ケミカルロード〜薬学はRPGで最強だと思うんです〜
12:旅の始まり(3章:世界を救う花)
「えっ、旅に出る?」
俺はその言葉を聞いて不安の表情を浮かべた。でも、心の奥底ではどこか胸の高鳴りを感じていた。
「はい。ここにいてはジュンさんに嫌がらせを受けるばかりで世界を救うのが難しくなると思います。それにまずこの町にずっと居ても世界を救うということは不可能です。」
ルナは俺に尋ねるように視線を向けてきた。
「どうですか、カズアキさん。旅に出ませんか?」
俺は少し心の中で考えた。
ルナの言う通りではあるけど、旅っていうのはとても危険だ。第一、食事などはどうなる?
でも、そんなことを言っていても、世界を救うことなんてできない。お父さんがよく言っていたじゃないか。諦めてはいけない。どれだけ悪く言われても俺は世界を救うと決めたんだ。
それに冒険の旅なんて元の世界では滅多に体験できないもの。この異世界にきてしまったからには、全力でこの世界を救うということに尽くす。そして全力で楽しもう。
「どうやら、決まったようですね。あなたのその眼を見れば、分かりますよ。」
俺は曇っていた顔を笑顔に変え答えた。
「ああ、旅に出よう。」
そうして俺たちは旅に出るための支度を始めた。
支度の途中、ルナが急に思いついたように口を開いた。
「そういえば、昨日、カズアキさんの助けた方が薬をくれると言ってくれませんでしたか。」
ああ、そういえば。すっかり忘れていたな。
「カズアキさん、忘れていたんですか?」
ルナが動きを止め、俺を真っ直ぐ見つめながら言う。
「いや、忘れていたというか…。」
ルナがニヤニヤ笑いながら自分の方を見てくる。
「心を読めるのでそんな誤魔化し効かないですよ。カズアキさんってどこかおっちょこちょいなところがありますよね。」
俺は顔を赤に染めながら、準備を進めた。
そういえば、ルナの心を読めるというのはどこまで読めるのだろうか。女神の声はルナの話によれば、完全に聴こえていたのだろう。いや、でもあれは女神が周りに強い力を放っていたからか。
今日でルナと過ごして三日目。三日間見てきて、ルナは完全に心の声が聞こえるわけではないけど、どんな感情なのかというのはおおよそ分かるというレベルではないかと思った。
ルナのステータスでは読心術がレベル2だったし、それくらいの力なのだろう。これから冒険する中できっとその力はもっと強くなる。その力のせいでいじめられるという時もあるかもしれない。そんな時は俺が守ってやるんだ。
そんなことを思いながら手を動かしていると横からルナが手を動かす音が聞こえないから横を振り向くとルナは俺のことを凝視していた。
俺はいつのまにか叫んでいたようだ……。
あっ、やらかしたなこれ。いつものように声に出しちゃってたぞ…。
ルナが頬をすっかり赤く染め、俺が自分の方を向いてきたのに気付いたのか顔を伏せた。
「ああ、ルナ。すまない。その、叫んじゃって…。」
ルナは伏せていた顔を少し上げ、俺の方を向いた。その俺を見ている目には少し涙を含んでいた。
しばらくは、口を聞いてもらえなかった。
準備が大体終わった頃、ルナがやっと口を開いた。
「カズアキさん。」
その声は少し、高かった。
「な、なんだ?」
「あの、さっきはそんな、私を助けるなんて言ってくれて、恥ずかしくも思いましたが、嬉しかったですよ。」
俺はその言葉を聞き少し安心した。と同時にまた少し顔が赤くなった。
ルナは少し間を置いて付け加えるように言った。
「でもさすがに叫ぶのは恥ずかしすぎますよ。」
「なぁ、ルナ。俺はどこから声に出してたんだ?」
「これから私の力っていうところくらいから心の声がはっきり聞こえてきて、そんな時には俺が守るというところから叫んでましたよ…。本当にやめてください…。恥ずかしさで死んでしまいます。」
うう、こっちも恥ずかしいよ。
「こっちの方が恥ずかしいですからね。」
時々こんなこともあるけど、俺はルナと過ごす時間が楽しかった。異世界にきてよかった。
「まずはこの家を出て、薬屋の方に行くんだよな?」
俺は気になったから聞いた。
「はい。ついでに武器なども整えに行きましょう。この装備のままだとこの先、大変ですからね。」
そして俺は町長の家を出た。ルナは家を出るという置き手紙を書き家を出た。ついでにお金も借りると書き、借りてきたようだ。
そういえば、家借りたけど全然使わなかったな。まあ、俺があそこにいてもいいことはないし。
短い間でしたがありがとうございました。
そして、俺達は薬屋へと向かった。
薬屋の中はとても神秘的だった。
色々な薬草が置いてあり、どこか昔のことが懐かしい感覚を覚えた。
「いらっしゃいませ。ああ、昨日助けてくだった方ですね。こちらへどうぞ。」
そういって女性は椅子と机がある方へと案内してくれた。
そして俺達はその椅子に座った。
そういえばこの人のステータスも気になるな。見てみようか。
ルーダ(人間)
・職業-薬師(Lv.65)
・生命力-3500/3500
    攻撃力-830
    防御力-980
    賢さ    -7800
    器用さ-4200
    俊敏    -870
    精神力-6800/6800
・スキル
   薬学の知識(Lv.Max)
    薬創造(Lv.-)
    短剣術(Lv.6)
    弓術(Lv.14)
    話術(Lv.4)
    探索術(Lv.3)
    策略(Lv.5)
    価値判断[固有スキル](Lv.7)
   
・精霊の力
    弓の神霊『アルテミス』
…ん?
