Azurelytone 【1】~アズレリイトオン~

羽兼

005 鬼ごっこ 終

「止まれ!!!!」

「それ以上近づくと、このガキを殺す 」

その記憶のシーンでは、
僕は男に羽交い締めにされ、銃口を
眉間に押し付けられていた……。


「おい?…………なんのつもりだ?」

青年は落ち着いた声で諭す。

「先に絡んできたのは
    あんたらの方だろう?」

「通りすがりの子供が
   人質になるとでも……?」 

しかし、仲間を全て一瞬で喪った男に
冷静な判断力はすでに失われている。


「ぅっ……うるさい!」

「ボスから受け取ったモノを
   ょ…よこせ!!」 

青年が訝しげに、かたちのよい眉をよせた。

「おまえ……ザイン(眠れぬ人間)
    つまり、不死者ではない?」

「ダーザイン(不死者)なら
    人質なんて発想はないからな…」

「……まぁいい」 

青年は、握りしめていたものを、
男に向かって放り投げた。

「ほらっ!!」

「これだよ 」


血にまみれた指環が宙を舞う。
血飛沫が男と僕に降りかかる。


「さっき 見せたと思うが…」

「俺のブレンド(能力)は血液の支配…だ」

「硬質化して武器にもできる」

「そして………」 

片手は僕を……片手は銃を……
男の顔は血液の飛沫を振り払うことができなかった………血液は意志があるかのように、男の目……耳……口から内部に入り込む。

「たとえそれが
    飛沫であったとしても……」

「顔にかかった血液は
    その体内に侵入し……」

「……え?」 
男が血の侵入に気がついた時には、
すでに手遅れだった。


「総てが俺の支配をうける!!」


メキメキ。メキメキメキメキッ。


男が最後に聞いたのは、自身の脳が裂ける響きだった………。

「脳内の血を
    残らず吹き出して死ね!!」


「……鬼ごっこ終了だな。 」

バシン!!!!!


男の頭は吹き飛んだ。


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