地の底から這い上がる

海月 結城(旧チコ)

眠るもの1

 俺たちは今、シャルル王国から南に位置する村に向かっている。

「ここか」
「そうだね。でも」
『村人が普通に居るんだよね』
「ここに本当に居るのか? ルガーノ」
『了解』

 俺は、ルガーノを使い「探知」を使い魔族の反応を見つけ出した。

「ここは、村の真ん中? いや、地下だな」
「地下?」
「ま、行ってみるか」

 俺たちは村の中に入っていった。

「そこの旅のお方」
「はい、何でしょうか?」
「この村には何の用事で来たんですか?」
「ちょっと野暮用でね」
「……そうなんですか」
「入っていいか?」

 男は、少し考えた後、俺たちを村の中に入れてくれた。

「あ、そうだ。この村の中心にある地下にはどうやったらいけるんだ?」
「え、地下?」
「そんなのこの村にはないですよ」
「そうか。変なことを聞いたな。忘れてくれ」

 村の中に入った俺たちは、一度村長のところに行くことにした。村人に聞いたら素直に教えてくれた。

「ここか」

 村長の家を見つけた俺らは、ドアをノックした。

「誰じゃ?」
「旅の者なんですけど、村の中心地の地下の空間あれってどうやって行くんだ?」
「お前、それをどうやって知った?」
「ちょっとした魔法だ」
「簡単には教えられん」
「は? 教えろ。そこに魔族がいるんだ」
「そ、それは本当か!?」
「本当だ」

 村長は、わなわなと震えだし、決意を決めたような顔をしていた。

「分かった。そこへの入り口は、ここにある」

 村長は、右側にある部屋に俺たちを連れていき、床のカーペットを取り払った。そこには、床下につながるドアが設けられていた。村長はその扉を開けた。

「ここが、そこにつながる扉だ」
「さんきゅ」

 そう言って、にゃぽ、俺、ルガーノがそこに入っていった。俺たちは大切なことを見落としていた。それは、すぐに分かった。

「すごいな」

 その空間は、その一言に尽きるほど、広かった。

『この空間をどうやって作ったんだ』
「私も同じことを疑問に思った」
「そうだな。それも気になるが、まずはミイナ救出が先だぞ」
「『わかってる』」

 それからしばらく進むと、先ほどの空間よりもっと広い空間に出た。

「待ちくたびれたわ」

 そこにいたのは、赤く血塗られ、剣先からぽたぽたと赤い液体が垂れた剣を持ったキャスと、赤い液体の池に横たわってるミイナだった。

「待ちくたびれて、殺しちゃったわ。残念だったわね」
「え、ミ、イ、ナ……」

 ミイナは、その場から動こうとはしなかった。

「アハハ! 大事なお仲間さんが殺されて怒っちゃった? 最後まであなたが助けに来てくれるって、ずっと言ってたわよ。あの顔は、忘れられないわ。思い出すだけで、笑えてくるわ」

 そう言ってキャスは、耳障りな高笑いを永遠にしていた。

「ルガーノ。ちょっと来い」

 俺の声は、滅茶苦茶低くなっていただろう。

『な、何だ?』
「俺は馬鹿だ、あの時感じたのは魔族の反応一つだけだった。馬鹿だよな。ハハハ。「魔力制御」解除」

 ルガーノに触れて、今まで制御していた魔力をフル放出した。

「ハ、嘘、なにこの魔力!?」

 キャスは、高笑いを途中で止めざるを得なかった。

「魔王様以上の魔力? そんな、馬鹿な!? もしかして、あなた異世界からやってきた勇者。それに巻き込まれて来たの? あれは、おとぎ話なんかじゃなかったの?」
「ご主人様……ちょっと待って!」

 にゃぽが何かに気づいて、俺のことを止めようとしていた。
 だが俺は、それに気づかなかった。

『魔力が、暴走してる』
「ルガーノ、何とか出来ないの?」
『無理だ。我は自分の意思でこの魔法たちは使えないんだ』
「そんな」

 にゃぽと、ルガーノが絶望している中俺はその場にいなかった。


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