自宅にダンジョンが出来た。(WEB版)

なつめ猫

はふりの器(41)




 ――歩くこと数分。
 
 まったくと言っていいほど、公衆電話が道路沿いにない。
 海岸線から内陸部に入ったというに……。

「はぁ――、ここはどこだ?」

 立て看板も見当たらない。
 それどころか先ほど、前方から細かい砂利や砂まで含んだ強風が吹いてきたりした。

「伊東市まで2キロ?」
 
 ようやく、道路の脇に標識が見えてきたと思ったら、看板に書かれているのは伊東市という文字。
 
「たしか伊東市は、伊豆半島の市だったよな?」

 うろ覚えだったが合っているはず。

「何てことだ……」

 思わず溜息が出る。
 千葉の海ほたる――、アクアラインで中性子爆弾の直撃に耐えられたと思ったら伊豆半島まで流されてきているとは……。
 それに、伊豆半島と言えば――、太陽光発電施設建設により崖崩れが起きたことで故郷である上落ち村が消えた場所でもある。

「そういえば、あれから一度も行っていないな……」

 俺だけが助かった時から、神居村の寺にお墓の維持の為のお金を振り込んではいるが、上落ち村には戻っていない。
 妹の鏡花の事――、そして俺にはやる事があったから。
 
 あの事件後、色々とあったと思うが気が付けば、俺はアパートに戻っていたのだ。
 事件当日の記憶は曖昧で――、それでも上落ち村で起きた惨劇は、東亜ソーラー開発株式会社と、その関係者だという事だけはハッキリと覚えていた。
 だからこそ――、俺は……。
 何気なく村がある西方へと視線を向ける。
 すると、レベル上昇とステータスを振ったおかげで強化された視力が西の上空から何かが落ちてくるのを捉えた。

「あれは……、――なんだ?」

 一瞬だったが、ハッキリと見えた。
 上空から振って来たのは青い燐光を含む鉄の針のような物。
 それが上空から西の方へと落ちていくが分かった。
 問題は、何のために――。

 疑問に思った瞬間、大地が揺れ西の方から突風が吹きつける。
 それは尋常ではない程の強風。
 通りを走っていた車が横倒しになるほどのものであった。

「一体、何が起きている?」

 携帯電話が使えない状態では、何が起きているのかすら正確に判断がつかないが――。
 横倒しになった車に、とりあえず近づく。
 
「大丈夫か?」

 車には、子供が一人――、成人男性と成人女性が乗っており女性と男性は額から血を流している。
 スキル「神眼」で確認。




 ステータス

 名前 岡村(おかむら) 隼人(はやと)
 年齢 27歳
 身長 181センチ
 体重 67キログラム

 レベル1
 HP 8/10
 MP 10/10

 体力 15(+)
 敏捷 19(+)
 腕力 22(+)
 魔力 0(+)
 幸運 0(+)
 魅力 9(+) 

 ▼所有ポイント 0 



 ステータス

 名前 岡村(おかむら) 祥子(しょうこ)
 年齢 25歳
 身長 165センチ
 体重 60キログラム

 レベル1
 HP 7/10
 MP 10/10

 体力 9(+)
 敏捷 14(+)
 腕力 11(+)
 魔力 0(+)
 幸運 0(+)
 魅力 14(+) 

 ▼所有ポイント 0 



 二人とも額からの出血は酷いがログを見る限り、命に別状はないようだな。
 問題は……、視界内に赤いログが開いていること。
 ガソリンタンクからガソリンが流れ出ていることを告げている。

 これは早めに車から出した方がいいだろう。

 ただ――、車のドアは横転した影響からなのかひしゃげており開かない。
 ドアを無理やり開けてもいいが――、確認を取ろうとして何度か、車のドア窓を叩くが、乗車員の反応がない。
 救急車を呼ぼうにも携帯電話も使えないし、公衆電話も近くにない。

「仕方ない」

 車のドア部分に抜き手を放ち穿つ。
 そして片手で車のドアを無理やりひっぺがえす。

 二人の男女を車の外に出したあと、最後に子供をチャイルドシートを引きちぎり車から降ろす。
 そこで車は爆発し炎上する。
 
「何とか間に合ったな」
 
 すぐに3人をコンクリート製の建物の裏手に運び手当をする。
 成人男性と成人女性のステータスを確認するが、HPが減っているだけで特に危険な兆候は見られない。
 すぐにアイテムボックスからミドルポーションを取り出し二人に飲ませてから体の表面に、ミドルポーションを掛けておく。

「とりあえず、これでいいな――。あとは……」

 子供の方をスキル「神眼」で確認する。
 そこで俺は思わず舌打ちをした。


 
 ステータス

 名前 岡村(おかむら) 早紀(さき)
 年齢 4歳
 身長 103センチ
 体重 15キログラム

 レベル1
 HP 1/10
 MP 10/10

 体力 1(+)
 敏捷 1(+)
 腕力 1(+)
 魔力 0(+)
 幸運 0(+)
 魅力 19(+) 

 ▼所有ポイント 0 



 先に治療した二人の成人男性と成人女性の苗字が岡村であることから、瀕死の子供の両親なのだろう。
 そう結論づけると共に、視界内に表示されているプレートにログが流れる。

「くそっ! 先に確認しておけば――、状態は……内臓損傷及び、心肺停止……」

 流れたログ内容から見て状況は絶望的。
 これは、救急救命LV10でどうにか出来る範疇を超えている。
 スキル「大賢者」を確認する。
 もしかしたら、スキル「少彦名神(スクナヒコナ)」の発動が出来るかもと淡い期待をしたのだが――。



 スキル

 ▽「ロリ王LV1」(+)(ON/●OFF)
 ▽「JK交際LV1」(+)(ON/●OFF)
 ▽「隠蔽LV10」(●ON/OFF)
 ▽「ポーカーフェイスLV1」(+)(ON/●OFF)
 ▽「#JWOR」
 ▽「ZH)N」
 ▽「大賢者」(●ON/OFF)【システム凍結中】
 ▽「アルコール耐性LV10」(●ON/OFF)
 ▽「救急救命LV10」(●ON/OFF)
 ▽「限界突破LV10」(ON/●OFF)
 ▽「バーサクモードLV10」(ON/●OFF)
 ▽「威圧LV10」(ON/●OFF)
 ▽「MAP作成LV10」(+)(●ON/OFF)
 ▽「暗視LV10」(+)(●ON/OFF)

 ▽所有ポイント  5  



 大賢者が戻って来ているか確認しようとしたが、システム凍結中の文字が書かれている。

「どういうことだ?」
 

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