夜のかお

Pman

第1話

夜は、世界が違う。

夜の虫が騒ぐ。


様々な声が混じって、幸福と不幸の世界ができる。


最初は、趣味だった、深夜徘徊。


夜だと町の作りも違うように見える。


あの少女との出会いは、ベンチとブランコだけの公園。


あの子が僕と違ったのは、決して自らの意思で出てきたのではないこと。



追い出され、辿り着いたのが、偶々ここだったということ。そして僕が偶々ここに休憩を挟んだこと。


ただそれだけの関係。

沈黙が続く。


彼女は、ひどく痩せ細り、服も綺麗とはいえない。ジーンズには、タバコを押し付けられた焦げあとがあり、その空いた穴から彼女の赤くなった肌が申し訳なさそうに出ている。


彼女が僕の肩に寄りかかる。


彼女の唯一の居所がここで、唯一の救いが僕だということ。


僕は彼女を救う。



僕が彼女に初めてあったときから、言ってきた言葉だ。


そしてその時は僕の気持ちも。





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