神様にツカれています。

こうやまみか

第一章 8

それに麻神様は英語の発音も大学に居る英語のネイティブの先生と変わらないほど流暢な件も心の底からビックリした。一瞬「タイムズマネィ」という呪文か何かかと思ったくらい。
 半ばげんなりしながら返事をした。
「ネカフェのシステムでだいたい分かりました。分かりやすい解説有難うございます」
 そんな知識は知っていても1ミリの得にもならないだろうが。
「要は、その神が司るモノにどれだけの人間が動いてくれたかという点も重要だというわけだ。ところで、この神様は何を司っているか分かるか?」
 何もない空間にイキナリ画像が映し出される。そういう点は神様だから可能なワザなのだろう。
 物凄いイケメンだし、身に着けているものはシマ○ラとかユニク○しか縁がない誠司にも物凄く高価そうだということは分かる。以前テレビで観た「新宿のカリスマホスト」みたいな感じだった。
「これがプラチナ会員クラスの神様なんですねー。ええと、IT企業の守り神とか……」
 お金持ちイコールIT企業社長としか思い浮かばない。
「これは詐欺の神様だ。この不況下でもタンス預金をしている日本人は数多いからな。そういう人を狙って騙すのが狙いで、物凄く繁盛しているし、羽振りも良い。この十年間ほどはブッチギリのトップの座に君臨している」
 詐欺師にも神様が居たとは知らなかった。
「あーオレオレ詐欺ですか。――実はオレの父親も引っ掛かりそうになりましたよ。『ああ、オレ、今交通事故をやらかしてしまって……。ヤクザの運転するベンツ……。示談金が今すぐ必要で、500万円とか言っている』と携帯に掛かって来て。父親は慌てふためいて自室のベッドで寝ているオレを叩き起こして『事故を起こしたというのは本当か?』と。
 しかもオレ、自動車免許書も持っていないことも知っているんですけど……」
 こういう慌て者が日本人には一定数存在するのは知っていたが、自分の親ながら恥ずかしい。
 麻神様も笑いを必死で堪えている表情だった。
「オレオレ詐欺というのは通称で、正式には特殊詐欺と呼ばれておるな……。まあ、それはどうでも良いが、毎年約170億円の被害届が出ている。詐欺の場合は本人が警察に届け出ないと表沙汰にはならないので、実数はもっと行くだろう」
「ひゃ、ひゃっ170億円……」
 金額が大きすぎて裏返った声しか出なかったのも仕方ないことだろう。

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