~案内人(ナビ)と共に!記憶探しと異世界冒険譚~

たたき

タルカ村 にて

知らない天井だ...この世界の天井はどこも知らないけどな。

「目覚められたようですね。」

あ、あのときの美人さん...

「ここは...」
「私の家ですよ。タルカ森林で狩りをしてたら、偶然魔物に襲われているあなたを見つけて...。」

「あなたが看病してくださったんですか?」
「ええ、お気に障りましたか?」
「いえいえとんでもない。本当にありがとうございます。」
「困った時はお互い様ですよ。」

と言って笑う姿はまさに絵に描いた美人さんそのものだった。
胸が熱くなる。そんな感じ。
これって一目惚れってやつかな?

[そうですね、我が主。]

そうですね、って何だよそうですねって。
もっと言葉があるだろ。あ、作者は馬k(ry

「そういえば、まだ名前を聞いてませんでしたね。」
「...すみません、それが名前を思い出せなくて。」
「こちらこそすみません。そうとは知らず...私はエルフ族のエルメス シルフォンドです。」

ところで、エルフ族てなに?
[エルフ族とは、ここから南西にあるエコル王国の土地で生まれた種族です。長い耳と緑色の髪が特徴的ですが、極稀に魔力の多い青色の髪をした子供が産まれてきます。]
ほーほー。

「いい名前ですね。」

と言うと、エルメスさんはどこか照れくさそうな仕草を見せる。
可愛い...
見とれていたらエルメスさんが喋った。

「呼びにくいから、仮の名前でもつけちゃいましょうか。愛称みたいなものですよ。」
「そうしてくれると嬉しいです...」
「ん~~...。私の名前から少しとりますか。ルメサス、ルメス、エルヴィス...
エルフェンなんてどうでしょうか?」
「いいですね!」
「ではエルフェンさんはどこからきたんですか?ここらへんの人...でもなさそうですし」
「実は俺、出身があるようでないようなもので。それも思い出せないんです。」
「そうだったのですね。」

エルメスさんは一瞬悲しそうな顔になるが、すぐに戻る。

「なら、戸籍もないですよね...」
「戸籍はどこで作るんですか?」
「ギルドで作れますよ。この国では、ギルドカードが戸籍の代わりなんです」

はー、よくできてるな。
ナビ、ギルドってどういう所なんだ??
[ギルドは、ギルドカードを作る事ができる場所です。ギルドカードには自分の個人情報、役職などを書きます。またギルドには依頼を受けたり、依頼したりできます。一部の人はその依頼が収入源となっていますね。]
 
「早速ギルドに行きましょうか。」
「はい!」

エルメスさんの家は、一言で言うと豪邸というやつだった。外観には綺麗な装飾が施されていて家具もとても普通の村人が持っているようなものではないことがわかる。
村は普通の村という感じで特に変わった事は無かったが、皆顔がどこか暗い。

「何かあったんですか?」
「ああ、最近二代目の魔王の出現によって、タルカ森林の森にいる魔物が活発化しはじめたんです。皆、いつ村が襲われるか不安なんでしょう。」

魔王か...魔物の中の王。
二代目って言ってたな。一代目はどんな奴なんだ?
[一代目魔王ヒロ カズフミは一万年前に勇者エルメス シルファンダによって討伐されました。そして二代目魔王はつい一週間前に出現しました。]

なんか勇者の名前、エルメスさんににてるな。というか名字が同じ。
って一週間前か...めっちゃタイムリー。
まぁでも、その魔王とやらのせいでこんな平和そうな村の雰囲気が落ち込んでるのは、辛いな。
エルメスさんも不安そうだし。
美人の顔を曇らせるとは...許すまじ、魔王。
そうこうしていると、ギルドについた。

「さ、ここがギルドですよ。」

外見は酒場みたいだった。来る途中、酒場を幾度か見かけたが、扉の形が同じだ。看板は違う。あと、扉の横に掲示板みたいなものが立ててあった。おそらく、依頼をはったりさる場所だろう。

「入りましょうか。」

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