追放されたので魔術開発して平和に暮らす
魔術と科学の関係性を知る
3人が華と出会って数日後。いつものように華に叩き起こされて、東雲は起きてくる。
「あれ?華さんは?」いつもならいるはずの席に華の姿がなく、東雲は唯に聞く。
「昨日言ったでしょ、華さん、私と同じく施設の職員として働いてもらうって。今日から働いてるわよ、ちゃんと覚えておきなさいよ」
唯は話を聞いていなかった東雲に文句を言う。
「ああ、そうだったな」
東雲は思い出したように返事する。
「華さん魔力がないんだって?」
昨日神崎からそう聞き、東雲は唯に尋ねる。
「そうみたい、だからって困ることがあるわけじゃないけれどね」
特に気にすることなく答える。
「まあな、滅多にいないけれどいるにはいるし、そういう人のための制度もあるわけだし問題はないだろうな、歳をとった時ぐらいか、困るなら」
東雲も唯に同意する。
「そういえば、華は神崎が未来から来たことを聞いたのか?」
東雲はふと思い出したようにそう言う。
「ええ、聞いたわ。最初は少し驚いたけど。」
あまり気にするような素振りを見せることなくそう唯は言った。
「華さんがいても困るだけだろうし、華さんがいない間に、魔術の話でもしようか」
2人の話を聞いて、神崎は提案した。
「ああ」 
東雲は言った。
「まず、予め言っておくと、2人に科学の全部の知識を教えることはできない。」
神崎はまずそう言った。
「なんでだよ⁈教えてくれるんじゃなかったのか?」
神崎の言葉に東雲は動揺して質問する。
「落ち着けって。俺だって全部教えたいさ。でも、あまりにも情報が多すぎるんだ。全てを教えるには1年どころか10年あっても足りないんだよ。」
神崎は弁明する。
「そんなに沢山あるのか?」
東雲は、尋ねる。
「ああ、科学って言っても様々な学問があるんだ。魔術だって、詠唱研究や、召喚術式の開発とか色々あるだろ?お前は1年で全部理解できるか?」
わかりやすく神崎は説明する。
「…確かに、それは不可能だな。」
東雲は納得する。
「ああ、だから唯と東雲には使いたい術というか、イメージというか、方向性を教えてほしい。それに応じて、俺がそれに関する知識を伝えるから、それを利用して魔術に応用してほしいんだ」
神崎は自分の意図を説明する。
「そうね、それでいいと思うわ」
唯は納得する。
「ああ、それで構わない。」
東雲の同意する。
「2人はもうどういう魔術を使いたいとか決まっているのか?」
早速主題に入ろうと、神崎は聞いた。
「んー、」
悩む唯の隣で東雲は、
「俺は治療系の魔術がいい。こっちの魔術では外傷を治すのか手一杯だ。科学の分野ならそういう系の学問あるんだろ?」
東雲は理由を告げる。
「ああ、よくわかったな。確かにあるよ」
少し驚いたように答える。
「そりゃあ、人体の研究なんてのは普通どこにでもある学問だろうよ」
とただの勘だと東雲は答える。
「唯はどうする?」
悩んでいる唯に神崎は尋ねる。
 
「んー、関係ないんだけどさ、あの魔術結界ってどういう原理なのか、神崎は理解してるの?」
唯は突拍子もなくそう質問した。
「ああ、都市全体を覆ってる魔術結界か?男の魔術師の始祖が命をかけて発動させたってやつだろ?確かに俺も気になるな」
唯の質問に東雲も同意する。
 
「待て、男?東雲は何を言っている?魔術師の始祖は女ではないのか?」
神崎が何気ない東雲の言葉につっこむ。
「いや、男だけど?そうだったよな?」
東雲は唯に確認を取る。
 