「今日はお越し下さってありがとうございます。薬の件ですよね。どれになさいますか?」
「カズアキさん、ボーっとしてないで、どれにしますか。」
「ああ、ごめん。どれにしようか。これだけあると迷うな。」
周りにはこれでもかというくらい多くの薬物があり、これ、と一つを決められそうにない。
「ああ、カズアキさん。一つ言い忘れていました。一つだけじゃなくていいですよ。できる限りお渡しします。」
「いいのか?」
「はい。」
じゃあ、遠慮なく甘えさせてもらうとするか。
そして俺達は必要だと思う薬物を何個か貰った。
「ありがとうございます。」
ルナが礼を言う。
「ありがとう。」
俺も礼を言った。
「いえいえ。助けていただいた身ですし、これくらい当然のことです。それに困った時はお互い様でしょう。」
「実はこれから旅立つんです、この町から。」
そのルーダという女性をその言葉を聞き、驚いた顔でこちらを向いた。
「旅に出るんですか、ルナ様とあなたで?」
「はい。」
ルーダは少し考えた顔をした。しばらくして、ルーダは口を開いた。
「そうですね。でしたらこのお守りをお持ちください。」
そう言って俺の手に、小さなお守りを置いた。
「これは、貴方達を守ってくれるお守りです。大事に持っていてください。」
「ああ、大事にするよ。」
「何かあれば、ここにきてもらって構いませんよ。出来るだけ貴方の力になりたいですから。」
「ありがとうございます。」
そうして俺達はその薬屋を出た。
その後、武器や防具を買いこのツアナ町に別れを告げた。
さあ、ここからが本当のスタート。この『俺達』の道を走り抜いてみせる!
俺はその言葉を聞いて不安の表情を浮かべた。でも、心の奥底ではどこか胸の高鳴りを感じていた。
「はい。ここにいてはジュンさんに嫌がらせを受けるばかりで世界を救うのが難しくなると思います。それにまずこの町にずっと居ても世界を救うということは不可能です。」
ルナは俺に尋ねるように視線を向けてきた。
「どうですか、カズアキさん。旅に出ませんか?」
俺は少し心の中で考えた。
ルナの言う通りではあるけど、旅っていうのはとても危険だ。第一、食事などはどうなる?
でも、そんなことを言っていても、世界を救うことなんてできない。お父さんがよく言っていたじゃないか。諦めてはいけない。どれだけ悪く言われても俺は世界を救うと決めたんだ。
それに冒険の旅なんて元の世界では滅多に体験できないもの。この異世界にきてしまったからには、全力でこの世界を救うということに尽くす。そして全力で楽しもう。
「どうやら、決まったようですね。あなたのその眼を見れば、分かりますよ。」
俺は曇っていた顔を笑顔に変え答えた。
「ああ、旅に出よう。」
そうして俺たちは旅に出るための支度を始めた。
支度の途中、ルナが急に思いついたように口を開いた。
「そういえば、昨日、カズアキさんの助けた方が薬をくれると言ってくれませんでしたか。」
ああ、そういえば。すっかり忘れていたな。
「カズアキさん、忘れていたんですか?」
ルナが動きを止め、俺を真っ直ぐ見つめながら言う。
「いや、忘れていたというか…。」
ルナがニヤニヤ笑いながら自分の方を見てくる。
「心を読めるのでそんな誤魔化し効かないですよ。カズアキさんってどこかおっちょこちょいなところがありますよね。」
俺は顔を赤に染めながら、準備を進めた。
そういえば、ルナの心を読めるというのはどこまで読めるのだろうか。女神の声はルナの話によれば、完全に聴こえていたのだろう。いや、でもあれは女神が周りに強い力を放っていたからか。
今日でルナと過ごして三日目。三日間見てきて、ルナは完全に心の声が聞こえるわけではないけど、どんな感情なのかというのはおおよそ分かるというレベルではないかと思った。
ルナのステータスでは読心術がレベル2だったし、それくらいの力なのだろう。これから冒険する中できっとその力はもっと強くなる。その力のせいでいじめられるという時もあるかもしれない。そんな時は俺が守ってやるんだ。
そんなことを思いながら手を動かしていると横からルナが手を動かす音が聞こえないから横を振り向くとルナは俺のことを凝視していた。
俺はいつのまにか叫んでいたようだ……。
あっ、やらかしたなこれ。いつものように声に出しちゃってたぞ…。
ルナが頬をすっかり赤く染め、俺が自分の方を向いてきたのに気付いたのか顔を伏せた。
