SNS仲間で異世界転移

浪村

第7章 2話 前へ

翌日、イオネット団長は龍剣達5人を団長室に呼び、昨日の会議の事を話していた

イオネット団長「……と、いう事なんだが。どうだ、引き受けてくれるか?」

龍剣「仙羅洞……」

美泉「そんな危険なとこに入るなんて」

汏稀「出られなれけば100%死ぬ」

イオネット団長「過去に死者は数人出ている。ランク5のバンギックも死にかけた。まぁあいつはなんとか引き返して洞窟を出てきたがな」

香奈「あのバンギックさんが…」

壮助「死にかけた…」

イオネット団長「今すぐ決めろと言っても無理だと思うから、明日まで待つ。もし今日考えて覚悟が決まったら、明日の午前7時にここへ来てくれ」

5人に地図が書かれた紙を渡して団長は部屋を出て行った。部屋に残された龍剣達5人はしばらく立ったまま沈黙していた


龍剣「俺、ちょっと散歩してくる」

美泉「あたしも」

壮助「俺も」

香奈「ウチも」

汏稀「俺も。じゃあ」

5人ともとりあえず本部を出て、本部を中心に放射線状にそれぞれ歩き出した

そして数十分後。気が付くと龍剣は、ネールの森にある英雄の墓に来ていた

龍剣「(何で俺、こんなとこに来てんだろ…)」

ふと顔を上げると、同時にこの場所へやってきた人物達が居た

美泉「あ…龍剣…」

美泉だった。他に、汏稀・香奈・壮助も居る。5人は墓と向かい合って地面に座った

龍剣「何やってんだよ、お前ら。猛獣にでも出くわしたら危ないだろ」

美泉「それは龍剣も一緒でしょ。それにこのお墓の辺りはなぜか猛獣達は足を踏み入れないから大丈夫」

壮助「そうだっけ」

香奈「うん」

汏稀「確かに、ここら辺で猛獣は見たことないな…」

龍剣「……なぁ、みんな」

5人とも顔を合わせず、それぞれ別の英雄の墓石を向いて会話をしている

美泉「なに?」

汏稀「ん?」

香奈「はいはい?」

壮助「なんだ?」

龍剣「どうするか、もう決めた?」

美泉「うん…」

壮助「一応」

香奈「一応っていうか…」

汏稀「確実に」

龍剣「そっか。俺も一応決めてるんだ。仙羅洞に行くって」

他の4人が静かに頷く

美泉「あたしもそっちの決断だよ。でも、もし失敗したらって考えると怖くて、怖くて…」

汏稀「俺も同じだよ。仙羅洞に行って強くなって、騎士団の力になりたい」

壮助「俺はそれ以上だね。世界を護りたいんだ。だけど、どうしても死という恐怖が俺の心を締め付ける…」

香奈「どうしたらいいんだろ…」

またしばらく沈黙が続いた。そして、この沈黙を切り出したのは5人の誰かの声ではなく、何者かの声だった

男性の声1[それは違うぞ]

5人「!?」

男性の声2[覚悟を決めて進むんだ。負ければこの世の終わりも同然なんだぞ]

何者かはわからない。墓の前にいるから英雄の声かもしれない。ましてや気付かないだけで、自分自身の声かもしれない。そんな謎の言葉を5人は聞き続けた

女性の声1[バッドローグを倒すにはあなた達の力が必須なのです]

女性の声2[もし負けたら?もし死んだら?なにを甘ったれたことを言っているのですか。違うでしょう]

男性の声3[勝て!勝つんだ!それが今のお前達に残された道だ。勇気を…今一度勇気を出せ……!]

これ以上謎の言葉が聞こえる事はなかった

龍剣「はは…ははは……聞いたか、みんな」

美泉「ふふ、もちろん」

汏稀「今の奴の言う通りじゃねぇか」

香奈「何言ってたんだろ、さっきまでのウチらは」

壮助「死ぬ事ばっか考えてんじゃねえ。勝って生きるんだ!」

美泉「仙羅洞なんか絶対クリアしてみせる!」

龍剣「みんな、5人とも絶対生きて出てくるぞ!」

香奈「うん!」

今の5人は自信、いや勇気に満ち溢れていた。決して死ぬ事に対しての恐怖心を忘れた訳ではない。ただ、進むしかないのだ。暗闇の中にそびえる、一つの光に向かって

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