの霧は超えられないはず!」
「ま、まぁ落ち着いて……」
「問答無用! 着いてきてもらう!」
「……戦うかにゃ?」
「いや、ここは大人しくしておいて後で誤解を解こう……」
俺達はそのまま抵抗せずに男達に着いて行った。
連れていかれた場所は町の交番のような馬車で武装した男が沢山いた。
「お前達人間だよな? 何しにここまで来た?」
「こいつがあっちに何かあるって言ったから興味本位で……」
「どうして霧を超えられた? あれは普通の人間なら混乱して元の位置に戻るはずだが?」
「魔法には耐性がありまして……その、魔法使いなんで」
「はぁ……全く信じられないな。どうせ俺達エルフを捕まえて売ろうって魂胆だろ!」
「いや、そんなことしませんよ。エルフの知り合いもいますし、今の世の中じゃ人攫いはそうそういませんよ」
「エルフの知り合いだと? ふざけるな! 嘘を言っても騙されんぞ! 人族はそうやって俺達を騙そうとするんだ!」
うーん、全く話にならないな……
人間に対する偏見が凄すぎる。
「分かりました。もう、出ていきますので許してください」
「そんなこと言って仲間を連れてくるつもりだろ! そうはいかんぞ……こいつらを地下牢に閉じ込めておけ!」
「はぁ!?」
いやいや、話通じなさすぎでしょ!?
不味い、こんな人数に囲まれたら抵抗のしようがない。
牢に入れられてからサクッと脱出するか。
「おら、入っておけ! 汚らしい人族め!」
「マックスぅ? ダイゴぉ?」
「「ギクッ!!」」
「私やめようって言ったよねぇ? 危ないって言ったよねぇ?」
「そ、その……」
「だから言ったでしょうがああああああああぁぁぁ!!」
「ごめんなさいぃぃぃぃぃぃ!!」
二度とミリアを怒らせるのやめよう……
普段優しい人は怒ると怖いんだな……
しかし、そこは整備されている道のみで一歩森に入ればそこには光などなく、かなり危険だ。
さらに、夜行性の魔物がいつどこから現れるか分からないので夜に森の中を移動するということはかなり危険なことなのだ。
俺達はその護衛をする、という条件で馬車に乗せてもらっている。
この馬車はこの先にある小さな村まで行くということなのでそこまで乗せてもらい、そこで一泊してそこからは歩き、という計画になっている。
「リトルウルフが3匹右から! 2匹は左! 俺は右をやる!」
「「了解!」」
森の中から目を赤く光らせているゴールデンレトリバーぐらいの大きさの狼が突然現れた。
魔力感知で先に見つけておいたので落ち着いて指示を出す。
「石弾!」
俺は目の前に3つ拳ほどの大きさの石を生み出し、それを高速でリトルウルフの頭部にぶつける。
ぐしゃっ、と嫌な音がしてリトルウルフの頭部は潰れる。
「せいっ! やぁっ!」
ミリアは槍で飛びかかってくるリトルウルフを強引に吹き飛ばし、単独で来たものを突き殺す。
複数で来るものは分けて倒す、正しい選択だ。
「素材回収にゃ!」
ミリアは倒されたリトルウルフの売れる部分を一瞬で剥ぎ取り、収納ボックスに入れる。
「ありがとう! あんた達強いんだな!」
「いい連携だったね!」
「そうだな」
「ダイゴ、リトルウルフの牙は高く売れるんだから潰しちゃダメにゃ!」
「ああ、すまん」
そんな感じで俺達はたまに現れる魔物達を倒しつつ、帝国都市に一番近い村に向かった。
しばらく進んでいると森の奥に濃い霧に包まれた部分が見えた。
「うわ、あそこ凄い霧だな」
「ほんとだ! 前が見えなさそうだね」
「ああ、あそこか。あそこには入らない方が良いぜ」
「どうしてですか?」
「あそこに入ると必ず迷うんだ。というか元の場所に戻される。ここら一帯は迷いの森って呼んでるのさ」
「迷いの森……か」
「まぁ入らん限りは何も無いから安心してくれ。さ、もうそろそろ着くぞ」
商人がそう言ったのて森を見るのをやめ、前を見ると木の柵に囲われた村が見えた。
ここから遠くに見えるあの山まで歩きか……
「よし、着いたぜ。魔物を倒してくれてありがとな!」
「こちらこそ乗せてくれてありがとうございました」
「じぁまた会ったら声掛けてくれよな!」
「はい、ありがとうございました」
俺達は商人と別れ、村の宿屋に向かった。
この村はラッカーナから帝国都市に行く人が必ず泊まる場所なので宿屋や飲食店が多い。
「ごめんくださーい。泊まりたいんですけど」
「はい、いらっしゃい! 何人だい?」
「3人です」
「はいよ、3人部屋が空いてるからそこね」
「ありがとうございます」
これでやっと俺もベッドで寝れる……!
