未来視

初めまして、僕は〈暁の旅団〉で幹部をしているルウ
ボスに頼んでこの屋敷の護衛に参加させてもらっている
この屋敷の持ち主であるマフィアの先代にお世話になったからだ
まぁ僕以外にも二人護衛についている
一人は戦闘経験があまりないシェム
もう一人はボスに心酔しているナルウだ
まぁ僕だけでも良かったんだけど、念のためにって言われたから仕方なくね
さてと、どうやら僕の相手が来たらしい、とっても楽しみだ


ジャンヌは息を整え
「お姉ちゃん、ここが〈剣帝の剣〉が保管されてる部屋なの？」
〈そうよ、そこにも敵がいるかもしれないから気を付けてね〉
「わかったわ」
「う～ん、終わったの？楓」
ルクが伸びをしながら目を覚ました
「起きたのね、ルク」
ルクはポケットの中から見上げてジャンヌの顔を見た
「なんであんたが？楓は？」
「楓さんなら敵と戦闘中です、それと私はジャンヌです」
「そうなのっでジャンヌは今から何をするの？」
「この中に入るつもりよ」
ルクはポケットから顔出し、覗いた
「なんで入るの？」
「ここに〈剣帝の剣〉があるからよ」
「そうなの、なら早く入らないの？」
「入ろうとしたら、ルクが起きたのよ、ルクはどうするの？」
ルクはジャンヌの顔を見上げ
「どうするって？」
「多分この部屋にも敵がいると思うの」
「うん、それで」
「そしたら、戦闘になると思うから、ここで待ってる？守りながら戦闘できないから」
ルクはポケットから出て、ジャンヌの顔の前まで浮かんだ
「行くわよ、私は第三警備隊の一員なんだから、それに自分の身くらい自分で守れるわ」
「そう、ならいいんだけど、浮かべるなら何で最初から浮かばないの？」
「魔力を使うから疲れるのよ」
「じゃあ、今は？」
「休眠モードで休んでいたから大丈夫よ、それよりさっさと行くわよ」
「わかった、準備するからちょっと待って」
「準備？」
扉が開き
「ようこそ、お客」
手榴弾が転がってきた
「えっ」
次の瞬間、まばゆい光を発した
「眩しい」
ルウが目を細めながら前を見ていると赤い線光が飛んできた
「えっマジで」
ルウは咄嗟に横に避けた


「準備？」
「そう、まずは」
ジャンヌは手を前に出すと手の上に手榴弾が現れた
「爆弾？」
「爆弾じゃないわ、閃光弾せんこうだんよ」
「閃光弾？」
「閃光弾っていうのは爆発すると眩しい光が発する爆弾のことよ」
「ふーん、それで相手の視覚を潰すってこと？」
「そういうこと、後もうひとつ」
ジャンヌは数個の〈流星〉を周りに浮かべた
「それは？」
「これはレーザーを撃つ機械よ、これで相手の視覚を潰した後に撃ち込めば」
「相手は倒されてるってこと？」
「そういうこと」
「えげつないことするわね」
「そう？じゃあ開けるわよ」


「どうかな？」
ジャンヌは部屋の中に入り、ルクも後に続いた
無傷のルウを見て
「どうやら失敗したみたいね」
ジャンヌは金属バットを出し、両手で握った
「いやぁいきなりの攻撃には驚きましたよ、お嬢さん方」
ジャンヌはルウに近付き、バットを降り下ろした
「おっと」
ルウは後ろに下がり避けた 
「残念」
「積極的なお嬢さんですね」
「お嬢さんじゃないわ、私はジャンヌよ」
ルウはお辞儀をしながら
「これはこれは失礼しました、ジャンヌさん、僕はルウと以後お見知りおきを」
「今後、会いたくないわ」
「これはこれは手厳しい」
〈お姉ちゃん、この男は〉
〈そいつは〈暁の旅団〉の幹部の一人で、未来を見ているかのように相手の攻撃を避けることから〈未来視〉のルウと呼ばれているわ〉
〈〈未来視〉のルウ〉