修羅道 ~レベルを上げたいだけなのに~
第10話 俺はアトラクションではない。
俺はずっと考えていた。この世界で何をなすべきかを、レベルをあげても倒すべき敵が俺にはいなかった。この世界は平和らしくモンスターや魔王といった人類に害をなす存在がいなかった。
はるか昔の勇者様が世界を平和にしてしまった。
ゲームのようにレベルをあげたかったが、殺して良い存在がいないのが現状である。
レベルあげを諦める気はなかった。
俺は自分を他者より秀でた存在にしたい。何かを殺すには大義名分が必要だった。
城の裏手に接岸した、イカダの上で指示を出していただけのキャサリンがストレッチをしながら言う。
「ねぇムサシはやっぱり人殺しなの?それで島流しになったの?あたしももう用済み?」
「うさぎを3匹狩っただけだ」
「命を奪ったのね、うさぎなんて絶対に人に害をなさないのに」
俺の常識とこの世界の常識は異なる。
「殺してほしいなら殺すがここに死体を残したくない、それにさっさと内側に侵入したい。城壁の外をうろついているのが見つかると面倒だ」
城壁は城だけではなく城下町の方まで伸びている、全容は俺の目ではわからないがそうとうに大きな街だ、城壁の高さもかなりある。
俺一人ならば飛び越えることは容易い。キャサリンを捨て置いてもいい。
「殺さないのならあたしも連れてってよ」
神経の太い女だ。
「そうだな俺の力なら放り投げれば中まで入れるだろう」
「着地できなーい、絶対怪我する却下。あたしは可愛い女の子なのよ」
みょうにクネクネして視線をこっちによこしやがる、谷間が眩しい、なんのとは言わんが。
「ほーらぁ抱っこよ抱っこ、そんで二人で一緒に入ればいいじゃない」
「垂直とびはでは無理だ、城壁に対して平行して登っている傾斜がどこかになったか?」
「んーそれならあっち側がいいかも」
やれやれ、完全にキャサリンのペースにのまれている。
「ふむ、ここからならいけそうだ」
「お姫様だっこでお願い」
ちょうどいい斜面をみつけた俺に、キャサリンが身体を寄せてくる。
もう何も言わず言われたとおりにしてやった。
「 行くぞ」
俺の首に回された腕に力が入り、キャサリンが身体をより密着させる。
脳の三割程がやわらかさや匂いで支配されるが、理性では抵抗してやった。
加速しながら斜面の頂点を目指す、速度の頂点と斜面のそれがシンクロし俺は跳んだ。
一瞬の浮遊感から落下、着地の衝撃を膝でころすが耐え切れずバランスをくずし尻餅をついた。
いつのまにか立っていたキャサリンが手を差し出して俺に言う。
「あー楽しかった、もう一回、もう一回」
「やりません」
立ち上がった俺は周囲を警戒する、幸い人通りの少ない場所だったようであたりに人影は見えなかったが見落としただけで誰かに見られた可能性もある、騒ぎになる前に移動したほうがいい。
「こっちよ」
考えることは同じらしい。言われるがままついていく。
そしてこいつはここの地理があるようだ。
「入って」
やがて一軒の家に案内される平屋の石造りの家だ。
やや警戒して中にはいるが中には誰もいない。キャサリンはリビングのカーテンをあけ奥へ行った。
「ここはお前の家か?」
「そうよーその辺に座ってて」
ほどなくしてキャサリンがお茶のセットを持ってくる、ポットとカップ二つをトレイにのせて持って来た」
キャサリンが目の前でポットからカップにお茶を入れる、最初からカップに入れてこなかったのは毒が入ってないことを示すための配慮だろうか。
考えすぎかと内心自分自身を笑っていると先にお茶を口にはこんだキャサリンが言う。
「はーおいしいー」
良い香りだ。紅茶だなこれは、そう確認すると俺も一口頂く
「うまい、とてもうまい」
紅茶をこれほどうまいと感じたことはなかった。
「ねぇムサシこれからあんたどうするの?」
「さぁな」
「行くとこないんだったらウチにいなよ」
「お前こそどうするんだ?仕事はあるのか?」
「盗んだり騙したりするのが私の仕事よ、まー戻ってきたことがバレたら誰かしらに監視されちゃうかもだけど。ムサシが仕事してくれるなら私、足を洗うし大人しく奥さんしてるわ、ねぇねぇ私考えたんだけどムサシ強いから兵士にでもなればいいじゃない、俸給いいはずよ」
「兵士がいるのか?」
「そりゃ帝都だからね、戦争はなくなったけど式典とか国の威信とかよくわからないけど兵士はいるわ、城勤めよ、エリートよ」
なるほど兵士はいてもやはり争いはないか、それにしてもいきなり奥さんとか何考えているんだこのバカは、やれやれ。
ここに、ひとつの町にとどまるメリットとデメリットを考えてみる。
「兵士が嫌だったらさぁひとまず武闘祭でようよ、賞金でるわよ、ムサシなら優勝も夢じゃないわ」
「武闘祭はいつあるんだ?」
「さぁ正確な日時はわからないけど時期的にはそう遠くないはずよ、あとで調べてくるね」
腕試しするのも悪くない、ここに留まるにしろ出て行くにしろ、金はあって困らない。というか必要だ。
紅茶を飲みながら今後の予定を立てる。武闘祭まではまだ日にがあった。
