魔勇王者~魔王は勇者であり、勇者は魔王である~

私氏

新たなる世界

俺はメナトと一緒に国を出た
屈辱だった、何も出来なかった、ただ処刑を待つ日々だった
「メナト…ごめんな迷惑かけちまって」
俺はそれくらいしかし言えなかった。メナトは俺を助けるために家も国も捨てて来たのだ。
「クロム様何を言ってらっしゃいますか。私は私の判断で決めた事です。後悔はありませんよ」
メナトはそう言うとこちらを向いて笑ってくれた
俺も返そうと思ったが笑うことは出来なかった
「クロム様次の村で休みましょう」 
「そうだな」
俺たちは国から2つほど離れたそれなりに大きい村で一泊することにした
「クロム様武器屋に行きましょう。少しならお金も持ってきていますし、ここから何があるかわかりません。丸腰だとあぶないですよ」
「そうだな。申し訳ないがそうして貰えると助かる」
俺らは武器屋にはいり、ロングソードを買った
「すいません。いい剣が買えなくて」
「いいさ。勇者の加護でそこら辺の剣よりは使える」
そんなことを話しながら歩いて安そうな宿を探していた
「クロム様ここはいかがでしょう」
そう言ってメナトが指を指したのは木造の宿で外観から見て、かなり朽ちている
「そうだな。ここにしようか」
俺たちは宿に入り、1番安い部屋に泊まった
部屋に入るとベット二つがぎりぎり収まる位の部屋だった。
「狭いですねー」
メナトは少し落ち込みながら言った
「寝れるだけいいだろ」
「そうですよね」
俺とメナトはそれぞれベットに寝転んだ
「疲れたな」
「そうですねー」
メナトがいなかったらどうなって居ただろう
自暴自棄になっていた俺にメナトは救いの手を差し伸べてくれた
「ありがとなメナト。お前がいないと俺はどうなっていたか」
そう言ってメナトを見るとメナトは疲れていたのか眠っていた
すぅすぅと寝息をたてるメナトを見て、俺はこれからのことを考えていた
「さぁここからどうするか」
そんなことを考えていると、いつの間にか眠ってしまっていた

次の日俺は騒がしい外の音で起きた
「おい!ここを包囲しろ!罪人が泊まってるとの事だぞ」
俺はその声を聞いて眠気が吹き飛んだ
「メナト起きろ!囲まれてるぞ!」
メナトは驚いたのか飛び起きて窓を見た
「どうしましょう!このままでは」
「部屋に踏み込まれる前に窓から飛び出るしかないだろ。こんな狭いところでの戦闘は無理だ。外に出たらスリープを使ってくれ」
「はい!」
「よしっ!行くぞ」
俺とメナトは窓から飛び出て、裏路地に着地した。
「ここにいたぞ!」
兵士数人がこちらに走って来たので、俺は剣を抜き、兵士の足止めをした
「スリープ!」
兵士達は糸が切れた操り人形のように倒れた。
「よし!行くぞ!」
「はい!」
俺達は、広場に向かって走った
「ここから出るには広場を通るしかないがかなりの兵士が待ち受けているはずだ。気をつけろ!」
広場に出ると王家の近衛兵団がいた。
「一気に蹴散らすぞ!」
「了解です!」
広場に出たと同時に
「三連斬撃!」
兵士に向けて攻撃を開始した
「炎の園!」
メナトも続けざまに攻撃した
「怯むな!防御体制で応戦しろ!」
近衛兵は固まり防御体制を整えた
「やっぱり簡単には行かないか!」
「私がガードブレイクをつかいますのでクロム様はっ」
突然メナトの声が切れたのでそちらを見て見るとそこにはカイムとミレイがいた
「おう罪人のクロムよ」
「まさか妾が信じた勇者様が罪人となるとはね」
「くそ!てめぇらメナトを離せよ!」
俺はカイムとミレイに叫んだ
「クロムよ。こいつは人質なんだ。わかるだろ?」
「そこを動くでないぞ。妾も元仲間に手をかけたくない」
「くそ卑怯だぞ!」
俺は動けずにいると後ろから来た近衛兵に取り押さえられた
「離せ!どけろ!」
俺は近衛兵に取り囲まれてしまった
「大人しくしろ!お前は国に帰って即刻処刑だ」
くそ!くそ!俺はまた捕まるのか!メナトを救えないまま!罪を晴らせないまま!国に復讐出来ないまま!
ちくしょう!ここまでか!
「諦めるのかクロムよ?」
「誰だ」
目の前には銀髪の褐色の肌をした女の人が立っていた
時が止まったかのように誰一人ぴくりとも動いていなかった
「これはどういう状況だ!なぜ誰も動かない」
「お前と話がしたくてな。少々時間を止めさせて貰った」
そう言うとこちらに近づいて来て話した
「私の名はエウレア。復讐を司る神だ。お主なかなか危うい状況ではないか?」
「その通りだよ」
「この場を逆転する手段を与えようと思ってな」
「なんだその手段は?」
「私と契約して神にならんか?」


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