追放されたので魔術開発して平和に暮らす
現れた神崎は力を示す
「何でお前が生きている ︎」
八幡は神崎が生きていることに戸惑う。
「ほんと、何で東雲はこんな奴のことを助けたんだろうな。救われたことに感謝しないとか最悪だろ。もう黙ってろよ」
現れた神崎は、八幡の言葉を無視し、イライラした口調で言った。
「お前!俺に対してどんな口聞いてるんだ!この雑魚が!」
青い機械人形など御構い無しに八幡は騒ぎ立てる。
「あ、そう。じゃあ、俺は雑魚だからその青い人形をよろしくな」
八幡の背後を指差しながらそれだけを言い残す。
「うわぁー!!」
八幡が叫ぶのが背後から聞こえてくるがすぐにパタリと止んだ。
神崎は倒れている東雲の方へ歩いて行く。
そして、倒れている東雲に近づき、左胸を触る。
バチッ、と青い光が神崎の手から発生し、現在にはない電気ショックの概念で、東雲の心臓を動かす。
ビクンッと痙攣した後、東雲は意識を取り戻す。
東雲は死んだはずの神崎を目にして、驚愕する。
「待て、お前は誰だ ︎神崎はさっきあの人形たちに殺されたはずじゃ…」
死んだはずの神崎が無傷のまま目の前に現れ、東雲は驚き戸惑う。
「あとで説明するよ、今は、あいつを倒さなきゃいけないから。」
そう言って、神崎は青い機械人形の方に余裕そうな足取りで歩き出す。
「やめろ!あいつは四年前、南部部隊を壊滅させた奴たぞ!お前、1人ではどうにもならない無謀なのとはするな!」
東雲は戦いに向かおうとする神崎を止めようと声を荒らげる。
「悪いけどそうはいかない、東雲の仇を討たなきゃならないんだ。東雲、やっぱりあったよ、俺たちみたいな魔力ランクがDでも使える魔術が。東雲、俺が真の魔術を見せてやるよ」
そう言って余裕な雰囲気のまま人形の魔術師に近づいていく。
「何度会っても気持ちの悪い禁忌の機械人形だな。お前は最悪の機械人形だよ、出してはならない領域に手を出しやがって」
怒りというよりも嫌悪を表して、神崎は無詠唱で青い機械人形を20メートル以上吹き飛ばす。砂煙が舞う。
「なあ、知っているか?」
神崎は東雲に問いかけるように言う。
「どうして、人形の魔術師は他の機械人形には使えない魔術が使えると思う?機械人形が魔術が使えないのは魔力がないからだ。それなのに使える理由は?」
神崎は、もうわかるだろ?、と訴えるように東雲に言う。
そこまで言われて、東雲は1つの可能性に行き着く。
「……!!まさか!人間の心臓を使っているのか ︎」
東雲はありえないと否定したいと思いながら神崎に問う。
「ああ、そうだ。魔力は人間の心臓から生まれるものだ。それをこいつは、機械人形達は道具として人間を利用したんだ!俺は青い機械人形が魔術が使える理由を知って怒りに震えたよ。本当に何度見ても吐き気がする。」
怒り、憤りといった負の感情のを乗せて呟く。
反撃しようと青い機械人形立ち上がり、魔術を唱え神崎に放つ。
「重力咆哮」
それは東雲が使った魔力増強と同じく最上級魔術の1つであり、小規模な異空間生成が発生する可能性から禁術とされたものであった。
「馬鹿か、お前の魔術が俺に効くわけがないだろ」
そう告げると、まさに発動した重力咆哮が神崎の前で止まり、消滅する。
そして、そんなことに気にも留めず、ゆっくりと青い機械人形の方へと神崎は歩いていく。
「なあ東雲、魔術の授業を始めようか?」
青い機械人形など気にすることなく、能天気なことを神崎は言い始める。
「そもそも魔術はいつから始まった?」
答え合わせをするように神崎は東雲に聞く。
「何千年も前は、魔力をそのまま体内に巡らせることで実質的な身体強化、反応感知の魔術を行なっていたはずだ。」
東雲はもう今の状況に頭の整理がつかず、ただ神崎の質問に答えることに集中した。
「ああ、それで?」
神崎はさらに答えを促す。
「その後黒いローブを着た魔術師の始祖が現れ、魔力を魔術として運用出来るようにしたんだろ?それが、今俺たちが行なっている魔術のはずだ」
東雲は過去に習った歴史を思い出すように言う。
