魔女が生き残った世界で生活する俺ら、当然魔法使えるよね?

Pman

第7話

「嫌だといったら?俺が協力して、俺になんのメリットがある?」


「分からない」


彼は素直に答える。そういうところが真面目なのか。嘘偽りのない答えだ。


「ここだけの話な、俺も百音のことは好きなんだぞ。だから……」


「わかっている。日野さんのことを少しでも知りたいんだ。教えてくれるか?」


「しょうがない。俺も少し男で話し合える奴が欲しかったところだ。恋愛相談までできるかどうかは分からんが、俺たちの関係ぐらいは話してもいいぞ。どうだ?聞くか?」


「喜んで、さぁ、ここに座りなよ」


俺はどかっと座る。最近、ここまで態度を大きくしたことはないかもしれない。


正直、男友だちは欲しかったが、少しバカな奴とつるんでみたかった。俺と性格合わなそうなんだよな、コイツ。


「で、何を知りたい?」


「じゃあ、まずは日野さんの前に君のことを知りたい。下の名は?」


「おおっ。確かにいい忘れてたな。優だ。優秀の優」


「うわぁ、何かいい名前」


「名前がいいからって、能力がそれに比例されるわけじゃないから」


「そろそろ聞いてもいいよな?どうなんだ?日野さんと?」


「実は幼馴染み枠から抜け出せないんだよ」


「じゃあ、付き合ってはいないと?」


「どうだろうな……」


「ちょっと、事実をいってくれない?」


「心の中では、ノーだ」


「心の中ではそういう関係だけど、事実は違うんですね?」


「もう、言わなくちゃダメ?」


「そこははっきりさせないと」


「もっと寛容になれよ」


「嫌だ」とすぐに返してくる。じゃあ、もういいよ。


「付き合ってません」


直後、進の瞳がパッ、と輝く。


「いや、どんなけ好きなんだよお前」


「いや、普通に好きです」


「どこが?あいつ、平気で人をぶってくるんだぞ?」


「え、いいなー」


「どこが?」
ひょっとして、進、お前もしかしてド
M……


「そんな冗談とか、ふざけあいとかできるような仲になりたいってことだよ!」


「ああ、そう」


俺ってもしかして……。ちょっと、コイツに協力する気なくなってきたわ、マジで。まぁ、今俺はご機嫌だ。


「ふふっ。じゃあ、昔話でも聞くか?」


「お前と日野さんのイチャイチャとか正直聞きたくない」


急にあなた顔が真っ青になってますが、保健室いく?


「なんか、もう少し僕の為になる話をしてくれない?」


「いつ俺がそんなことをするって言った?」


「じゃあ、いいよ。日野さんの話をしてくれ」


「あいつは昔から可愛かったぞ。そうそう、五才の時なんか、あいつん家でアレがアレして」


「まず、状況を説明してくれない?」


「嫌だ。百音のことを少しでも知ったら本当にライバルになっちまうだろ」


「いや、もうライバルだろ」


「じゃあ、俺帰るわ」


俺は椅子をもとに戻し、自分の席へ荷物を取りに行った。背中から、じゃあ僕も帰るよ、が聞こえるが無視。百音と別れて五分が経っていた。頭のなかは、百音と合流することで一杯だ。急いで玄関までいくと、百音が一人で待っていた。


「百音、待っててくれたのか」


「遅い。ほら、早く帰るよ」


俺は急いで上靴から下足履き替えた。


「ねえ、進道。さっきから、ドタドタとうるさいんだけど、これはなんなの?」
二人になったから、俺の呼び名が変わる。
二人の時だけ君づけなし、というルールは最近できた。彼女が俺と仲良く思われるのを防ぐためらしいけれど……。


「進が追ってきてるんだよ」とは言えない。


「関係ないよ、ほら早くいこう」


少しはや歩きになりながらも俺らは学校をあとにした。
ああ、セーフ、と思っていたのも束の間。進が追いついた。


「おい、なんでついてきてるんだ?」


「僕もこっちだから」


嘘をつくな。百音があれ?さっきの人?と聞いてくる。俺はうん、と答えた。


「そう、さっき話してた。彼は新木進、こちらは俺の彼女の日野百音」


ニヤリ。百音が顔を赤くしている。恥ずかしがっているようだ。嫌がられてはいない。よかった。一方、進はえ?とキョトン、として戸惑っている。俺の作戦は成功したっぽい。簡単な紹介のあと。百音には付け足しで、


「百音、こいつはな、百音のことを好」


「ちょっとぉぉぉぉぉおい!」


俺は進に引っ張られ、
「何いってんだよ」危機に瀕している彼の顔には焦りと恥ずかしさ、少し俺に言ってもらって楽してみよう、自分の口では言えない、断られたらどうしよう、という気の迷いが見える。


「別にいいじゃん、言ったって」


俺は百音のことを気にせず、大声で言う。


「ダメだよ。何勝手に言ってんの?意味わかんないよ」


進は俺に小声で、その間チラチラと百音を見ている。少し顔が赤いのは、どういうことなんだ?仕方がないので、俺も小声で、


「はよ、当たって砕けろ」


と応援してあげた。


「そんなの嫌だよ。当たってハートをキャッチだろ?」


「やめて、気持ち悪い」


わざとらしく、軽く引いてみるが、百音が黙ってそっぽを向いている。
進も気づいたのか、やっちまった、みたいな顔をしている。面白い。
俺たちの会話が止まったからなのだろうか、私も会話の輪に入れてと言わんばかりに、百音が


「進君は家どの辺?」


「うん?ああ南の方です」


「じゃあ、私たちと一緒だね。一緒に帰らない?」


そんな天使な微笑みを浮かべる百音に、進。
お前終始見とれてただろ(怒)。


「やっぱ可愛いなぁ」


今回は小声ではないので、直接百音に言ったのだろう、百音も最初は驚いたが、笑って、ありがとうと言った。
でまた、進がニヤけてるんだが、おい、俺がさっきから負のオーラ出してんのきずいてんのか、コラ!このやろう。





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