自宅にダンジョンが出来た。

なつめ猫

激戦! 激闘! 海上決戦!(2)




「レベル1万――、レベルの上限に到達している俺の剣速は音速を優に超えている。その俺の剣をよく避けることが出来たな? 貴様もレベル1万に到達しているのか?」

 田中は――、――そう俺に問いかけてくるが……。

 俺は切り裂かれた海ほたるの建物を見ながら舌打ちする。
 威力だけなら俺の魔法:草薙の剣と同等、もしくはそれ以上と推測できるが……。

 いまの俺は、スキル「大賢者」のサポートが得られない。
 そのために、唯一の攻撃魔法である草薙の剣の展開発動を行うことが出来ない。

「なんだ? 黙りこんで、正義のミカタさんよ。コイツの威力を見て、恐れ慄いたのか? コイツはイガリマと言ってな。古代メソポタミア文明の跡地で発掘された武器の1本だ。炎を纏い山を両断する力を有している。俺が有する武器の中でも最高ランクの武器だ。つまり――、俺が何を言いたいのか分かるよな?」
「……」
「お前は、さっき言ったな? 俺が負けた場合――、俺にこの場から去れと――」

 田中の言葉に俺は頷く。

「だがな――、勝敗のつけ方は決めてはいなかったよな?」
「……何が言いたい?」
「貴様も日本ダンジョン探索者協会に所属しているのなら分かるだろう? ダンジョン内での勝敗は――、どちらかが負けを認めるか――、それとも! どちらかが死ぬまでだということくらい! 貴様は、さっきの俺への一撃で俺を本気にさせた。そして、このイガリマは俺が本当の敵と認めた相手にしか使う事がない。あとは分かるな?」
「分からないな。悪いが核爆弾が3発も、【海ほたる】に設置されている。貴様の相手をしている暇などない。それに核爆弾が爆発すれば半径4000メートル以内の生物は死滅する。貴様も、例外ではないんだぞ?」

 俺の説得に――。

「ハハハハッ、これはお笑いだ。さっきも言っただろう? 俺が死ぬことはないと――。いいぜ、教えてやる。俺の能力は幻想(イリュージョン)の終末(アルテミア)。人類史に存在する全ての武器と防具を作り出し行使する技だ。つまり、俺は――、どんな攻撃も無効にする武器と防具を任意で作り出すことが出来るということだ!」
「……そうか」

 そういうことなら説得は無理。
 なら押し通すしかない。
 制限時間は、すでに130秒を切っている。

「覚悟は決まったか? 自称正義の味方にして、ヒーロー」
「ああ、十分――、理解した」

 時間は無い。
 手加減している余裕も……ない!

 意識を切り替えろ。
 相手はレベル1万、しかも俺の魔法:草薙の剣と同等以上の力を持つ剣を振り回す敵!

 動いたのは相手から。
 常人を遥かに超える速度で、俺の前に現れると同時に右手1本で3メートルを超える人造兵器イガリマを俺目がけて振り下ろしてくる。
 
 炎を纏い振り下ろされた剣先を、横に避けながら刀身の横腹を左手で殴りつけ相手のバランスを崩す。
 それと同時に左足を軸に体を回転させながら右上段回し蹴りを相手の側頭部に向けて繰り出すが、クーシャン・ベルニカは、態勢を崩しながらも右手に1本の剣を作り出し刃の部分で俺の蹴りを受け止めるが――、俺はそのまま力任せに強引に押し切る。

 クーシャン・ベルニカが、右手に携えていた剣が圧力に耐えかねたのか粉々に砕けると同時に俺の右上段回し蹴りが、クーシャン・ベルニカの側頭部を捉え吹き飛ばす――、が! 吹き飛ばされたまま空中で態勢を整えるとクーシャン・ベルニカは何事も無かったように俺を見てくる。

「飛んで威力を軽減していなかったら死んでいたところだったぞ? お前、一体何者だ? それに、お前が砕いたのは魔剣グラムだぞ? 金床すら両断するほどの切れ味を誇る剣だというのに……。ハハハハッ、コイツは面白い! 日本国政府も、とんだ狸だったというわけか! こんな隠し玉を用意しているとは……、以前とは違った歴史だな!」
「何を言っている?」
「貴様には関係ない! いいだろう! おれの全力を貴様に! こい! シュルシャガナ!」

 何もない空間上に――、刀身が透明な3メートルを超す巨大な両刃の剣が出現する。


 
【アイテム名】

 人造兵器シュルシャガナ

【効果】

 太古に栄えた魔術大国レムリア王国の魔術師が作り出した最古の剣の一本。
 あらゆる氷結・水を生み出し操ることが出来る。
 全ての物質を分子レベルで凍結・崩壊させることが可能な大剣。



「また、厄介なものを……」
「ほう、見ただけで分かるということは――、貴様――、魔法「解析」を習得しているな?」
「……」

 相手の話に付き合う余裕はない。
 短期決戦で決めさせてもらう!
 今度は、俺の方から真正面に間合いを詰める。

「――クッ!? 身体能力は、こいつの方が遥かに上か!?」

 そう悪態をつくクーシャン・ベルニカ。
 その言葉を聞きながら、床を蹴りクーシャン・ベルニカの背後に回り込み無防備な背中に拳を叩きつける。
 金属同士がぶつかり合う音と同時に、俺は咄嗟にクーシャン・ベルニカから距離を取り、すぐにグローブを投げ捨てた。
 グローブは床の上に落ちると同時に、粉々に砕け散る。

「ピーナッツマンだったか? こいつは失礼をした。どうやら、俺はお前を――、まだ過小評価していたようだ」

 2本の大剣を両手に持ったままクーシャン・ベルニカは、俺に語りかけてくる。

「本来なら、腕一本の分子を凍結させて砕く予定だったんだが――、グローブ一枚で済ますとはな。久しぶりに熱い戦いができそうだ!」

 

 

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