「ええ、そうよ、そんなの当たり前じゃない、小さい子供でさえ知ってるわよ」
当然のごとく唯は言い放つ。
 
「嘘だろ、俺の世界では女性って習った」
神崎は自分のきた世界とこちらの世界のズレに動揺する。
「んー、まあ、そういうこともあるんじゃないの?」 
唯は何も気にすることなく、能天気に答えた。
「それより、魔術結界!仕組みわかってんの?」
唯はそれた話を元に戻す。
「ああ、そうだったな。残念ながら、全部は分からなかった。わかったのは、外部とのある種の繋がりを断つものであることだけだった。何を外部と遮っているのかは不明だから、残念ながら、あの結界を復元するのは少なくとも今の俺には不可能だな。」
神崎は未来での調査結果を伝える。
「そう、あれが再現できるならそれを習得したかったのに」
少し残念そうに唯はつぶやいた。
「なぜ?」東雲は聞く。
「もっと沢山の魔術都市が作れるし、この都市だって広げることができるじゃない。あとは万が一、核が破壊されて、魔術結界が失われても予備として、作れるでしょ?」
唯は考えを明らかにしていく。
「決めたわ、私防御魔法にする。攻撃よりは扱いやすいだろうし」
唯は何を学ぶか決める。
「いつでも、唯は変わらないんだな。未来でも唯はそう言っていたよ。」 
神崎は懐かしむように微笑んだ。
「まずは、東雲の治癒魔術からだな。」
本格的に解説しようと、東雲の方を向く。
「外傷の治癒なら、元の状態をイメージすれば大丈夫なはずだ。切断されたのを治すとなると、人の細胞のイメージが重要になる。細胞というのは人の体を構成している小さな単位の1つで、それが何十億個も集まることで組織となるんだ。だから切断面がくっつくように2つの間を細胞が埋めるようにイメージすればくっつくはずだよ。」
神崎は得た知識と具体的な運用方法を示しながら解説する。
「病気とかなら、その症状や発生源となっている原因などそれらに応じて変える必要があるから、千差万別だ。一つ一つ覚えていくしかない。」
「魔力の回復は俺にはわからない。そもそもに科学において魔力というのが存在していないからね。」
残念そうに神崎は言った。
「ああ、魔力の回復になら当てはある。前の魔力増強の術でなんとなくはわかった。」
東雲は少し得意げに言う。
「どうせ、教えてくれないのはわかってるから聞かないよ」
神崎は、東雲が大事なことは隠す癖があるのを知って、先回りする。
「ちぇ、聞いてきたらからかおうと思ってたのに」
あまり気にすることなくあっけらかんと東雲は言い放つ。
「次は、唯の防御魔術だな。」
神崎は東雲のことを放置して唯の方をくるりと向く。
「防御といっても、何を防ぎたいんだ?」
唯に尋ねる。
「んー、特に具体的にイメージをしていたわけじゃないけど、あんたと東雲が攻撃するなら私は守ろうかなー、ってぐらい」
結局何も考えていないと、唯は告げる。
「武器とか物質の攻撃なら、それ自体の運動の方向性を操れば良いし、魔術なら相対する属性の魔術をぶつけるとかか?」
神崎は考えたこともなかった防御という言葉に、必死に解決策を考える。
「運動の方向性?」
気になる言葉に唯は質問する。
「ああ、この世の物質の運動は、力の大きさと向きで決まるんだ。例えばパンチなら、自分で力の大きさを決めて相手の方向に出すだろ?」
「なるほどね、つまり、相手の攻撃の方向性を逆にしてやればこっちに向かってこないってことね」 唯は納得したように頷く。
「でも、一々、魔術と実体の攻撃を分けて防御するのはめんどくさいのよね、両方とも防ぐ方法ないわけ?」
神崎が考え出した策をスパっと切り捨て、もう一度尋ねる。
「んー、あるとしたら、壁の概念だけれど。何者の侵入を拒まない壁とか。イメージだけじゃ無理だろうけどね」
と一応のアイディアだけは示す。
「壁ね…」少し考えるように唯は手を顎に当てる。
「まあ、そんなところかな、2人ともあとは質問あるかい?」
一応神崎は確認する。
「いや、あとは自分で工夫してみるよ。」
「私も」
そう2人は返事した。
「あ、そうだ、2人に絶対覚えて欲しいのがあったんだ」
思い出して、神崎は口にする。
「異空間収納っていうんだけどさ。」
腰から小さな袋取り出して、手を突っ込む。明らかにその中に入らないはずの大きさの剣を取り出す。
「こんな感じのやつ」神崎は例を示す。
「え?どうやった?」
またしても、神崎の驚かされる魔術に2人はもはや慣れ始める。
「んー、簡単に言うと、俺たちがいるのは3次元空間でその空間をそのままずらせば、隙間が出来るよね?そこに入れるイメージだよ。」
「わかったような、わからないような…」
2人して首をかしげる。
「これに関しては、何回もイメージをするしかないね」
神崎はそう言った。
「これが使えれば、あらゆるものを持ち運びできるし、すごい便利なんだ、だから2人は絶対習得してもらう。」
決意したように言い放った。
「思ったんだけどさ、確かに魔術習うって決めたのはいいんだけどさ、これいつ使うの?」
ふと疑問に思い東雲は2人に尋ねた。
「確かにね、私も全然考えてなかった。東雲が習うんだし私も習おうってだけ」
唯も東雲と同じだったらしい。
 
