SNS仲間で異世界転移

浪村

第5章 1話 労働

龍剣「んん……」

俺は深夜の2時に目を覚ました

龍剣「まだこんな時間か…ちょっとトイレに…」

電気も付けずにベッドから降り、トイレに向かった

コツン

龍剣「ん?」

暗くて見えないが、床に落ちている何かに足をぶつけた

龍剣「んん…トイレトイレ」

寝ぼけ気味の俺は気にすることなく歩き始める

ピチャ…ピチャ…

フローリングに足をつけるたび聞こえてくる液体の音。これには俺も少し驚いた

龍剣「昨日何かこぼしたっけな…?」

眠気もなくなり、部屋の電気を付けた

龍剣「えっ……な、何で血が……」

自分の足に付着した血を見たあと視点を徐々に徐々にベッドの前に変えていくと、そこには血まみれになって倒れている美泉がいた

龍剣「う、うわあああああぁぁぁぁ!!!!!」


龍剣「はっ!………あれ?」

美泉「龍剣、大丈夫?かなりうなされてたよ」

龍剣「美泉……生きてる…」

美泉「何よそれー。一体どんな夢見てたのよ」

龍剣「………夢?」

窓の外を見るともう朝で、部屋を見渡してもいつもと同じ風景だった

龍剣「な、なんだ夢か」

夢だとわかりホッとした龍剣は当然の事に気付く

龍剣「ってか、美泉」

美泉「なにー?」

龍剣「ここ、俺ら男子陣の部屋なんだけど」

美泉「知ってる。龍剣達が寝坊したら困るから起こしにきたの。今日はちゃんと起きてくれたから良かったけどね」

龍剣「どうやって入ったんだ?」

美泉「普通にカギ開いてたよ。ほんと不用心なんだから」

龍剣「そっか。次からは気をつけないとな…」

美泉「(なーんてね、本当はまたティアーノさんから合鍵貰ってきたんだ)」

龍剣「じゃあ準備するから美泉達もしてこいよ」

美泉「わかった」

5人は準備をして本部前に向かった。実は今日の任務は少し遠出するため、依頼人が送ってくれることになっている。その集合場所が、わかりやすく本部前なのだ



ティアーノ「それじゃあお前達、頑張ってこいよ」

龍剣「はい」

美泉「わざわざ見送りありがとうございます」

依頼人「そろそろ出発するよ。みんな乗って」

5人は依頼人の荷馬車に乗りこんだ。そして馬はゆっくりと歩きだす

香奈「行ってきまーす!」
 
ティアーノ「おう!」

ティアーノに見送られながらセンテッドを後にした


壮助「荷馬車なんて初めて乗ったよ」

美泉「私も。なんか楽しいね」

龍剣「遊びに行くんじゃないんだぞ」

美泉「わかってますよー。ところでさ、今朝どんな夢見てたの?」

龍剣「急だなおい」

しぶしぶ今朝の夢の事を話した

美泉「あははは!それでうなされてたの!?」

龍剣「…悪いかよ」

美泉「勝手に殺さないでよねー」

汏稀「龍剣、お前ってかなり残酷なんだな」

龍剣「仕方ないだろ、夢なんだから」

みんなでケタケタ笑い、俺は顔を赤らめながら言わなきゃ良かったと後悔した

依頼人「仲がいいのう、お前さん達」

馬を操っている依頼人のおじさんが話しかけてきた

依頼人「名前は何ていうんだい?」

龍剣「龍剣です」

美泉「美泉っていいます」

汏稀「汏稀と申します」

香奈「香奈でーす!」

壮助「壮助です。よろしくお願いします」

依頼人「龍剣に美泉、汏稀に香奈と壮助か。ワシは今向かっている風車村の村長、ボルカじゃ。よろしくな」

龍剣「こちらこそ」

香奈「よろしくお願いします」

ボルカ「今回の仕事については聞いてるね?」

汏稀「もちろんです」

今回の依頼内容は、地震により一部破損してしまった建物の修復の手伝い。建設業の職人達だけでは人手が足りないそうだ

ボルカ「こっちの方の地域には騎士団支部がなくてね。なんせ田舎なもんだから」

荷馬車に揺られること約2時間半。目的地である風車村に着いた

龍剣「着いたぞ美泉、起きて」

美泉「……あ、うん」

いつの間にか美泉は寝てしまっていたようだ

ボルカ「長距離で疲れてるところ悪いけど、荷物を置いたらさっそく仕事してもらうよ」

5人「わかりました」

荷馬車から降り荷物を持ったところで美泉が気付いた

美泉「ボルカさん、あれって………」

ボルカ「ああ、あれはローム火山じゃ」

壮助「火山ってもっとマグマが流れて危ないイメージだったけど、こんな感じなんだ」

灰色一色であるこのローム火山は、ここ200年以上噴火もなく、とても落ち着いている

ボルカ「今となってはただの山のように見えるが、危険なのには変わりないからのう。決して入るんじゃないぞ」

ボルカから注意を受けたところで村に入り、宿に荷物を置いてから現場に軽く挨拶し、合流した


ボルカ「よし、ぼちぼちやろうかの」

香奈「ボルカさんもやるんですか!?」

ボルカ「ワシの村なのにワシが手伝わんでどうするか」

香奈「あ、確かに」


職人「龍剣!そこに積んである木材全部もってきてくれ!」

龍剣「了解です!」

ボルカと職人は足場に登り、5人は主に雑務をしている

ボルカ「今度は地震なんかに負けねぇぞ~」

村長であるボルカも、一つ一つ丁寧に作業を進める
そして時刻は午後7時

ボルカ「おーし、今日はここまでじゃ!道具を片付けて集合してくれ!」

職人「うっす!!」

壮助「もうこんな時間か」

香奈「意外とあっという間だったね」

5人も道具を片付けてボルカのもとに集まった

ボルカ「お疲れさん。今日からはお前らが加わったから作業も順調じゃ。このペースならあと1週間で終わりそうじゃから、もう少し頑張ってくれ」

職人「はい!」

ボルカ「それじゃあ解散!」

龍剣達と同じく、泊まり込みで仕事をしている職人たちは、宿へと入っていった

職人「みんな!風呂上がったら一緒にメシ食うぞ!」

女子陣「はーい!」

男子陣「おっす!」

現場の人たちはとても明るく社交的な性格のため、すぐに打ち解けることができた

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