「ああ、ルナ。すまない。その、叫んじゃって…。」
ルナは伏せていた顔を少し上げ、俺の方を向いた。その俺を見ている目には少し涙を含んでいた。
しばらくは、口を聞いてもらえなかった。
準備が大体終わった頃、ルナがやっと口を開いた。
「カズアキさん。」
その声は少し、高かった。
「な、なんだ?」
「あの、さっきはそんな、私を助けるなんて言ってくれて、恥ずかしくも思いましたが、嬉しかったですよ。」
俺はその言葉を聞き少し安心した。と同時にまた少し顔が赤くなった。
ルナは少し間を置いて付け加えるように言った。
「でもさすがに叫ぶのは恥ずかしすぎますよ。」
「なぁ、ルナ。俺はどこから声に出してたんだ?」
「これから私の力っていうところくらいから心の声がはっきり聞こえてきて、そんな時には俺が守るというところから叫んでましたよ…。本当にやめてください…。恥ずかしさで死んでしまいます。」
うう、こっちも恥ずかしいよ。
「こっちの方が恥ずかしいですからね。」
時々こんなこともあるけど、俺はルナと過ごす時間が楽しかった。異世界にきてよかった。
「まずはこの家を出て、薬屋の方に行くんだよな?」
俺は気になったから聞いた。
「はい。ついでに武器なども整えに行きましょう。この装備のままだとこの先、大変ですからね。」
そして俺は町長の家を出た。ルナは家を出るという置き手紙を書き家を出た。ついでにお金も借りると書き、借りてきたようだ。
そういえば、家借りたけど全然使わなかったな。まあ、俺があそこにいてもいいことはないし。
短い間でしたがありがとうございました。
そして、俺達は薬屋へと向かった。
薬屋の中はとても神秘的だった。
色々な薬草が置いてあり、どこか昔のことが懐かしい感覚を覚えた。
「いらっしゃいませ。ああ、昨日助けてくだった方ですね。こちらへどうぞ。」
そういって女性は椅子と机がある方へと案内してくれた。
そして俺達はその椅子に座った。
そういえばこの人のステータスも気になるな。見てみようか。
ルーダ(人間)
・職業-薬師(Lv.65)
・生命力-3500/3500
    攻撃力-830
    防御力-980
    賢さ    -7800
    器用さ-4200
    俊敏    -870
    精神力-6800/6800
・スキル
   薬学の知識(Lv.Max)
    薬創造(Lv.-)
    短剣術(Lv.6)
    弓術(Lv.14)
    話術(Lv.4)
    探索術(Lv.3)
    策略(Lv.5)
    価値判断[固有スキル](Lv.7)
   
・精霊の力
    弓の神霊『アルテミス』
…ん?
「今日はお越し下さってありがとうございます。薬の件ですよね。どれになさいますか?」
「カズアキさん、ボーっとしてないで、どれにしますか。」
「ああ、ごめん。どれにしようか。これだけあると迷うな。」
周りにはこれでもかというくらい多くの薬物があり、これ、と一つを決められそうにない。
「ああ、カズアキさん。一つ言い忘れていました。一つだけじゃなくていいですよ。できる限りお渡しします。」
「いいのか?」
「はい。」
じゃあ、遠慮なく甘えさせてもらうとするか。
そして俺達は必要だと思う薬物を何個か貰った。
「ありがとうございます。」
ルナが礼を言う。
「ありがとう。」
俺も礼を言った。
「いえいえ。助けていただいた身ですし、これくらい当然のことです。それに困った時はお互い様でしょう。」
「実はこれから旅立つんです、この町から。」
そのルーダという女性をその言葉を聞き、驚いた顔でこちらを向いた。
「旅に出るんですか、ルナ様とあなたで?」
「はい。」
ルーダは少し考えた顔をした。しばらくして、ルーダは口を開いた。
「そうですね。でしたらこのお守りをお持ちください。」
そう言って俺の手に、小さなお守りを置いた。
「これは、貴方達を守ってくれるお守りです。大事に持っていてください。」
「ああ、大事にするよ。」
「何かあれば、ここにきてもらって構いませんよ。出来るだけ貴方の力になりたいですから。」
「ありがとうございます。」
そうして俺達はその薬屋を出た。
その後、武器や防具を買いこのツアナ町に別れを告げた。
さあ、ここからが本当のスタート。この『俺達』の道を走り抜いてみせる!
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