無表情ドールマスター

けんはる

侍 百合

「百合さん」
リントは建物の近くに立っていた女性に話し掛けた
「どうした?リント」
一人の女性が振り向き、リントに近づいてきた
「お疲れ様です、百合さん」
リントは後ろで手を組み、挨拶をした
すだちは百合を見ると黒のロングヘアーをポニーテールで全身は黒スーツを着て、耳は尖っていた
(エルフ?)
百合は視線に気付き
「君は?」
すだちを見た
「初めまして、錬金術師のすだちと言います」
すだちはペコリと頭を下げた
「あぁ丁寧にどうも、私は侍をしている百合だ」
百合も軽く頭を下げた
すだちは頭を軽く傾けて全身を見た
(侍?)
その視線に気付いた百合は
「刀はアイテムボックスにしまってるんだ」
「そうなんですか」
「でっすだちちゃんはどうしてここに?」
「あっはい、実は夏みかんに会いきたんです」
「会いに来たってどうして?」
「私、夏みかんの妹なんです」
「妹?あぁそういえば夏みかんが今日から妹がやるって言っていたっけ」
「はい、姉がいつもお世話になっています、百合さん」
すだちは頭を下げた
「いえいえ、こちらこそお世話になってます」
百合も軽く頭を下げた
「もう少ししたら来ると思うからちょっと待ってね」
「はい」
百合達が話していると建物の扉が開くと中から黄色の髪に黒メッシュが入ったショートカットで猫耳が生えた女性が現れた
「お待たせ、百合」
「お疲れ様、夏みかん、妹さんが来てるわよ」
夏みかんは目を輝かせた
「えっどこに?」
百合は目線で教えると一直線にすだちに飛び付いた
「かわいい!」
すだちはいきなり抱き締められた事に驚き、夏みかんを見た
「お姉ちゃん?」
「そうだよ、お姉ちゃんだよ」
夏みかんはすだちに頬擦りをしながら答えた
「お姉ちゃん、痛い」
すだちは手に持っている杖で軽く押した
「はいはい、そこまでよ夏みかん」
百合はそう言うと夏みかんの首根っこを掴み剥がした
「せっかくスキンシップしてたのに」
夏みかんは拗ねたように頬を膨らました
「ありがとうございます、百合さん」
「いえいえ、どういたしまして」
すだちは夏みかんを改めて見るとミリタリー服を着ており、虎柄の長い尻尾が見えていた
「この服はね、私の曲の衣装なんだ」
夏みかんはその場でクルリと回った
「そうなんだ」
「そういえば、名前は?」
「すだちだよ」
「すだちね、わかった」
夏みかんはニコッと笑った
「そうだ、ねぇ百合」
夏みかんは胸ポケットから虎柄のスマホの様なものを取りだし百合に渡し
「写真撮って」
夏みかんはすだちの横にしゃがみこんだ
「じゃあ撮るよ、はいチーズ」
カシャッ
「ありがとう」
夏みかんは百合からスマホを受け取り、何か作業をし始めた
「あのう、百合さん」
百合はしゃがみ
「どうしたの?すだちちゃん」
すだちは夏みかんが持っているスマホの様なものを指差し
「あれってスマホですか」
「あぁ、あれは〈マジックフォン〉って言って、便利な機能の付いているマジックアイテムよ」
「便利な機能ってなんですか?」
「例えば一々画面を出さなくても、声だけでメール作成をしたり、電話がかけれたりすることができるのよ、まぁ他にも色々機能があるんだけどね」
「そうなんですか」
夏みかんが戻ってきた
「お待たせ」
「何をしてたの?夏みかん」
「ちょっとね、すだちはこのあと何かすることあるの?」
「特にはないけど」
「じゃあ案内して上げるよ、良いよね?百合」
「私は良いけど二人にも聞かないと」
「それもそうだね、じゃあもう少し待とうか」
「えぇそうしましょ」
すだちはガイア達に近づき
「案内ありがとうございました、ガイアさん、リントさん」
頭をペコリと下げた
「どういたしまして、また困った事があったら言ってくれ、なぁリント」
「そうだな、ガイア」
「はい、その時はよろしくお願いします」
「すだち、その人達は?」
夏みかんはすだちの横に立ち聞いた
「この人達は私をここまで案内してくれた」
「ガイアとリントでしょ、ありがとね、すだちを案内してくれて」
「いえ、俺達の名前を知ってるのですか?」 
「一応ファンクラブの会員の名前くらいは覚えとかないとね」
ガイアは頭を下げ
「ありがとうございます、それでは失礼します」
頭を上げると180度方向転換し走り去った
「おい、ガイア、それじゃあまたな、すだちちゃん」
リントは走って追いかけた
「元気だねぇ」
「そうだね」
二人はその様子を呆然と見ていた



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