神殿の月

こうやまみか

 白桃の双丘を指で開いて、さらに紅い場所を空気に晒した。指を締め付けてくるその聖なる場所は、暖かく濡れている。
「馴らさずとも、大丈夫だ……」 
 艶やかさの増した声が濡れた素肌の奏でる音に混じって聞こえている。
「しかし……神と交信する大切な場所ですので……、先ずは指で……」
 唇と指で胸の尖りを硬く尖らせつつ、もう片方の掌で双丘を開いて二本の指を緩やかな動きで挿れた。
 簡単に花開く場所ではあったものの、ファロスの指はあくまで慎重に何かを探るような動きだった。
「ああ……」
 キリヤの声がよりいっそうの切なさと艶やかさを帯びている。そして、重なり合った下半身が互いの水滴を混ぜ合わせるように動いていた。
「ここ、ですか」
 紅に染まった唇がひときわ艶やかな声を紡いでいる。それにお互いの育ち切ったモノをこすり合わせる熱く濡れた音が淫らな無垢さで室内を染めていくようだった。
 ファロスの指先が身体の中の最も感じる一点に当たるようにと紅色に染まって汗の雫を浮かせた肢体が艶やかにしなる様子も絶品だった。
「もう……」
 紫の絹の上でしなやかに反る身体が戦慄いている。
「先に達してください」
 戦神と繋がるための神事だということも頭の隅には有ったものの、薫る素肌を紅色に上気させて汗の雫を水晶のように煌めかせた綺麗な人の艶やかな姿をもう少し見ていたいという情動の方が強かった。
「ああ!」
 しなやかな肢体が紫の絹の上で大きく撥ねたかと思うと、ファロスの腹部に熱い真珠の迸りを放ち続けている。
 その余韻が消えないうちにと、指を抜いて熱く滾たぎったファロスの剣をゆっくりと挿れた。
「キリヤ様の中……とても心地よく締め付けてくださいます」
 根元まで繋がった証しのように濡れた肌が奏でる協奏曲が次第に激しさを増していく。
「ああ……」
 紅色に染まった細い足がファロスの腰をさらに強く縋るように、誘うように絡みついた。
「出来れば……一緒に……達して……ください」
 身体中に浮いた大粒の汗がファロスの律動と共にキリヤの肌に雨のように散っている、肢体だけでなく紫の絹の上にも。
「もう……」
 ひときわ甘い声を上げたキリヤの腰も力強い律動に合奏するかのように丸く円を描いているのも聖なる蠱惑に満ちていた。
「私も……です」
 絶頂はほぼ同時だった。



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