いじめられてた俺が異世界に転移したら神になった〜チート能力で無双〜

guju

我儘

「うわー」

 俺は今、目の前の同級生にやられた。
 中級の魔法ファイヤーバレットを、さも効果抜群のようにくらい、まるで聞いているかのように後方に大袈裟に飛ばされた。
 そして、映画に出ればアンチ間違いなしの棒読み大根芝居で自らの無力をアピールした。

 まるで勝ったかのように勝ち誇っている――実際には勝ったのだが、その同級生を心の中で、何故か溢れ出てきた罪悪感から謝罪をし、待合室に戻った。

 やはり、俺の帰りを知っていたのか直ぐに来るシャルロットは、俺から訓練用の獲物を受け取り開口一番こう言った。

「主様、妾もあのようすればいいのですか? 」

 なんとも言えないシャルロットの目に、まぁ仕方ないと言ってやりたいが俺は心を鬼にして言う。

「そうだ、無様に戦い無様に敗北しろ」

………………
……



 寮に帰れば、俺は酷く落ち込んだ。
 いや、別にそこまで落ち込むほどのことでもないし、そんなに考える事でもないのだが。

 何が嫌かって、嵌められた挙句、自ら大衆に醜態を晒すって事だ。
  何故、俺より劣っているやつに俺が負けなければならない。
 何故、俺より劣っているやつに笑われなければならない。

 全部、俺の我儘だと言うことは百も承知だ。
 だが、腹立たしいことは腹立たしいのだ。

 そもそも、俺はなんでこんな事をしているのだろうか。
 なぜ、こんなにも慎重になっているのだろうか。

 だいたい、国の事なんて俺には知った事じゃないじゃないか。
 多少強引でも、別にいいじゃないか。
 どうせ、真実を知る間者は永久に口を聞けないのだから。

 俺は、部屋を立ち去る。
 その手には、ギルドより支給された保映魔晶――魔力を動力に映ったものを音と共に保存する魔道具――を握っていた。
 

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