神と精霊の祝福を受けた悪役令嬢

Kei

第二話 〜矢を放たれる〜

 コクヨウに連れられて食堂に入る。そこにはレティーナの父と母がいた。

「お父様、お母様、お早うございますわ。」

「まあ!レティー。今日は一段とおめかししたのね、可愛いわ!きっと洗礼式に行く女の子の中でもピカイチよ!」

「うむ、そうだな。」

 この両親レティーナを可愛く思えるのは、彼女の母フィオーネが一度しか赤子を産めない体で、唯一の子供のレティーナを溺愛し、贅沢させ、そしてレティーナは首が見えず、お腹のお肉が三段になってしまったのである。
 その溺愛故、今日のレティーナの朝食は洗礼式の為、いつにも増して豪華で量が多い。大人5人分に生クリームとイチゴをふんだんに使った三段ケーキが今日の朝食だ。

「さあ、座って!今日は洗礼式のお祝いで好きなもの沢山作って貰ったのよ!」

「沢山食べるといい。」

「わぁ!」

 レティーナはそう言われて食事のマナーなど御構い無しにガツガツと食べていく…。レティーナもまだ6歳。美味しそうな食事を前に、お嬢様ぶった態度も吹っ飛んでいくのである。(※ただのマナーのなっていない食いしん坊)

 モグモグ…ゴクン

「あら、お口に付いているわ。」

 大量の食事を食べ終えて、口に着いた生クリームを母にゴシゴシ拭かれる。

「美味しかったですわ!」

「そう、良かったわ。…そういえば、レティー。」

「何ですの?お母様。」

 そう言って、首を傾げた。が、何故かボキボキと音がした気がする。気のせいだろう。うん。

「実はね、今年の洗礼式に第一王子のルシフェル殿下もいらっしゃるそうよ。なんでも、婚約者候補を探す為らしいわ。」

「殿下がいらっしゃるの⁈」

「えぇ。容姿が良くて魔力も高く、良い加護を持つ者が選ばれるそうよ。」

「まぁ!きっと私も出来るわ ︎」

「レティーは可愛いからきっと選ばれるわ!」

「そうだな。」

 こんな苦笑いしかできない話は置いといて、何故王子がたかが洗礼式に行きだけで驚いているのかというと、王族は大抵王宮に神官を呼ぶからだ。

 食事を終え、自室に戻っているとコソコソと声が聞こえてきた。

「ん、何かしら?メイド?」

『…よ。あんな…。』

『本当。レティーナ様みたいな醜い白豚がルシフェル殿下、ましてや貴族の子息様の目に止まる訳もないのにねぇ。ほんっとう、可哀想だわぁ〜。フフフッ』

『しかもさっき、「私もいけますわ!」ですって、笑えますわ〜。あんなに太っていて、ブスで、しかも我儘で傲慢。性格までブスで、いっそ清々しいですわ。笑』

 グサ      グサッ       グサグサッ
 グサグサグサグサグササササッ

 メイドの陰口を聞いてしまったレティーナ。沢山の矢の雨により、泡を吹きながら気絶した。でっかい肉、確保である。





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