俺は3つ並んだベッドを見て1人ガッツポーズをした。
部屋に荷物を置いて俺達は軽く食事をするために酒場に向かった。
宿屋の一番近くにあった酒場に入るとかなりの人で賑わっていた。
その誰もが自分達のような冒険者らしい格好をしていた。
「いらっしゃい。冒険者かい?」
カウンターに座るとバーのママのような人が声を掛けてきた。
「はい。明日帝国都市に向けて出発しようと思って」
「帝国都市にね……なら迷いの森には気をつけることだね」
「迷いの森ってそんなに広いんですか?」
「広いよ。毎年行方不明者が出てるくらいにね」
「そうなんですか。迷いの森ってずっとあるんですか?」
「えぇ、勇者がいた時代にもあったみたい。勇者の言い伝えによると迷いの森の中には天国があるらしいわよ。行けたらいいわね、うふふ」
「天国……か」
「天国って事は死んでるにゃ!? ガクブルにゃ……」
「まぁ、言い伝えだからね。さ、明日も早いし帰りましょ」
「そうだな。けどその前に何か食ってこうぜ」
「魚が良いにゃ!」
「じぁ私も何か頼もーっと!」
酒場で食事を終えて宿屋に戻った。
久々のベッドは気持ちよかった……
――翌朝――
「ここから帝国都市まで一週間程度かかるから覚悟してね」
「一週間もかかるのか……?」
「遠いにゃー!」
「これでも最短ルートを選んでるんだよ!」
一週間も歩くなんて日本人には考えられないな……
車が欲しい……運転できないけど。
「分かった、すまん。行こうか」
「レッツゴーにゃ!」
俺達は必要最低限の荷物を手に持ち、後は収納ボックスに入れてマックスが持つ。
森は整備などされておらず、木が鬱蒼と生い茂り、薄暗い。
「うぅ……不気味にゃぁ」
「魔物もあまり出てこないのも少し不気味だな」
「みんな、そろそろ迷いの森の近くだよ。気をつけてね!」
「んにゃ? あっち、何かあるにゃ」
「何言ってんだよ。あっちは霧だぞ?」
「僕の勘がそう言ってるにゃ! 行ってみるにゃー!」
「うーん、仕方ねぇな。少し行ってみるか? マックスの勘は当たるしな」
「えぇー!? ダメだよ、危ないよ!」
「大丈夫、ちょっと行ってみるだけだ。それに危ないと思ったらすぐに引き返す。良いだろ?」
「……もう! ちょっとだからね!」
そう言って俺達ははぐれないよう、手を繋ぎながらマックスの言う方に歩いていった。
「この霧……魔法か?」
霧の中に入ってみて普通の霧とは違うことに気づいた。
この霧には魔力の流れがある。
中心から発生している魔力を霧に変換しているみたいだ。
それに加えて混乱の魔法も付与してあるので入った人達は皆迷う訳だ。
俺は耐性があるから平気だが、ミリアはちょっと危ないな。
「あれぇ? こっちじゃないのぉ?」
「こっちだ。マックスは平気なんだな」
「僕はいつでも冷静にゃ!」
変な方向に進もうとするミリアを引っ張りながら霧の中心に向かって歩いてしばらく経つと霧が薄れてきた。
「お、そろそろ中心だな……え?」
霧の中心に着いて霧が晴れるとそのにはそこそこ大きな村があった。
霧の中心に村? どういうことだ?
しばらく狼狽えていると槍を持った男達が数人走ってきた。
あの耳……エルフか?
「何者だ! どうやってここまで来た!」
「え、俺達たまたま辿り着いて……」
「嘘を言うな! 普通の人間にはあの霧は超えられないはず!」
「ま、まぁ落ち着いて……」
「問答無用! 着いてきてもらう!」
「……戦うかにゃ?」
「いや、ここは大人しくしておいて後で誤解を解こう……」
俺達はそのまま抵抗せずに男達に着いて行った。
連れていかれた場所は町の交番のような馬車で武装した男が沢山いた。
「お前達人間だよな? 何しにここまで来た?」
「こいつがあっちに何かあるって言ったから興味本位で……」
「どうして霧を超えられた? あれは普通の人間なら混乱して元の位置に戻るはずだが?」
「魔法には耐性がありまして……その、魔法使いなんで」
「はぁ……全く信じられないな。どうせ俺達エルフを捕まえて売ろうって魂胆だろ!」
「いや、そんなことしませんよ。エルフの知り合いもいますし、今の世の中じゃ人攫いはそうそういませんよ」
「エルフの知り合いだと? ふざけるな! 嘘を言っても騙されんぞ! 人族はそうやって俺達を騙そうとするんだ!」
うーん、全く話にならないな……
人間に対する偏見が凄すぎる。
「分かりました。もう、出ていきますので許してください」
「そんなこと言って仲間を連れてくるつもりだろ! そうはいかんぞ……こいつらを地下牢に閉じ込めておけ!」
「はぁ!?」
いやいや、話通じなさすぎでしょ!?
不味い、こんな人数に囲まれたら抵抗のしようがない。
牢に入れられてからサクッと脱出するか。
「おら、入っておけ! 汚らしい人族め!」
「マックスぅ? ダイゴぉ?」
「「ギクッ!!」」
「私やめようって言ったよねぇ? 危ないって言ったよねぇ?」
「そ、その……」
「だから言ったでしょうがああああああああぁぁぁ!!」
「ごめんなさいぃぃぃぃぃぃ!!」
二度とミリアを怒らせるのやめよう……
普段優しい人は怒ると怖いんだな……
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