SNS仲間で異世界転移

浪村

第5章 7話 開花

ドルゼ「荷馬車班!美泉!2人を村へ連れていき治療をしろ!」

荷馬車班「了解!」

美泉「2人とも、絶対私が治すから…」

平原に残されたのは火竜、バンギック、ドルゼのみ。あとは武器等が入った荷馬車が置いてある

バンギック「ドルゼ、俺が注意を引く。お前は残りの足を潰してくれ」

ドルゼ「任せろ」

バンギックは正面から突っ込み、爪攻撃を交わしながら火竜の懐に迫った。そしてアゴに数発攻撃し、すぐさま距離をとった。その間ドルゼは左後ろ足に3発ほどくらわせ、小型爆弾を2つ投げながら距離をとった

ドォーーン!!

爆発により左後ろ足の鱗にヒビが入った

バンギック「意外と硬くねえようだな」

ドルゼ「次で完全に足を潰す。バンギック」

バンギック「ああ」

バンギックはまた注意をひくため動いた

ドルゼ「(火竜は知能が低いからな。単純な策が1番効果的だ。)」

火竜「グルルル……」

ドルゼ「(やつの腹が少し膨らんでいる…これは確か…!)バンギック!!」

バンギック「わかってる!!」

火竜の正面に立っていたバンギックは急いで走り出した

火竜「グルァア!!」

膨らんでいた火竜の腹が元に戻り、口から炎が放たれた。その炎は明らかにバンギックを狙って動いている

バンギック「チッ、面倒くせえ事しやがって」

ドルゼ「火山にいなくてもブレスができるのか…?いや、おそらく腹に溜めている分だけか」

バンギックをめがけ炎をはき続ける火竜

ドルゼ「(今のうちに足を)」

ガン!キィン!

すかさず左後ろ足に攻撃するが、まだ鱗は剥がれない。一方なかなか炎が命中せず、そろそろ残量が少ない火竜は、上に向かって残りの炎をすべて吐いた

ドルゼ「狙いは拡散か」

バンギック「珍しく頭使いやがって」

高く放たれた炎は雨のようになって落ちてくる。2人は剣をしまって上を向き、人間とは思えないスピードで炎の雨をかわしていった

バンギック「これでお前も……。!!」

炎をよけ終わった2人は視点を平地へ戻すと、なんと火竜は火山の方へ走っていた

ドルゼ「してやられたな。バンギック、追うぞ!」

バンギック「ああ!」

馬は全部村へ連れていったため、走って追いかけた


【風車村・宿にて】

美泉「はぁ…はぁ…これ以上治らないよ…」

龍剣の傷の手当てをしていたのだが、美泉の力ではまだ治癒力が足りないようだ

ボルカ「まだ回復魔法を使い始めて日が浅いのに、これだけやれれば充分じゃろ。あとは目を覚ますのを待つだけじゃ」

美泉「そうですね…」

傷は7割ほど治り後は包帯を巻いて自然回復を待つ、といった状況だ。ボルカはというと胸骨、肋骨が折れていたのだが美泉に治してもらった。だがこちらも完治ではない

ボルカ「美泉よ、かなりの精神力を使ってお前も疲れたじゃろ。少し休みなさい」

美泉「はい」


15分後………

龍剣「ん……あれ…ここは…」

気を失っていた龍剣がやっと目を覚ました

龍剣「美泉もボルカさんも寝てる…。この傷は美泉が手当てしてくれたのかな。……ん?傷?そうだ!あのトカゲはどうなったんだ!?」

とりあえず部屋を出て誰かに聞こうとした。すると、隣の部屋に兵士達5人が居たのを見つけた

兵士「ケガは大丈夫だったか、お前」

龍剣「え、あ、はい。ってか何でみなさんこんなところに」

兵士「援護しに来たんだよ、ボルカさんに伝達を受けてな」

龍剣「あのトカゲ…じゃない、火竜はどうなったんですか?」

兵士「今ドルゼさんとバンギックさんが討伐に行ってる…っておい!どこへ行くんだ!」

龍剣「あいつをぶっ倒しに」

兵士「だめだ。ケガは酷いし、そもそも討伐任務はランク5じゃないとダメだ。お前も知ってるだろ?」

龍剣「っ……」

兵士「わかったら部屋に戻れ。まずはそのケガを治すことに専念しろ」

龍剣「…わかりました」

兵士に止められ部屋に戻った龍剣は、寝ている2人を起こさないようにこっそり窓から外に出た。そして玄関で靴をはいて平原へ向かった

龍剣「おっと、双銃忘れてた」

銃を取りに戻ってから、村を出た

龍剣「居ないじゃんか。なんかこの辺焦げてるし」

すると、火山の頂上周辺から

「ウガアアァァァ!!!」

という雄叫びが響いた

龍剣「ま、まさか火山!?」

急いで火山へ向かい、恐る恐る中へ入った

龍剣「なんか段々暑くなってる気が…」

ドゴォン!ブォン!

