コップの中の漣

Pman

第二話波紋

茶色の水面を覗くと、私の顔が映る。
当たり前だ。
視線をそれからはずすと、
彼の顔が映る。
それは、私が見せる幻だろうか。
ふうっと、息を吹く。
消える。
一瞬のことかもしれない、彼の顔は確かに映った。
もういちど息を吹き込む。
ぼやっとだが彼の輪郭が浮かぶ。



氷が溶け始め、ぬるくなってきた。
私は冷蔵庫から麦茶を取り出し、氷、砂糖、絞っておいたライム果汁を少々いれた。


黒色の液体が、何か力を持った気がした。

ふうっと、息を吹き込んだ。

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