やはり、創造神の加護はチートでした
37話 もう一度召喚
「ところでルーナ。熾天使長の役目とか大丈夫なの?」
  召喚しておきながら言うのもなんだが天使の長がいなくなっては混乱するのではないかと思った。
「問題ありません。いつも暇だったので。ですが時々戻らなくてはならないこともあると思います。その時は事前に伝えますね。」
  返ってきた言葉は案外なんてことの無いものだった。当人の気分としたら暇だから少し遊びに行く程度だろう。
「そうしてくれると助かるよ。」
  そう返事した後にふと周りを見て気づく。
《チセ。このまま合流したら面倒なことになるよね?》
《はい。十中八九そうなりますね。》
  召喚し終えた生徒達は召喚獣達の見せ合いをしていた。そしてその流れの中で自分も見せる場面が来るだろう。その時に熾天使を見せる訳にはいかない。
《どうすればいいと思う?》
《ではもう一度召喚してみてはいかがでしょう?》
《そーするしかないよね。》
  そう言ってさっきと同じ工程を繰り返す。ただし魔力はそこそこ抑えた。
  そして召喚されたのは精霊だった。
「あなたが私の主人?」
「そうだよ。名前はレオン。君は?」
「私は精霊王だよ。あ、でも女だから精霊女王かな?」
  それを聞いたレオンは頭を抱えたくなった。
(魔力は抑えたつもりだったんだけどな……。しょうがないな。押し通すか。)
  精霊王もとい精霊女王は全ての精霊の長であり、上級精霊など比にならないほどの力も持つ。もちろん1人として見たことはない。
「とりあえず僕と契約してもらえるかな?」
「んー…」
  そう言って悩む素振りを見せた。その間にもみんなは次々と召喚を終えていく。残りはレオンを含めて3人だけだった。
「それじゃこれを見て。」
  そうして精霊女王にさっきのステータスを見せる。
「……っ!」
「どう?」
「もちろん。契約する、します!」
  やはり最上位神の影響力は大きかった。
「いやさっきの口調でいいよその方が楽だから。…では契約をしよう。君の名はオリヴィアだ。これからよろしくねオリヴィア。」
「うん!よろしく!」
  そうして2人目の召喚を終えた。
  そしてみんなの場所に戻る前にルーナには少しの間隠れてもらった。もちろん魔法で。
  オリヴィアには予め精霊女王であることは明かさないように言っておいた。
(一応これで大丈夫だろう。)
  一息ついたレオンは認識阻害魔法を解きみんなの場所へ戻る。
  周りを見るともう既に全員終わらせていた。
「レオン!どうでした?」
  真っ先に声をかけてくれたのはフィリアだ。
「うん。この通り。」
  そうして背中からオリヴィアがひょこっと身を出す。
「レオン?もしかして精霊ですか?しかも下位ではないですよね?」
  フィリアがなかなか痛いとこをついてくる。
「まぁ…ね。フィリアはどうだった?」
  はぐらかすかのように話を無理やり変えた。
「私も精霊でした!ね、エマ!」
  エマと呼ばれた精霊はフィリアの声に応じるかのように頭の周りで優雅に飛び回る。下位精霊は喋ることが出来ないので身体を使って表現するそうだ。
「フィリアも精霊を召喚したのか!流石だね。」
「ありがとうございます!」
  何とかオリヴィアについての話は免れたようだ。
(こういう時に話せるよう念話を渡しておくか。)
  そうしてレオンは念話を作りオリヴィアに渡す。
《オリヴィア聞こえる?聞こえたら頭の中で声を発してみて。》
《こんな感じ?》
《そうそう大丈夫だね。今オリヴィアに念話のスキルを渡したから。こういう時に話せないのは不便だからね。》
《……あ、ありがと!》
 オリヴィアは今レオンが行った動作に驚いた。しかしさっきのステータスを思い出したのかすぐに戻った。
  そして魔法学の授業が終わった。みんなぞろぞろと教室へ戻る。レオンもその波に身を任せる。
  教室に戻ってもなお召喚獣の話で盛り上がっている。聞いたところ僕とフィリア以外で最高位は上級魔獣だったらしい。普通は上級魔獣と契約できたらクラス内でトップは確定なのだが今年は運が悪すぎた。
  その後は授業はなかったので周りのみんなは帰る支度をする。授業の最後に召喚獣を返す方法を教えてくれたので今は2人共元の場所に戻ってもらってる。
「あれ?レオンは帰らないのですか?」
  いつの間にか自分の隣に来ていたフィリアが聞いてくる。
「この後学園長のところ行かなきゃならないんだ。」
「あ、ギルドカードですね。」
  そう、もうあれから3日経ったのだ。今日からギルドでの活動が可能となる。正直わくわくしている。
「そういうこと。その後はそのままギルドに行こうと思う。だから悪いけど今日は教えれないかな。」
「分かりました。もともと私も今日は出来ない旨を伝えに来たので気にしないでください。」
「そうなの?なら良かったよ。それじゃそろそろ行くね。」 
「はい。それではまた明日。」
「また明日。」
  そう言ってフィリアが帰っていたのを見届けた後そのまま学園長室に向かった。
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