「その具体的な魔術の運用方法はどうする?」
神崎はさらに東雲を誘導する。
「魔力を用いて頭の中のイメージをそのまま発現させることが魔術だ。そしてそのイメージを容易にするためのものが詠唱だ」
東雲は当たり前のことをどうして聞いているんだ?と思いながら答える。
「そうその通り。魔術とはイメージを具体化させることである。しかし1人のイメージで具体化出来るのはごく限られたものしかない。例えば1人が月が落ちてくるとイメージしてもそれは起こりえないだろ?」
「ああ、たしかに。」
「どうして1人のイメージだけでは起こりえないのかと言うと結果をイメージしているからだ。万人が月は落ちないと想像している限り、1人のイメージは打ち消されてしまうんだ。」
「でも過程をイメージすれば?小さな変化をイメージした結果として大きなことが起こることはありえるだろ?あくまで魔術がもたらしたのは小さな変化だから結果として大きな現象が起こすことは可能になるんだ」
神崎はまるで新しい、そう過去にない魔術の本質を東雲に伝える。
「例えば、こんな風にな」
そう言って神崎は消える。いや、青い機械人形の背後に現れる。そう一瞬で移動したように。
「あるいはこんな風に」
青い機械人形が神崎の動きに反応する間も無くその腕に軽く触れる。その直後軽く触れたはずなのにドンッも音がし、機械人形の腕は5メートルほど吹き飛ぶ。
人形が神崎の攻撃に気づいて反撃しようともう片方の腕で振り向きざまに殴ろうとする。
しかし、その腕に神崎が人差し指で触れると機械人形の動きは完全に止まる。いや、わずかに青い機械人形は動こうとしているのはわかるが、動けなくなっている。
「これが、本当の魔術だ」
それは、一種の神々しさを伴って微笑みを浮かべ、神崎は東雲の方を向いて笑った。
そして興味を失ったように
「事象改変」
そう唱える。
すると、青い機械人形にヒビが入り、それがピキピキと身体中に広がる。そして、体の重さに耐えきれなくなったように崩れ落ちた。
「本当に反吐が出そうになる」
粉々になった残骸を見ながら神崎は呟いた。
東雲は始まりから終わりまで黙って見ていた。いや声を出す間も無く終わったというべきか。自分の知る神崎とのあまりの違いに戸惑いを隠せなかった。
「もう一度聞く。お前は何者だ?」
東雲は神崎の真意を確かめるように目を見つめて問う。
「だから、ちゃんと後で説明するって言ったじゃん。とりあえず、そこの気を失ってる女性を連れて戻ろうぜ」
そう言って笑う神崎は東雲の知る神崎の笑顔であった。
「ああ、戻るか」
東雲もその神崎の様子を見て、とりあえず帰ることを決めた。
東雲と神崎は女性を抱えたまま、帰路を辿る。ジャリ、ジャリ、と2人が歩く音だけが聞こえ続ける。
「お前が突然現れたことは黙っておく。」
東雲は意を決したように口を開き、沈黙を破る。
「俺もそうしてもらえると助かる」
「そういえばこの女性が誰だか知っているのか?」
東雲はふと謎の神崎ならあり得ると思い問う。
「いや、この人は知らない。見たこともない。」
神崎は東雲の予想を裏切りそう答えた。
もう夕方で薄暗い街中を神崎と東雲は歩く。帰る途中、ふと東雲は朝の記憶を思い出す。
「それにしても、今日が何の日かわかってるのか?」神崎は東雲に聞く。
「5月7日、唯の誕生日だろ?これで忘れてたら、あいつ絶対不機嫌になるし、流石に覚えてるよ」
東雲、唯に酷い目にあわされた過去の記憶を思い出し、そう言った。
「なら、いいけどさ」
神崎はそれ以上は何も言わなかった。
はぁ、と小さく神崎はため息をつく。
「どうした?」
神崎の様子に東雲は気付く。
「いや、もう少し家が新しければなーって思ってさ。」
神崎は不満そうに言う。
「そんなこと言うなって、あの家もうずっと昔からあるらしいぞ。なんでも前に住んでいたのがかなりの腕の魔術師だったらしくて、魔術で丈夫に強化されてるらしいし」
と東雲は噂話を神崎に教えた。
今朝の記憶を思い出した東雲は、花をプレゼントしようと思い神崎に女性を託し、買いに行く。