「俺は、東雲を殺したあの青い機械人形を破壊するために、覚えたからなー、ぶっちゃけ俺もあんまり使い道ないんだよね」
神崎までもがそう言う。
「正直さ、1年後に来るであろう危機を防ぐ以外に使い道なくね?戦闘以外で今苦労してることないし。」
とうとう誰も言わないようにしていたことを東雲は口にする。
「待てよ!他にも役に立つことあるだろ!」
神崎は自分が学んだ知識が無駄だと言われて必死に弁明する。
 
「じゃあ例えば?」唯は聞く。
「それは…」思いつかず神崎は言い淀む。
「ほら、やっぱり無駄じゃん」
唯はただ神崎をバカにしたいらしく、揚げ足をとる。
「…あ、あった!ほら、結局魔術都市って一年後に機械人形に攻められるわけじゃん?1回撃退してもさ、何度も来るかもしれないじゃん?だったら、この争い俺たちで終わらせようぜ」
唯に言い負かされたくない神崎は必死に頭を捻り、そう考え出す。
「んー、まあ、それならやる意味あるか」
渋々ながらも東雲は納得する。
「いいと思うわよ」
神崎に上手く切り抜けられ、つまらない、ともいいだけな表情で唯も賛成した。
こうして、神崎の唯に対する意地のために、争いを終わらせることを決めたのだった。
「あれ?華さんは?」いつもならいるはずの席に華の姿がなく、東雲は唯に聞く。
「昨日言ったでしょ、華さん、私と同じく施設の職員として働いてもらうって。今日から働いてるわよ、ちゃんと覚えておきなさいよ」
唯は話を聞いていなかった東雲に文句を言う。
「ああ、そうだったな」
東雲は思い出したように返事する。
「華さん魔力がないんだって?」
昨日神崎からそう聞き、東雲は唯に尋ねる。
「そうみたい、だからって困ることがあるわけじゃないけれどね」
特に気にすることなく答える。
「まあな、滅多にいないけれどいるにはいるし、そういう人のための制度もあるわけだし問題はないだろうな、歳をとった時ぐらいか、困るなら」
東雲も唯に同意する。
「そういえば、華は神崎が未来から来たことを聞いたのか?」
東雲はふと思い出したようにそう言う。
「ええ、聞いたわ。最初は少し驚いたけど。」
あまり気にするような素振りを見せることなくそう唯は言った。
「華さんがいても困るだけだろうし、華さんがいない間に、魔術の話でもしようか」
2人の話を聞いて、神崎は提案した。
「ああ」 
東雲は言った。
「まず、予め言っておくと、2人に科学の全部の知識を教えることはできない。」
神崎はまずそう言った。
「なんでだよ⁈教えてくれるんじゃなかったのか?」
神崎の言葉に東雲は動揺して質問する。
「落ち着けって。俺だって全部教えたいさ。でも、あまりにも情報が多すぎるんだ。全てを教えるには1年どころか10年あっても足りないんだよ。」
神崎は弁明する。
「そんなに沢山あるのか?」
東雲は、尋ねる。
「ああ、科学って言っても様々な学問があるんだ。魔術だって、詠唱研究や、召喚術式の開発とか色々あるだろ?お前は1年で全部理解できるか?」
わかりやすく神崎は説明する。
「…確かに、それは不可能だな。」
東雲は納得する。
「ああ、だから唯と東雲には使いたい術というか、イメージというか、方向性を教えてほしい。それに応じて、俺がそれに関する知識を伝えるから、それを利用して魔術に応用してほしいんだ」
神崎は自分の意図を説明する。
「そうね、それでいいと思うわ」
唯は納得する。
「ああ、それで構わない。」
東雲の同意する。
「2人はもうどういう魔術を使いたいとか決まっているのか?」
早速主題に入ろうと、神崎は聞いた。
「んー、」
悩む唯の隣で東雲は、
「俺は治療系の魔術がいい。こっちの魔術では外傷を治すのか手一杯だ。科学の分野ならそういう系の学問あるんだろ?」
東雲は理由を告げる。
「ああ、よくわかったな。確かにあるよ」
少し驚いたように答える。
「そりゃあ、人体の研究なんてのは普通どこにでもある学問だろうよ」
とただの勘だと東雲は答える。
「唯はどうする?」
悩んでいる唯に神崎は尋ねる。
 
