忍者はダメ巫女をお守りする

ノベルバユーザー297273

2 忍者猫登場

忍者猫、雪ちゃんは玄関に放置された謎のダンボール箱を、ちょいちょいっと右足でつつくと、ポーンと箱の上に乗って潰した。
「ああっ! そんな乱暴な! 得体の知れないダンボール箱を!」
愛子がドアホーンの前で、大声を上げる。
「雪ちゃんが平気だって。大丈夫だと言うことよ。とにかく、ダンボール箱を確かめましょう?」
「私もそのほうが、良いと思います」
「うむ。私もそのほうが良いと思う」
須佐と迦楼羅が賛同する。
「うう、分かったわよ! もう。良い? ドアを開けるわよ! 用心して」
愛子がドアを開ける。
すると、にゃ~ん、と猫の雪ちゃんがスルッと部屋へ入って来る。
「あっ、入ってくるな!」
「大丈夫ですよ。雪ちゃんは爪とぎは外でやりますし」
「そういうことじゃ! ……まぁ、いいわ。それより、謎のダンボール箱ね」
愛子は廊下に出て、ダンボール箱を慎重に探る。
中には何も無い。
「訳が分からないわ……どういうこと?」
ダンボール箱を持ち上げた時、ひらりと紙が落ちた。
「これ、人形(ひとがた)だわ。あの宅配便の人は……この人形だった?」
「ニャー 」
「雪ちゃんが、当たりって言ってる」
「ダンボール箱は、何なの」
「……やはり何かを送って来たのでしょう。ですが何を……」
須佐が、首を傾げる。
サクラが、スッと威厳を出す。
いつものサクラではない。
「呪いです」
言うと、明るい太陽の光が周りに満ちる。
「天照大神が祓いきよめる」
スッと皆に向かうと、「気を付けなさい」と言って、サクラが倒れた。
その場に沈黙が降りる。

「……サクラが、天照大神を降ろした……。サクラは、落ちこぼれじゃなかったの!?」
迦楼羅がサクラを抱き起こすと言う。「サクラ様は、自在に神を降ろせないのです。ですが、ここぞと言うときには…………いや、まぐれに……いや、神がサクラ様の身が最悪に危ない時に、無理に降りるのです」
「無理に神が降りることが、サクラ様に負担をかけるのです。それが問題なのです」
須佐が言った。
「なるほどね」
迦楼羅がサクラを部屋へ連れて行く。
雪が、サクラについて行った。

サクラがベッドで目を覚ますと、寝たまま、言った。
「今、何か見えた」
「何がですか?」
迦楼羅が聞くと、サクラはえーと、と思い出すように唇に人差し指をあてた。
「流れ星……流星かな? 光って落ちていった。あれ、今回の事件に関係していると思う」
雪が肯定するように、ニャーと鳴いた。

愛子達はサクラの話を聞いて、さらに悩んだ。
「天照大神様によると、今までの出来事は呪いで、サクラの話が関係するならば……って、流星がどうつながるのよ!」
愛子は頭を抱えた。
須佐も唸った。
「分かりません」
迦楼羅も首を振った。
サクラは、まあ何とかなるんじゃない? とひとり呑気だ。


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