神の使徒
神の使徒 誓約の使徒編
…ペラ、と紙束をめくる音が某大企業の社長室を思わせる部屋に響く。俺の目の前にはピシッと整うスーツで白の眼鏡を掛けた妙齢な女性が書類と睨みあっている。
また、ペラリと書類をめくった所で彼女は顔を此方へ向けた。
「君の経歴はよく分かったよ。名前は柴田・敦、二十七歳、男性…まぁ、既に終わったことだ。もう必要ないね」
と、俺の人生を彼女は一蹴した。
「えっと、あの、俺は…」
「…君は死んだ、自殺したんだ。覚えてないかな?」
「…ッ!」
言われた瞬間、フラッシュバックするかのように俺は死の一瞬を思い出す。キラリと光る刃物の切っ先…。
それを思い出した瞬間、俺はその場に気持ち悪さを覚えて倒れた。まだ胃のブツを吐き出さなかっただけ増しだ…。
「こんな所で寝ないでくれ。ここからが本題なのだからね。君は仕事での過労を末に自殺した、本来なら君にはそのまま消えてもらったんだけど、君の弟悠介君から直接頼まれたんだ、どうか兄を助けて下さいってね。だから君を使徒として使役して新しい人生を送らせてあげる」
「あいつが…」
正直その話しを聞いた時、驚いた。そんなに仲が良いとも思わなかったし、ましてや俺を助けてくれるほどあいつが善人であるとも思えなかった。どこにでもいる普通の兄弟でどちらかが死ねばそれを見送る、それくらいの関係だ。
「待ってくれ、とにかくいきなりそんな話しをされても、俺にも情報の整理をする時間をくれ…」
そう俺は時間をもらえるように頼んだが彼女は告げる。
「残念だけれど悠長に考えている時間はない。君の魂の摩耗は始まっている、今すぐに決めなさい、私の使徒として生き永らえるか、それともそのまま魂が消えるのを待つか…。柴田・敦君、これは新たなチャンスなんだよ。新しい人生を再スタートしないのかい?」
その言葉は、苦痛と共に死んでいった俺にはどんな至上の快楽よりも深く気分を高揚させた。
新しい…人生。
それで俺の答えは決まっていた。
「俺は、貴女の使徒になります」
と、弟へ少なからずの感謝の念も込めて俺は彼女へ《神》へと告げたのだった。
「では、よろしく頼む新しい私の使徒君」
神は穏やかな笑みを浮かべ俺へと手を差し出した。
また、ペラリと書類をめくった所で彼女は顔を此方へ向けた。
「君の経歴はよく分かったよ。名前は柴田・敦、二十七歳、男性…まぁ、既に終わったことだ。もう必要ないね」
と、俺の人生を彼女は一蹴した。
「えっと、あの、俺は…」
「…君は死んだ、自殺したんだ。覚えてないかな?」
「…ッ!」
言われた瞬間、フラッシュバックするかのように俺は死の一瞬を思い出す。キラリと光る刃物の切っ先…。
それを思い出した瞬間、俺はその場に気持ち悪さを覚えて倒れた。まだ胃のブツを吐き出さなかっただけ増しだ…。
「こんな所で寝ないでくれ。ここからが本題なのだからね。君は仕事での過労を末に自殺した、本来なら君にはそのまま消えてもらったんだけど、君の弟悠介君から直接頼まれたんだ、どうか兄を助けて下さいってね。だから君を使徒として使役して新しい人生を送らせてあげる」
「あいつが…」
正直その話しを聞いた時、驚いた。そんなに仲が良いとも思わなかったし、ましてや俺を助けてくれるほどあいつが善人であるとも思えなかった。どこにでもいる普通の兄弟でどちらかが死ねばそれを見送る、それくらいの関係だ。
「待ってくれ、とにかくいきなりそんな話しをされても、俺にも情報の整理をする時間をくれ…」
そう俺は時間をもらえるように頼んだが彼女は告げる。
「残念だけれど悠長に考えている時間はない。君の魂の摩耗は始まっている、今すぐに決めなさい、私の使徒として生き永らえるか、それともそのまま魂が消えるのを待つか…。柴田・敦君、これは新たなチャンスなんだよ。新しい人生を再スタートしないのかい?」
その言葉は、苦痛と共に死んでいった俺にはどんな至上の快楽よりも深く気分を高揚させた。
新しい…人生。
それで俺の答えは決まっていた。
「俺は、貴女の使徒になります」
と、弟へ少なからずの感謝の念も込めて俺は彼女へ《神》へと告げたのだった。
「では、よろしく頼む新しい私の使徒君」
神は穏やかな笑みを浮かべ俺へと手を差し出した。
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