「んー、関係ないんだけどさ、あの魔術結界ってどういう原理なのか、神崎は理解してるの?」
唯は突拍子もなくそう質問した。
「ああ、都市全体を覆ってる魔術結界か?男の魔術師の始祖が命をかけて発動させたってやつだろ?確かに俺も気になるな」
唯の質問に東雲も同意する。
 
「待て、男?東雲は何を言っている?魔術師の始祖は女ではないのか?」
神崎が何気ない東雲の言葉につっこむ。
「いや、男だけど?そうだったよな?」
東雲は唯に確認を取る。
 
「ええ、そうよ、そんなの当たり前じゃない、小さい子供でさえ知ってるわよ」
当然のごとく唯は言い放つ。
 
「嘘だろ、俺の世界では女性って習った」
神崎は自分のきた世界とこちらの世界のズレに動揺する。
「んー、まあ、そういうこともあるんじゃないの?」 
唯は何も気にすることなく、能天気に答えた。
「それより、魔術結界!仕組みわかってんの?」
唯はそれた話を元に戻す。
「ああ、そうだったな。残念ながら、全部は分からなかった。わかったのは、外部とのある種の繋がりを断つものであることだけだった。何を外部と遮っているのかは不明だから、残念ながら、あの結界を復元するのは少なくとも今の俺には不可能だな。」
神崎は未来での調査結果を伝える。
「そう、あれが再現できるならそれを習得したかったのに」
少し残念そうに唯はつぶやいた。
「なぜ?」東雲は聞く。
「もっと沢山の魔術都市が作れるし、この都市だって広げることができるじゃない。あとは万が一、核が破壊されて、魔術結界が失われても予備として、作れるでしょ?」
唯は考えを明らかにしていく。
「決めたわ、私防御魔法にする。攻撃よりは扱いやすいだろうし」
唯は何を学ぶか決める。
「いつでも、唯は変わらないんだな。未来でも唯はそう言っていたよ。」 
神崎は懐かしむように微笑んだ。
「まずは、東雲の治癒魔術からだな。」
本格的に解説しようと、東雲の方を向く。
「外傷の治癒なら、元の状態をイメージすれば大丈夫なはずだ。切断されたのを治すとなると、人の細胞のイメージが重要になる。細胞というのは人の体を構成している小さな単位の1つで、それが何十億個も集まることで組織となるんだ。だから切断面がくっつくように2つの間を細胞が埋めるようにイメージすればくっつくはずだよ。」
神崎は得た知識と具体的な運用方法を示しながら解説する。
「病気とかなら、その症状や発生源となっている原因などそれらに応じて変える必要があるから、千差万別だ。一つ一つ覚えていくしかない。」
「魔力の回復は俺にはわからない。そもそもに科学において魔力というのが存在していないからね。」
残念そうに神崎は言った。
「ああ、魔力の回復になら当てはある。前の魔力増強の術でなんとなくはわかった。」
東雲は少し得意げに言う。
「どうせ、教えてくれないのはわかってるから聞かないよ」
神崎は、東雲が大事なことは隠す癖があるのを知って、先回りする。
「ちぇ、聞いてきたらからかおうと思ってたのに」
あまり気にすることなくあっけらかんと東雲は言い放つ。
「次は、唯の防御魔術だな。」
神崎は東雲のことを放置して唯の方をくるりと向く。
「防御といっても、何を防ぎたいんだ?」
唯に尋ねる。
「んー、特に具体的にイメージをしていたわけじゃないけど、あんたと東雲が攻撃するなら私は守ろうかなー、ってぐらい」
結局何も考えていないと、唯は告げる。
「武器とか物質の攻撃なら、それ自体の運動の方向性を操れば良いし、魔術なら相対する属性の魔術をぶつけるとかか?」
