SNS仲間で異世界転移

浪村

第8章 3話 真実

騎士団本部のホームであるセンテッド境にて。ここではバッドローグに勝利した事が既に伝達で町中に広まっていた


「騎士団が勝ったってよ!」

「あの伝説の英雄も倒せなかったバッドローグをだろ!?」

「俺も聞いたぜ!すげーよな!」

「もうすぐ帰ってくるらしいよ!」

「皆で出迎えよう!」

町は騎士団の話で盛り上がっている。民衆達は話し合って、帰還する騎士団を迎え入れようと決めたようだ

そして1時間後。騎士団を乗せた馬と荷馬車が、町に戻ってきた


「おかえりー!!」

「団長ーー!!勝利おめでとうございます!!」

帰還した兵達は民衆のサプライズに最初は驚いたが、すぐに受け入れて皆にお礼を言ったり、手を振ったりと、まるでパレードのような光景になった


汏稀「なんか素直に嬉しいな」

香奈「うん」

壮助「いいなぁ、こういうの」

美泉「やっぱり、この町の人達は温かいね」

龍剣「人の『温かい』って、こういうのもあるんだなぁ」

街中なので馬を降りて歩いて本部に向かう

そしてパレードも終了したところで、今回の作戦に参加した兵士達は本部の会議室へと集まった

イオネット団長「皆、本当によくやってくれた。今日の事は間違いなく歴史に残るはずだ。それだけの事をやってのけた」

バンギック「頑張ったのはあんたも同じだろうが、団長」

イオネット団長「フッ、わしは無様に死んでいっただけだ。それより龍剣、1番気になる事をまだ聞いていなかったな。バッドローグの首を獲った後、お前は爆発を起こそうとした奴の首を持って上空へと飛んで行ったと聞いた。その後はどうなったんだ?」


龍剣「ああ、あれはですね……………





時は遡る事3時間前。爆発寸前のバッドローグの首を持って上空へ飛ぶ龍剣は、とにかく上へ上へと向かっていた


龍剣「(宇宙まで飛ばないと安全とは言えない気がする……そもそもこの世界に宇宙なんて概念はあるのか?)」

猛スピードで上昇する龍剣だが、もうすぐバッドローグの首は爆発しそうだ

キュイイイィィィン!!!

バッドローグの首が最大限に光り輝く。これはもうすぐ爆発するという事を示している

龍剣「くそったれがあぁ!!」

だがこの時、力みで力を全開放した龍剣は偶然にも新技を編み出した





ゴゴゴゴゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォ!!!!!!!



地上にいる美泉達はこの音を爆発音と勘違いしたようだが、実は違った


龍剣「はああああぁぁぁ!!!」

龍剣が全開放した力は小さな球体となり、それは龍剣以外の全ての物を吸収するブラックホールとなった

そして爆発寸前のバッドローグの首はブラックホールに吸い込まれて消滅していったのだ



パアアアン!!

ものの数秒でブラックホールは消えてしまい、その衝撃で龍剣は吹っ飛び、力も無く、さらには気絶した状態で地上に落ちていった

その落ちた場所が、偶然にもかつて龍剣達5人が修行を積んだ場所、聖妖の森であった








龍剣「……………ってことです」

ドルゼ「そうだったのか」

香奈「ならあの空間の歪みは爆発じゃなくて、龍剣のブラックホールのせいだったんだ」

龍剣「そういうこと」


イオネット団長「これでバッドローグ戦の全てがわかったな。なら今日はこれで解散にする。皆、しっかりと休養をとるように」

全員「了解!」


兵達はぞろぞろと会議室から出ていき、団長だけ部屋に残った。かと思いきや、すぐに龍剣が戻ってきて団長に話しかけた

龍剣「団長、お話があります」

少しシリアスな顔の龍剣

イオネット団長「どうした」

龍剣「実は……」


2人は5分ほど何かを話してから部屋を出て行った




兵士寮の10階にて。美泉は部屋に入らず、玄関のドアの前で景色を眺めていた。すると、団長との話を終えた龍剣が帰ってきた

龍剣「おう、何してんの?」

美泉「なーんにも。それより団長と何話してたの?」

龍剣「んー……大事なこと」

美泉「私には話せないこと?」

龍剣「いや、そんなんじゃないよ。むしろ言わないといけないこと」

美泉「ならなんで勿体振るのよ」

龍剣「疲れてるからまた明日話そうと思ってさ。明日起きたら壮助と汏稀連れて美泉達の部屋いくよ」

そう言って龍剣は逃げるように部屋に入っていった

美泉「あ、ちょっと龍剣ー!」

美泉は頬を膨らましながら自分の部屋に入った

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