最強魔導士の異世界転生

Axsl

魔人龍

「これは...」
戦場はひどいものだった。至る所に人や魔物、魔人の死体。そこらじゅうから立ちのぼる血の匂い。打ち捨てられた武器。
「早く見つけなきゃ…」
サーシャはさっきから生き残った人を探している。しかし人はおろか魔族の姿すらない。ついこの間まで戦いが繰り広げられていたとは思えないほど静かだった。しかしその静けさがさらに恐怖を募らせる。これ程戦いの跡が残っているのに静かなのが不気味だ。
「!!だれ!」
エーリアが何かを感じとったのか後ろを向く。それに釣られてシリルア達もそこを見ると
「ジーク!」
そこにはジークが居た。
「早く!こっちに!」
しかしかつてのパーティーメンバーと再開したにも関わらず険しい顔でそう叫ぶ。さらにその一瞬後
「ッ!サーシャ!エーリア!早くジークの所に!」
シリルアはそう言うとサーシャは戸惑いながらも素早くジークの方へ移動する。しかしエーリアはまだ全く状況が飲み込めていないのか動けない。
「クソ!」
咄嗟にシリルアはエーリアを投げ飛ばす。
「サーシャ!エーリア頼む、ウグッ」
「え?シリルア?!」
「シリルアねぇ!」
シリルアの腹から大きな爪が生えた。正確には後ろから爪が刺されて貫通したのだ。
「ガハッ...ジーク...早く逃げて」
「シリルア!ねぇ!」
しかしサーシャは言う事を聞かずシリルアに駆け寄ろうとする。それをジークは止め逃げるように促した。
「!ジーク!シリルアが!」
「だめだ!今言っても今度はお前が死ぬ!」
「っ!うるさい!それでも」
「ダメだ!」
「...」
エーリアはジークに連れられてサーシャはほぼ無理やり引っ張られてジークがでてきた洞窟の中に消えていった。
「ハァハァハァハァお前...」
シリルアからは爪が抜かれ貫かれたところからはおびただしい血が出ている。振り向くとそこにはシリルアを貫いた犯人がたっていた。そいつは顔は龍のようだが二本足で立ち人のような出で立ち。しかし龍と人ではなくまるで龍と魔人が合わさったような見た目だ。
「お前...は...」
「我が名はゾダーグ。お前を殺す物」
そう言ってまた襲いかかってくるゾダーグ。シリルアは避けようとジャンプするために踏ん張るが
「くっ」
傷が傷んで全く力が入らない。
「このままじゃっ」
しかし避けることは叶わず無慈悲にゾダーグの蹴りが横腹に当たる。数メートル飛ばされ地面に転がされるシリルア。傷からは血がとめどなく流れ出血多量と蹴られた時の痛みでもう半分気を失いかけている。しかし攻撃の手をとめないゾダーグ。シリルアに向けて手のひらを向け魔力を集中させる。魔法陣が何重にもゾダーグの手のひらに現れる。さらに大きなエネルギーが集まる。
「トゥホンル・ディストラクション」
魔法を発動。するとシリルアに向けて破壊の奔流が迫る。零級魔法。この世界の魔法は等級によって威力が異なる。最低レベルが10級で数字が小さけなるほど威力が増すのだ。しかしその等級で表せない魔法を使う者もいる。その魔法をみんなは零級魔法と呼ぶ。
悪魔憑依デモンズ・ソウル