神崎は考えたこともなかった防御という言葉に、必死に解決策を考える。
「運動の方向性?」
気になる言葉に唯は質問する。
「ああ、この世の物質の運動は、力の大きさと向きで決まるんだ。例えばパンチなら、自分で力の大きさを決めて相手の方向に出すだろ?」
「なるほどね、つまり、相手の攻撃の方向性を逆にしてやればこっちに向かってこないってことね」 唯は納得したように頷く。
「でも、一々、魔術と実体の攻撃を分けて防御するのはめんどくさいのよね、両方とも防ぐ方法ないわけ?」
神崎が考え出した策をスパっと切り捨て、もう一度尋ねる。
「んー、あるとしたら、壁の概念だけれど。何者の侵入を拒まない壁とか。イメージだけじゃ無理だろうけどね」
と一応のアイディアだけは示す。
「壁ね…」少し考えるように唯は手を顎に当てる。
「まあ、そんなところかな、2人ともあとは質問あるかい?」
一応神崎は確認する。
「いや、あとは自分で工夫してみるよ。」
「私も」
そう2人は返事した。
「あ、そうだ、2人に絶対覚えて欲しいのがあったんだ」
思い出して、神崎は口にする。
「異空間収納っていうんだけどさ。」
腰から小さな袋取り出して、手を突っ込む。明らかにその中に入らないはずの大きさの剣を取り出す。
「こんな感じのやつ」神崎は例を示す。
「え?どうやった?」
またしても、神崎の驚かされる魔術に2人はもはや慣れ始める。
「んー、簡単に言うと、俺たちがいるのは3次元空間でその空間をそのままずらせば、隙間が出来るよね?そこに入れるイメージだよ。」
「わかったような、わからないような…」
2人して首をかしげる。
「これに関しては、何回もイメージをするしかないね」
神崎はそう言った。
「これが使えれば、あらゆるものを持ち運びできるし、すごい便利なんだ、だから2人は絶対習得してもらう。」
決意したように言い放った。
「思ったんだけどさ、確かに魔術習うって決めたのはいいんだけどさ、これいつ使うの?」
ふと疑問に思い東雲は2人に尋ねた。
「確かにね、私も全然考えてなかった。東雲が習うんだし私も習おうってだけ」
唯も東雲と同じだったらしい。
 
「俺は、東雲を殺したあの青い機械人形を破壊するために、覚えたからなー、ぶっちゃけ俺もあんまり使い道ないんだよね」
神崎までもがそう言う。
「正直さ、1年後に来るであろう危機を防ぐ以外に使い道なくね?戦闘以外で今苦労してることないし。」
とうとう誰も言わないようにしていたことを東雲は口にする。
「待てよ!他にも役に立つことあるだろ!」
神崎は自分が学んだ知識が無駄だと言われて必死に弁明する。
 
「じゃあ例えば?」唯は聞く。
「それは…」思いつかず神崎は言い淀む。
「ほら、やっぱり無駄じゃん」
唯はただ神崎をバカにしたいらしく、揚げ足をとる。
「…あ、あった!ほら、結局魔術都市って一年後に機械人形に攻められるわけじゃん?1回撃退してもさ、何度も来るかもしれないじゃん?だったら、この争い俺たちで終わらせようぜ」
唯に言い負かされたくない神崎は必死に頭を捻り、そう考え出す。
「んー、まあ、それならやる意味あるか」
渋々ながらも東雲は納得する。
「いいと思うわよ」
神崎に上手く切り抜けられ、つまらない、ともいいだけな表情で唯も賛成した。
こうして、神崎の唯に対する意地のために、争いを終わらせることを決めたのだった。
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