自宅にダンジョンが出来た。

なつめ猫

ポーションの性能




 アパートの大家――、杵柄さんが寝ている集中治療室へと向かっていると看護師とすれちがう。

「ご家族の方でいらっしゃいますか?」
「はい。そうですが?」
「そうですか。お見舞いは20時までですので、よろしくお願い致します」
「わかりました」
 
 彼女の言葉に頷く。
 それと共に、腕時計を確認する。
 
「19時48分か」

 つまり、あと12分ほどしか居られないということだ。
 規則なら仕方ないな。
 
 とりあえず、医者は大丈夫だと言っていたが……。
 念のために、「解析LV10」で杵柄さんのステータスを確認しておく。



 ステータス

 名前 杵柄(きねづか) 妙子(たえこ)
 職業 無職
 年齢 72歳
 身長 151センチ
 体重 46キログラム

 レベル1
 HP2/10
 MP10/10
 
 体力 9(+)
 敏捷 4(+)
 腕力 5(+)
 魔力 0(+)
 幸運 3(+)
 魅力 5(+)

 所有ポイント0



 HPが2か……。
 それが、どれだけの物を基準に現しているか分からないが、やはり数値が低いことは芳しくはないだろう。
 
「そういえば……」

 集中治療室から離れ、スマートフォンで日本ダンジョン探索者協会のホームページを開く。
 そして、オークションサイトを閲覧。
 全世界探索者協会オークションサイトというのが開くと取り扱っている商品というかアイテムが一覧で表示される。
 現在、出品されているアイテムの数は2万点ほど。

「検索項目は……、ポーションでいいか。検索ヒットは877件――、思ったよりも多いな」

 検索項目に毒を打ち消す効果のポーションは除外するように設定する。
 つぎに傷口を治すポーションにチェックを入れて再度検索。

 ――ヒット件数は、381件
 
「……これは――」

 思わず唸ってしまうほど高い。

 『333件』 
 【ポーション】(日本ダンジョン産)    
 平均最低落札価格10万円
 ※擦り傷まで回復
 
 『21件』   
 【ミドルポーション】(日本ダンジョン産) 
 平均最低落札価格200万円
 ※骨折まで回復
 
 『17件』   
 【ハイポーション】(日本ダンジョン産)  
 平均最低落札価格2000万円
 ※失明・手足麻痺まで回復
 
 『5件』   
 【エクスポーション】(日本ダンジョン産) 
 平均最低落札価格5000万円
 ※四肢欠損まで回復

 『3件』
 【万能薬】(日本ダンジョン産)      
 平均最低落札価格10億
 ※全ての病を治療
 
 『1件』   
 【エリクサー】(日本ダンジョン産)    
 平均最低落札価格100億
 ※5歳程度の若返り・遺伝子疾患を含む全ての病・身体的欠損を治療
 
「こんなの買う奴がいるのか?」

 エリクサーと万能薬をクリックする。
 すると万能薬に入札しているのが117人。
 エリクサーに至っては300人が入札をしている。

 エリクサーを選びクリック。
 するとエリクサーの価格は、680億円を超えていた。

「無理だな……」

 とてもじゃないが手が出せない。
 それにしても……、ポーション関係は全て日本ダンジョン産しかないのは何故だ?

 別のサイトで確認していく。
 すると、まとめサイトに答えがあった。

「なるほど……、海外の探索者達は直接売買をしているのか……。それで、お金にならない物をオークションに出しているというわけか」

 まぁ、世界のダンジョンの9割が日本にあるのだからオークションが活発なのも納得だな。
 オークションに出品されている物も大半は日本の探索者からの出品のようだし。

 しかし困ったな……。

「あの失礼ですが……」

 先ほどとは違う看護師の女性が「面会時間も終わりですので」と語り掛けてくる。

「わかりました」

 時計を見ると時刻も20時を超えている。
 これ以上いると病院関係者に良く思われないだろう。



 5分ほどで病院の裏口から街道沿いに出る。
 目の前にはローソンが見えるが、車の姿はほとんど見えない。
 一瞬、富田に電話をしようかと思ったが、杵柄さんを送ってもらうために無理を言ったことを思い出し、短時間に何度も呼び出したら流石に迷惑だろうと――、思いとどまる。
 
「仕方ない。歩いて帰るか……」

 歩きスマホは、3年前に法律で禁止されたが、この暗闇の中どうせ誰も見ていないのだ。
 コッソリとやる分にはいいだろう。

 自宅まで徒歩で帰る間、病気などに効くポーションなどを調べる。

「なるほど……」

 どうやら病気に効くポーションはダンジョン内で稀に出現する宝箱かモンスターが落とすようだな。
 
 あとは……、効果を確認する為には、ダンジョン探索者協会に預け成分確認をしてもらう必要があるようだ。
 それと換金には最低一ヵ月が掛かると。

「そういえば、俺の自宅のダンジョンからは何のドロップもないな……」

 今更ながら、自宅のダンジョンでモンスターらしき物を倒しても何のドロップが無い事に溜息をつく。
 これほど、ドロップ品が高く売れるならドロップくらい出してほしいものだ。

「まてよ?」

 山根などがLV288でダンジョンに潜っていることを考えるとLV1100ある俺だったら何とかなりそうだぞ?
 一度、佐々木か江原に聞いてみるとするか。
 とくに江原には用事もあるからな。 

 考え事をしながら歩くこと20分ほどでアパートに到着。

 101号室に向かう。
 そしてドアを何度かノックするも反応がない。
 
「どこか出かけているのか?」


  

「自宅にダンジョンが出来た。」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「現代アクション」の人気作品

コメント

コメントを書く