「なんなの...あれ...」
今サーシャ達はジークにつられくらい洞窟の中を歩いている。謎の生き物。それに貫かれたシリルアの姿はまだ頭から離れることは無い。
「あれは魔人龍。魔人と龍があわさった姿」
「なんなの?それ?なんでこんな所に...」
「ここの敵将がなったんだよ。部下1000人と1匹の龍を使って」
「え?じゃああの死体は」
そう戦場に着いた時初めて見えたのは多くの人と魔物の死体
「そう。半分は儀式で出た死体。それで人間の死体があの魔人龍にやられた死体」
「うそそんなに強い...」
あの死体の中にも少なくても人は半分は含まれていた。儀式で1000体魔物が殺されたとしても同じ数。1000人はたった一体にやられていることになる。
「そう。あいつは異次元の強さ。俺達が束でかかっても全く勝てなかった」
「...は!ザックは?」
「...ザックは...」
「え?冗談だよね?」
「着いた...」
「ん?」
「ザックのことはここで聞いて...」
そこには明るい空間が急に広がった。さらにそこには1人の人がたっていた。
「この人は?」
「もう1人の生き残りノエルだ」
そこに長い黒髪で白いコートとズボンを着ている女性がいた。顔はどこか涼しそうな顔をしていて美人という言葉が良く似合う。長くて白い鞘の刀を持っておりどうやらそれを使って戦うようだ。
「え?ノエル?」
「ん?君は...サーシャ!」
その瞬間大きく部屋が揺れた。
「え、なに?」
「ゾダーグがなんかしたのか」
さらに衝撃から一瞬遅れて
「アァァァァァァァァァァァァ」
シリルアの声が聞こえてくる。
「うそ...シリルア...」
「私のせいだ...」
声が止むとそんな苦しそうな声が聞こえてくる。
「エーリア...」
今まで顔を伏せて黙っていたエーリアはシリルアの悲鳴をかわきりに感情が溢れ出す。
「私が!ちゃんとしてればシリルアねぇは!」
「エーリアのせいじゃないよ!」
「違うの!ちゃんとあの時うごけていれば!......もう嫌なの大切な人がいなくなるのは...もう...うぅぅ」
今までずっと我慢していた。親も友達も仲間も全て失ってしまった。そこに現れたのがシリルアだった。龍人だからといって特別扱いしない初めての人間。一人でいるしかいなかったエーリアにとってそれは何よりの救いで大切な存在だった。しかしシリルアは目の前で致命傷とも思えるダメージを負った。自分をかばって。今まで1人で耐えてきたエーリアだったがもう耐えることは出来ない。もうなにか失うのは嫌だった。
「エーリアはひとりじゃない!」
「サーシャ?」
「私もいるでしょ?それにシリルアが倒されるわけないじゃん!あんなに強いんだから」
「...ありがと...サーシャ..ねぇ」
「!うん!どういたしまして!」
そう言ってサーシャは満面の笑みでエーリアを抱きしめた。サーシャもシリルアが心配だったが少しでもエーリアを安心させるために。
「それじゃっいこっか」
「うん。そうだね。シリルアはきっと生きてる。助けに行かなきゃ。それよりノエルはどうしてこんな所に?」
「うん?あぁ、久しぶりだねサーシャ!」
「え?二人とも知り合い?」
そうジークが聞く。2人によれば昔家が近所で2人でよく遊んでいたそうだ。しかし15歳の時ノエルは家筋のせいで軍人の訓練が始まりノエルが忙しくなってしまったのだ。それから自然に遊ぶことはなくなって行ったそうだ。
「まさかノエルが将軍になっていたなんてね!」
「えへへ!凄いでしょ。でも私もよくサーシャの名前は聞くよ!大活躍だったんでしょ?このジークって子も強いしね。っとそれより...」
そう言ってノエルは出口の方に歩き出す。
「助けるんでしょ?そのシリルアって人」
「「うん!」」
「え?」
そう言って3人は出口に歩き出す。
「ちょっと待って!」
ジークも少し遅れてついていくのだった。


「それにしても勝つ自信あんの?」
「んーでもさっきよりきっと今の方が状況はいいんじゃないのかな?こっちはシリルアも含めれば5人だしきっとゾダーグも消耗してるしね」
「シリルアねぇ...」
「大丈夫!シリルアは生きてるって!」
「...うん」
そんな会話をしながら4人は出口に急いで向かうのだった。

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