花を買い終えて家に着き、東雲は玄関を開ける。
扉を開けると玄関に唯がいたので、
「誕生日おめでとう」
そう言って東雲は花を渡す。
「…え、ありがとう」
予想外だったようで驚いたように目を大きくさせ、そのあと少し頰を赤くして俯いた。
「照れてんの?」少しからかうように東雲は笑う。
「照れてるわけないでしょ。早く行くわよ」
唯は誤魔化すように早口で言い、スタスタとリビングへ歩いて行った。
3人はリビングに行き、テーブルに着く。
「それで?あの女性はどうなってる?」
東雲は状況を確認しようと、唯に聞く。
唯は神崎から事の顛末を把握したのだろう、納得したような表情をして、
「彼女なら二階の空いてる部屋よ、目を覚ますとしても明日じゃないかしら?」
「ほんと神崎が家に女性を抱えて入って来たときは、誘拐して来たのかと思ったわよ」
と唯は神崎をからかう。
「人が一大事だって時に、驚きながら『誘拐?』って聞いてきたのは本気で殴りたくなったよ、あれで唯に俺がどう思われているかわかった気がしたね」
と神崎も応酬する。
「だってあの神崎よ?ありえそうじゃない?」
と唯は笑いながら言い続ける。
「いや、どの神崎だよ!」
神崎はたまらず突っ込む。
「はいはい、とりあえず明日、目を覚ましてたら聞き取りに来るらしいからその予定でよろしく。あ、あと俺と神崎は自宅謹慎1週間になった」
といつもの2人の会話を遮り、東雲は少し嬉しそうに軽く報告した。
しばらくの間楽しく3人は話し合い時間が過ぎて行く。
「じゃあ、そろそろ私は寝るけれど2人はどうするの?」
唯は眠そうにしながら2人に聞く。
「ああ、俺と神崎は話があるから。」
と東雲は真剣な声で答える。その雰囲気で何かを理解したのか、唯は話の内容を聞こうとせず、「おやすみ」と言って二階へ上がっていった。
「じゃあ、神崎、君は何者なのか、今度こそ教えてくれるんだろ?」
そう東雲は神崎に問いかけた。
夜はまだ長く明けそうにない。
八幡は神崎が生きていることに戸惑う。
「ほんと、何で東雲はこんな奴のことを助けたんだろうな。救われたことに感謝しないとか最悪だろ。もう黙ってろよ」
現れた神崎は、八幡の言葉を無視し、イライラした口調で言った。
「お前!俺に対してどんな口聞いてるんだ!この雑魚が!」
青い機械人形など御構い無しに八幡は騒ぎ立てる。
「あ、そう。じゃあ、俺は雑魚だからその青い人形をよろしくな」
八幡の背後を指差しながらそれだけを言い残す。
「うわぁー!!」
八幡が叫ぶのが背後から聞こえてくるがすぐにパタリと止んだ。
神崎は倒れている東雲の方へ歩いて行く。
そして、倒れている東雲に近づき、左胸を触る。
バチッ、と青い光が神崎の手から発生し、現在にはない電気ショックの概念で、東雲の心臓を動かす。
ビクンッと痙攣した後、東雲は意識を取り戻す。
東雲は死んだはずの神崎を目にして、驚愕する。
「待て、お前は誰だ ︎神崎はさっきあの人形たちに殺されたはずじゃ…」
死んだはずの神崎が無傷のまま目の前に現れ、東雲は驚き戸惑う。
「あとで説明するよ、今は、あいつを倒さなきゃいけないから。」
そう言って、神崎は青い機械人形の方に余裕そうな足取りで歩き出す。
「やめろ!あいつは四年前、南部部隊を壊滅させた奴たぞ!お前、1人ではどうにもならない無謀なのとはするな!」
東雲は戦いに向かおうとする神崎を止めようと声を荒らげる。
「悪いけどそうはいかない、東雲の仇を討たなきゃならないんだ。東雲、やっぱりあったよ、俺たちみたいな魔力ランクがDでも使える魔術が。東雲、俺が真の魔術を見せてやるよ」
そう言って余裕な雰囲気のまま人形の魔術師に近づいていく。
「何度会っても気持ちの悪い禁忌の機械人形だな。お前は最悪の機械人形だよ、出してはならない領域に手を出しやがって」
怒りというよりも嫌悪を表して、神崎は無詠唱で青い機械人形を20メートル以上吹き飛ばす。砂煙が舞う。
「なあ、知っているか?」
神崎は東雲に問いかけるように言う。