龍剣「ここ上がったらやつがいるな」

急な坂を登りこっそりと中を覗くと龍剣は驚いた

龍剣「(何だあれ!?あのトカゲ羽がはえてやがる。ってか何だよあのマグマの池は…)」

羽がはえた火竜はマグマの池に浸かり、ブレスでドルゼとバンギックを攻撃している


バンギック「ラチがあかねえ。ドルゼ、一旦ひいて遠距離用の武器を持ってくるか」

ドルゼ「荷馬車にボウガンと狩猟銃が積んであるが、取りに行っている暇はない。地の利を得たこいつが外に出ちまったら止めれる可能性は極めて低いぞ」

バンギック「ならどうするんだ。剣でも投げつけるか?」

ドルゼ「それも1つの手段だな。だがここは…」

龍剣「俺なら遠距離用の攻撃ができますよ」

バンギック・ドルゼ「!!」

ドルゼ「龍剣か!なぜここに来ている!」

バンギック「くるぞ!」

火竜のブレスが容赦なく飛んできながらも、かわして龍剣はBBTガトリングをお見舞した

バンギック「そうか…こいつが異世界から来た…」

ドルゼ「なるほど…その力でか。龍剣、協力してもらっていいか?」

龍剣「もちろんです」

火竜「グルルル…」

火竜は羽を広げ、高く飛びあがった

バンギック「今度は上からか。めんどくせえ」

龍剣「させるかよ!」

すぐに龍剣はBBTガトリングを当てたが、まるで効かない

龍剣「くそ、やっぱ相性が悪いか」

火竜は空中からブレスを連発してきた。バンギックとドルゼは先程から見ているため慣れているが、龍剣は回避に失敗しそうになった

龍剣「(思ったより速い!やられる…!)」

ダメもとで双銃をクロスさせて盾にした。その時、なぜかブレスは双銃に吸収されていった

龍剣「な、なんだ…これ…」

そして、双銃が赤く輝きだした

龍剣「もしかしてこれが…」

龍剣は集中し、思いっきり精神力を注ぎ込んだ。すると双銃は徐々に形を変え、バズーカへと変形した

龍剣「これが火山の力…。これならいけるかも!」

バンギック「おい、またいったぞ!」

龍剣「おっと!」

今度はなんとかかわし、バズーカを構えた

龍剣「さっきのお返しだ、トカゲ野郎!」

作り出されたバズーカの引き金を思いっ切り引いた

龍剣「ヒートバズーカ!!」

回転しながら飛んで行く一筋の閃火
その閃火は少しかわされ、右前足にヒットした

火竜「ガアアアァァァ!!!!」

ヒートバズーカは火竜持ち前の鋭い爪をいとも簡単に破壊した。一瞬落下しそうになった火竜だが、持ちこたえて再び飛行を維持している。そして次の瞬間、龍剣に向かって突進してきた

龍剣「なっ…!」

完全に実戦不足な龍剣は攻撃を当てただけで油断していた。それに対し、数多くの経験を積んであるドルゼとバンギックは火竜が動きだしたときに、いや動きだす前にはすでに反応していた。ガタイの良いドルゼは龍剣を担いで回避。それと同時にバンギックは突っ込んできている火竜の右翼に傷を入れた


龍剣「す、すいません」

ドルゼ「いいか龍剣、討伐に必要なのは攻撃力だけではない。相手のクセ、パターン、タイミング、全てを観ろ。そして記憶しろ。お前はその"観察眼"を磨け。そうすれば防御や回避はもちろん、攻撃のタイミングもみえてくる。よく覚えておけ」

龍剣「観察眼…か。わかりました!」

考えている間にバンギックが1人で戦闘している

ドルゼ「バンギックをよく見ておけ。あいつは力も強くないし身長も龍剣より低い。だが優れた観察眼、思考力、そして誰にも負けない根性がある。顔には全く出さないがな。戦闘力に関しては俺やエルドを差し置いて、間違いなく騎士団一だろう」

龍剣「す、すげぇ……」

話を聞いてさらにバンギックの凄さを感じた龍剣

バンギック「っらぁ!」

グサッ!

双剣の片方を火竜の左眼に投げてぶっ刺した。痛みのあまりゆらゆら降りてくる火竜の顔面に跳び乗り、残りの剣で右眼もぶっ刺した。そして剣を両方抜き、距離をとった

火竜「ウ、ウガアアアァァ!!!」

地面の上でジタバタもがき苦しんでいる。すかさずドルゼが腹部に数発入れると、がむしゃらに火をはきながらフラフラ真上に飛び上がった

ドルゼ「視界が途絶えてまともに飛べなくなったか」

ドルゼも龍剣もそう思っていたのだが、バンギックはいつもよりもシリアスな顔になった

バンギック「………違う。……噴火だ…噴火させる気だ!!」

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