――その夜せまってくるのでキャサリンを抱いた。
はるか昔の勇者様が世界を平和にしてしまった。
ゲームのようにレベルをあげたかったが、殺して良い存在がいないのが現状である。
レベルあげを諦める気はなかった。
俺は自分を他者より秀でた存在にしたい。何かを殺すには大義名分が必要だった。
城の裏手に接岸した、イカダの上で指示を出していただけのキャサリンがストレッチをしながら言う。
「ねぇムサシはやっぱり人殺しなの?それで島流しになったの?あたしももう用済み?」
「うさぎを3匹狩っただけだ」
「命を奪ったのね、うさぎなんて絶対に人に害をなさないのに」
俺の常識とこの世界の常識は異なる。
「殺してほしいなら殺すがここに死体を残したくない、それにさっさと内側に侵入したい。城壁の外をうろついているのが見つかると面倒だ」
城壁は城だけではなく城下町の方まで伸びている、全容は俺の目ではわからないがそうとうに大きな街だ、城壁の高さもかなりある。
俺一人ならば飛び越えることは容易い。キャサリンを捨て置いてもいい。
「殺さないのならあたしも連れてってよ」
神経の太い女だ。
「そうだな俺の力なら放り投げれば中まで入れるだろう」
「着地できなーい、絶対怪我する却下。あたしは可愛い女の子なのよ」
みょうにクネクネして視線をこっちによこしやがる、谷間が眩しい、なんのとは言わんが。
「ほーらぁ抱っこよ抱っこ、そんで二人で一緒に入ればいいじゃない」
「垂直とびはでは無理だ、城壁に対して平行して登っている傾斜がどこかになったか?」
「んーそれならあっち側がいいかも」
やれやれ、完全にキャサリンのペースにのまれている。
「ふむ、ここからならいけそうだ」
「お姫様だっこでお願い」
ちょうどいい斜面をみつけた俺に、キャサリンが身体を寄せてくる。
もう何も言わず言われたとおりにしてやった。
「 行くぞ」
俺の首に回された腕に力が入り、キャサリンが身体をより密着させる。
脳の三割程がやわらかさや匂いで支配されるが、理性では抵抗してやった。
加速しながら斜面の頂点を目指す、速度の頂点と斜面のそれがシンクロし俺は跳んだ。
一瞬の浮遊感から落下、着地の衝撃を膝でころすが耐え切れずバランスをくずし尻餅をついた。
いつのまにか立っていたキャサリンが手を差し出して俺に言う。
「あー楽しかった、もう一回、もう一回」
「やりません」
立ち上がった俺は周囲を警戒する、幸い人通りの少ない場所だったようであたりに人影は見えなかったが見落としただけで誰かに見られた可能性もある、騒ぎになる前に移動したほうがいい。
「こっちよ」
考えることは同じらしい。言われるがままついていく。
そしてこいつはここの地理があるようだ。
「入って」
やがて一軒の家に案内される平屋の石造りの家だ。
やや警戒して中にはいるが中には誰もいない。キャサリンはリビングのカーテンをあけ奥へ行った。
「ここはお前の家か?」
「そうよーその辺に座ってて」
ほどなくしてキャサリンがお茶のセットを持ってくる、ポットとカップ二つをトレイにのせて持って来た」
キャサリンが目の前でポットからカップにお茶を入れる、最初からカップに入れてこなかったのは毒が入ってないことを示すための配慮だろうか。
考えすぎかと内心自分自身を笑っていると先にお茶を口にはこんだキャサリンが言う。
「はーおいしいー」
良い香りだ。紅茶だなこれは、そう確認すると俺も一口頂く
「うまい、とてもうまい」
紅茶をこれほどうまいと感じたことはなかった。
「ねぇムサシこれからあんたどうするの?」
「さぁな」
「行くとこないんだったらウチにいなよ」
「お前こそどうするんだ?仕事はあるのか?」
「盗んだり騙したりするのが私の仕事よ、まー戻ってきたことがバレたら誰かしらに監視されちゃうかもだけど。ムサシが仕事してくれるなら私、足を洗うし大人しく奥さんしてるわ、ねぇねぇ私考えたんだけどムサシ強いから兵士にでもなればいいじゃない、俸給いいはずよ」
「兵士がいるのか?」
「そりゃ帝都だからね、戦争はなくなったけど式典とか国の威信とかよくわからないけど兵士はいるわ、城勤めよ、エリートよ」
なるほど兵士はいてもやはり争いはないか、それにしてもいきなり奥さんとか何考えているんだこのバカは、やれやれ。
ここに、ひとつの町にとどまるメリットとデメリットを考えてみる。
「兵士が嫌だったらさぁひとまず武闘祭でようよ、賞金でるわよ、ムサシなら優勝も夢じゃないわ」
「武闘祭はいつあるんだ?」
「さぁ正確な日時はわからないけど時期的にはそう遠くないはずよ、あとで調べてくるね」
腕試しするのも悪くない、ここに留まるにしろ出て行くにしろ、金はあって困らない。というか必要だ。
紅茶を飲みながら今後の予定を立てる。武闘祭まではまだ日にがあった。
――その夜せまってくるのでキャサリンを抱いた。
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