「どうして、人形の魔術師は他の機械人形には使えない魔術が使えると思う?機械人形が魔術が使えないのは魔力がないからだ。それなのに使える理由は?」
神崎は、もうわかるだろ?、と訴えるように東雲に言う。
そこまで言われて、東雲は1つの可能性に行き着く。
「……!!まさか!人間の心臓を使っているのか ︎」
東雲はありえないと否定したいと思いながら神崎に問う。
「ああ、そうだ。魔力は人間の心臓から生まれるものだ。それをこいつは、機械人形達は道具として人間を利用したんだ!俺は青い機械人形が魔術が使える理由を知って怒りに震えたよ。本当に何度見ても吐き気がする。」
怒り、憤りといった負の感情のを乗せて呟く。
反撃しようと青い機械人形立ち上がり、魔術を唱え神崎に放つ。
「重力咆哮」
それは東雲が使った魔力増強と同じく最上級魔術の1つであり、小規模な異空間生成が発生する可能性から禁術とされたものであった。
「馬鹿か、お前の魔術が俺に効くわけがないだろ」
そう告げると、まさに発動した重力咆哮が神崎の前で止まり、消滅する。
そして、そんなことに気にも留めず、ゆっくりと青い機械人形の方へと神崎は歩いていく。
「なあ東雲、魔術の授業を始めようか?」
青い機械人形など気にすることなく、能天気なことを神崎は言い始める。
「そもそも魔術はいつから始まった?」
答え合わせをするように神崎は東雲に聞く。
「何千年も前は、魔力をそのまま体内に巡らせることで実質的な身体強化、反応感知の魔術を行なっていたはずだ。」
東雲はもう今の状況に頭の整理がつかず、ただ神崎の質問に答えることに集中した。
「ああ、それで?」
神崎はさらに答えを促す。
「その後黒いローブを着た魔術師の始祖が現れ、魔力を魔術として運用出来るようにしたんだろ?それが、今俺たちが行なっている魔術のはずだ」
東雲は過去に習った歴史を思い出すように言う。
「その具体的な魔術の運用方法はどうする?」
神崎はさらに東雲を誘導する。
「魔力を用いて頭の中のイメージをそのまま発現させることが魔術だ。そしてそのイメージを容易にするためのものが詠唱だ」
東雲は当たり前のことをどうして聞いているんだ?と思いながら答える。
「そうその通り。魔術とはイメージを具体化させることである。しかし1人のイメージで具体化出来るのはごく限られたものしかない。例えば1人が月が落ちてくるとイメージしてもそれは起こりえないだろ?」
「ああ、たしかに。」
「どうして1人のイメージだけでは起こりえないのかと言うと結果をイメージしているからだ。万人が月は落ちないと想像している限り、1人のイメージは打ち消されてしまうんだ。」
「でも過程をイメージすれば?小さな変化をイメージした結果として大きなことが起こることはありえるだろ?あくまで魔術がもたらしたのは小さな変化だから結果として大きな現象が起こすことは可能になるんだ」
神崎はまるで新しい、そう過去にない魔術の本質を東雲に伝える。
「例えば、こんな風にな」
そう言って神崎は消える。いや、青い機械人形の背後に現れる。そう一瞬で移動したように。
「あるいはこんな風に」
青い機械人形が神崎の動きに反応する間も無くその腕に軽く触れる。その直後軽く触れたはずなのにドンッも音がし、機械人形の腕は5メートルほど吹き飛ぶ。
人形が神崎の攻撃に気づいて反撃しようともう片方の腕で振り向きざまに殴ろうとする。
しかし、その腕に神崎が人差し指で触れると機械人形の動きは完全に止まる。いや、わずかに青い機械人形は動こうとしているのはわかるが、動けなくなっている。
「これが、本当の魔術だ」
それは、一種の神々しさを伴って微笑みを浮かべ、神崎は東雲の方を向いて笑った。
そして興味を失ったように
「事象改変」
そう唱える。
すると、青い機械人形にヒビが入り、それがピキピキと身体中に広がる。そして、体の重さに耐えきれなくなったように崩れ落ちた。
「本当に反吐が出そうになる」
粉々になった残骸を見ながら神崎は呟いた。
東雲は始まりから終わりまで黙って見ていた。いや声を出す間も無く終わったというべきか。自分の知る神崎とのあまりの違いに戸惑いを隠せなかった。
