炭酸

Pman

第3話

僕は、友達から「ひー」のあだ名で呼ばれてる。


友達が恋話を僕に振ると、ひっ、と嫌な顔をするのと、片思いをひきずっている、から来ているらしい。あと、呼びやすい、とも。


多田さんは、人を引き付けやすい人だった。反対に、笹木さんは、おっとりとして、マイペース、人と少し距離をおいている人だった。マイペースな笹木さんは、運動が苦手だった。体育もチームの和を乱さないかと、常に気を配って行動していた。人に迷惑をかけるのが怖かったから、クラスの人とも距離をおいていた、ともいえる。



多田さんは、僕のことをどうにも思っていなかったようだけど、僕は僕なりに彼女心の片隅にでも記憶しておいてくれるように行動した。
話が噛み合わないことも多かった。

僕は彼女がタイプだったが、心のどこかで彼女とは合わないと、傷つくのが怖くて、防衛線を張っていた。本当は気づいていたのかもしれない。どんなにタイプでも、何をしても彼女の目は、僕は映っていなくて、その心は冷えたままだと。


多田さんと、何の溝も塞がらまま、文化祭の季節が来た。




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