気分は下剋上 chocolate&cigarette
31
「うわぁ、凄っ!シンデレラ城みたいやん!」
考えに没頭していたものの、手が勝手に動いて、砂場でドイツのノイシュヴァンシュタイン城を再現していたらしい。
確かにこのドイツ一有名だと思しきお城は東京DLのモデルの城になっていたと読んだ覚えがあった。一回も行ったこともなければ、行きたいとも思わなかった――祐樹が誘ってくれれば別だが――「人工の夢の国」の遊園地だ。まあ、ドイツのお城の出来映えは我ながら素晴らしかったので、手の震えが起きていないことを目で確かめて心の底から安堵感を覚えた。呉先生の目論見通りの結果が出せそうな気がして。
二次元のモノを三次元に変換して構築する能力は職業上必須だが、まさかこういう場面でも役に立つとは思ってもいなくて内心驚いていたが、子供達はとても楽しそうな笑みを浮かべているので良いのだろう。
それに、手の震えが子供達に影響されて緩和されているのも心の底から喜ばしい。
祐樹が心の底から安堵したような笑みを垣間見せてくれたのも。
優先順位は――祐樹の精神状態を案じている内心ではともかく――自分の指に残ってしまった「事件」の後遺症を治すことで、それが良い方向に行ったのも子供達のお蔭であることも間違いはない。
呉先生も難易度の低いICカードをかざすことから――実際昨夜の段階では絶対に無理だったと断言出来る――始めて様子見をしたのだろう。そしてそれをクリア出来たのでこの公園を選んでくれたのだろう。
そして、その順番通りにメキメキと回復していっているような気がする。精神的ショックに対しては、決められたマニュアルなど存在しないのも知っていた。だからこれは普段友達付き合いをしているので自分のことを熟知した――祐樹の方が更に知っていそうだが、祐樹は祐樹で罪悪感という名の精神的ダメージを受けているのも垣間見えてしまっていて、これ以上の負荷をかけるとますます傷付くだろうから祐樹へ心配をかけるようなことはしたくない――呉先生の優秀さのお蔭だろう。
子供達が嬉しそうに、そして砂場に出来たお城を感嘆とか尊敬の眼差しで見た後に自分の方へと「スゲー」とか「今度はあれを作って欲しいねん」とか口々に言ってくる――ちなみに「あれ」の部分は甲高い声かつ早口で言われたのでうっかり聞き逃してしまったが、アニメか何かに出てくる固有名詞のようだった。アニメは観ないというか全く関心がないので確かではないが、一方的に話している内容から察するとそんな感じを受けた。
大人と異なって子供の無邪気な称賛は、身体も使って行われている。弾む気持ちそのままといった感じで手足を動かしている様子を見ているだけで元気を貰えそうだった。それに蝉の声が混じった太陽の光りを浴びているだけでも何だかとても健康的な感じがして良い気分転換になった。
それに。
考えに没頭していたものの、手が勝手に動いて、砂場でドイツのノイシュヴァンシュタイン城を再現していたらしい。
確かにこのドイツ一有名だと思しきお城は東京DLのモデルの城になっていたと読んだ覚えがあった。一回も行ったこともなければ、行きたいとも思わなかった――祐樹が誘ってくれれば別だが――「人工の夢の国」の遊園地だ。まあ、ドイツのお城の出来映えは我ながら素晴らしかったので、手の震えが起きていないことを目で確かめて心の底から安堵感を覚えた。呉先生の目論見通りの結果が出せそうな気がして。
二次元のモノを三次元に変換して構築する能力は職業上必須だが、まさかこういう場面でも役に立つとは思ってもいなくて内心驚いていたが、子供達はとても楽しそうな笑みを浮かべているので良いのだろう。
それに、手の震えが子供達に影響されて緩和されているのも心の底から喜ばしい。
祐樹が心の底から安堵したような笑みを垣間見せてくれたのも。
優先順位は――祐樹の精神状態を案じている内心ではともかく――自分の指に残ってしまった「事件」の後遺症を治すことで、それが良い方向に行ったのも子供達のお蔭であることも間違いはない。
呉先生も難易度の低いICカードをかざすことから――実際昨夜の段階では絶対に無理だったと断言出来る――始めて様子見をしたのだろう。そしてそれをクリア出来たのでこの公園を選んでくれたのだろう。
そして、その順番通りにメキメキと回復していっているような気がする。精神的ショックに対しては、決められたマニュアルなど存在しないのも知っていた。だからこれは普段友達付き合いをしているので自分のことを熟知した――祐樹の方が更に知っていそうだが、祐樹は祐樹で罪悪感という名の精神的ダメージを受けているのも垣間見えてしまっていて、これ以上の負荷をかけるとますます傷付くだろうから祐樹へ心配をかけるようなことはしたくない――呉先生の優秀さのお蔭だろう。
子供達が嬉しそうに、そして砂場に出来たお城を感嘆とか尊敬の眼差しで見た後に自分の方へと「スゲー」とか「今度はあれを作って欲しいねん」とか口々に言ってくる――ちなみに「あれ」の部分は甲高い声かつ早口で言われたのでうっかり聞き逃してしまったが、アニメか何かに出てくる固有名詞のようだった。アニメは観ないというか全く関心がないので確かではないが、一方的に話している内容から察するとそんな感じを受けた。
大人と異なって子供の無邪気な称賛は、身体も使って行われている。弾む気持ちそのままといった感じで手足を動かしている様子を見ているだけで元気を貰えそうだった。それに蝉の声が混じった太陽の光りを浴びているだけでも何だかとても健康的な感じがして良い気分転換になった。
それに。
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