Azurelytone 【1】~アズレリイトオン~

羽兼

013 簡単な答えだ

「ぐっ……」 

降り注いだ硬質化した肉片は、ミヅキの身体を容赦なく削り続ける。

男は、凄まじい速さで、ミヅキの背後に迫る。


しかし、ミヅキの反応はそれ以上だった。


「おらっ!…」

ミヅキは、カウンターで男の腹部に、廻し蹴りをつきさした。 

ザザ………

怪物と化した男に僅かな動揺がはしる。

「……?」 


ミヅキは、血まみれになりながら、そのスピードは衰えるどころか、加速している。


「………あんた」


「肉にダストを取り込んだのか?」


「皮膚を硬質化……筋肉を弾力化……
  瓦礫や砂利を圧縮して放つから
  そのスピードが出せる………」 


「この発想はなかったな………」


「すごいよ あんた」


ミヅキは、首に張り付いた男の手を、自分の皮膚ごと無造作に剥ぎ取った。


「なぜ?
   俺がその動きについていけるか……?」

「不思議そうだな……」


返事の代わりに、男は飛びかかる。


バコン!


石壁に大きな亀裂がはいる。

………既にミヅキはいない。


男が振り替えると、月の光に照らされたミヅキの姿があらわになった。


「簡単な答えだ」 


その顔は、艶やかに碧く硬質化し、その表面は刃となった血液に纏われている。



「なぜなら………俺も
   人ではなくなっているから……」



ミヅキの瞳が深紅の輝きをます。

アレーテウェイン!! 


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