「もう一度聞く。お前は何者だ?」
東雲は神崎の真意を確かめるように目を見つめて問う。
「だから、ちゃんと後で説明するって言ったじゃん。とりあえず、そこの気を失ってる女性を連れて戻ろうぜ」
そう言って笑う神崎は東雲の知る神崎の笑顔であった。
「ああ、戻るか」
東雲もその神崎の様子を見て、とりあえず帰ることを決めた。
東雲と神崎は女性を抱えたまま、帰路を辿る。ジャリ、ジャリ、と2人が歩く音だけが聞こえ続ける。
「お前が突然現れたことは黙っておく。」
東雲は意を決したように口を開き、沈黙を破る。
「俺もそうしてもらえると助かる」
「そういえばこの女性が誰だか知っているのか?」
東雲はふと謎の神崎ならあり得ると思い問う。
「いや、この人は知らない。見たこともない。」
神崎は東雲の予想を裏切りそう答えた。
もう夕方で薄暗い街中を神崎と東雲は歩く。帰る途中、ふと東雲は朝の記憶を思い出す。
「それにしても、今日が何の日かわかってるのか?」神崎は東雲に聞く。
「5月7日、唯の誕生日だろ?これで忘れてたら、あいつ絶対不機嫌になるし、流石に覚えてるよ」
東雲、唯に酷い目にあわされた過去の記憶を思い出し、そう言った。
「なら、いいけどさ」
神崎はそれ以上は何も言わなかった。
はぁ、と小さく神崎はため息をつく。
「どうした?」
神崎の様子に東雲は気付く。
「いや、もう少し家が新しければなーって思ってさ。」
神崎は不満そうに言う。
「そんなこと言うなって、あの家もうずっと昔からあるらしいぞ。なんでも前に住んでいたのがかなりの腕の魔術師だったらしくて、魔術で丈夫に強化されてるらしいし」
と東雲は噂話を神崎に教えた。
今朝の記憶を思い出した東雲は、花をプレゼントしようと思い神崎に女性を託し、買いに行く。
花を買い終えて家に着き、東雲は玄関を開ける。
扉を開けると玄関に唯がいたので、
「誕生日おめでとう」
そう言って東雲は花を渡す。
「…え、ありがとう」
予想外だったようで驚いたように目を大きくさせ、そのあと少し頰を赤くして俯いた。
「照れてんの?」少しからかうように東雲は笑う。
「照れてるわけないでしょ。早く行くわよ」
唯は誤魔化すように早口で言い、スタスタとリビングへ歩いて行った。
3人はリビングに行き、テーブルに着く。
「それで?あの女性はどうなってる?」
東雲は状況を確認しようと、唯に聞く。
唯は神崎から事の顛末を把握したのだろう、納得したような表情をして、
「彼女なら二階の空いてる部屋よ、目を覚ますとしても明日じゃないかしら?」
「ほんと神崎が家に女性を抱えて入って来たときは、誘拐して来たのかと思ったわよ」
と唯は神崎をからかう。
「人が一大事だって時に、驚きながら『誘拐?』って聞いてきたのは本気で殴りたくなったよ、あれで唯に俺がどう思われているかわかった気がしたね」
と神崎も応酬する。
「だってあの神崎よ?ありえそうじゃない?」
と唯は笑いながら言い続ける。
「いや、どの神崎だよ!」
神崎はたまらず突っ込む。
「はいはい、とりあえず明日、目を覚ましてたら聞き取りに来るらしいからその予定でよろしく。あ、あと俺と神崎は自宅謹慎1週間になった」
といつもの2人の会話を遮り、東雲は少し嬉しそうに軽く報告した。
しばらくの間楽しく3人は話し合い時間が過ぎて行く。
「じゃあ、そろそろ私は寝るけれど2人はどうするの?」
唯は眠そうにしながら2人に聞く。
「ああ、俺と神崎は話があるから。」
と東雲は真剣な声で答える。その雰囲気で何かを理解したのか、唯は話の内容を聞こうとせず、「おやすみ」と言って二階へ上がっていった。
「じゃあ、神崎、君は何者なのか、今度こそ教えてくれるんだろ?」
そう東雲は神崎に問いかけた。
夜はまだ長く明けそうにない。
「ファンタジー」の人気作品
書籍化作品
-
-
141
-
-
4503
-
-
4405
-
-
314
-
-
89
-
-
3087
-
-
841
-
-
104
-
-
22803
コメント