契約の森 精霊の瞳を持つ者
10
「行方不明って、どうして?」
イズナは不思議そうにコダに聞いた。タカオもイズナの言葉に頷いて、コダを見る。コダは再び何かを探し始めた。
「さあ、俺が着いた時には、すでにサラは消えてた。アレルが何か知っている様子だったな。はぐらかされたけど」
「あのアレルさんが?」
タカオはあのおせっかいなアレルを思い出していた。思い出せるのは、あの甲高い声と、謎の言動ばかりだ。
コダはついに探し物を見つけたようだ。胸ポケットから、なにやら色々なものを出す。そのひとつは、古い紙に包まれていた。
「サラの卵の殻を拾っておいたんだ」
コダはそう言って、みんなに見えるようにする。タカオとイズナ、グリフは、差し出された手の上にあるそれを見下ろす。古い紙の上には、コダの言うとおり、卵の殻があった。真っ白な殻は分厚く頑丈そうだ。サラマンダーは本当に卵から孵ったのだと、タカオはやっと実感した。
コダはその卵の殻を、ひとつ取りひっくり返して卵の表面を見せた。かがり火だけの灯りでは見えにくいけれど、卵の表面には、何か黒っぽいものがついていた。そして、そこから、まるで細い血管のようなものが無数に広がっている。
「すべての殻を見たわけじゃないが、卵の表面は全部こういう状態だろう。あの時は、よくわからなかったが、もしかしたら」
そう言って、コダはタカオを見る。グリフはコダの言いたいことが分かったのか、タカオの腕を急に掴んだ。タカオは強く掴まれたせいで痛そうに顔をしかめた。
「オーガと戦っているとき、タカオの血で剣が錆びついたようになったのを覚えてるか?」
タカオのことは気にもせず、グリフがそう言うと、コダは力強く返事をする。
「ああ、俺も同じことを思ってた。もしかしたらタカオの血がついたことで、卵が孵ったんじゃないかって」
タカオはグリフに掴まれている腕が痛くて、話どころではなかった。そっとグリフの手をどけることで精一杯だ。
やっとグリフの手から解放されたと思ったが、逃げることができず、再びグリフに腕を掴まれた。今度は先ほど以上に手に力が入っている。
「それで、お前は知ってたのか?自分の血で、サラが卵から孵るってことを」
嘘をつけば見抜こうとしているように、グリフはタカオの腕を掴んだまま、じっと見つめた。
イズナは不思議そうにコダに聞いた。タカオもイズナの言葉に頷いて、コダを見る。コダは再び何かを探し始めた。
「さあ、俺が着いた時には、すでにサラは消えてた。アレルが何か知っている様子だったな。はぐらかされたけど」
「あのアレルさんが?」
タカオはあのおせっかいなアレルを思い出していた。思い出せるのは、あの甲高い声と、謎の言動ばかりだ。
コダはついに探し物を見つけたようだ。胸ポケットから、なにやら色々なものを出す。そのひとつは、古い紙に包まれていた。
「サラの卵の殻を拾っておいたんだ」
コダはそう言って、みんなに見えるようにする。タカオとイズナ、グリフは、差し出された手の上にあるそれを見下ろす。古い紙の上には、コダの言うとおり、卵の殻があった。真っ白な殻は分厚く頑丈そうだ。サラマンダーは本当に卵から孵ったのだと、タカオはやっと実感した。
コダはその卵の殻を、ひとつ取りひっくり返して卵の表面を見せた。かがり火だけの灯りでは見えにくいけれど、卵の表面には、何か黒っぽいものがついていた。そして、そこから、まるで細い血管のようなものが無数に広がっている。
「すべての殻を見たわけじゃないが、卵の表面は全部こういう状態だろう。あの時は、よくわからなかったが、もしかしたら」
そう言って、コダはタカオを見る。グリフはコダの言いたいことが分かったのか、タカオの腕を急に掴んだ。タカオは強く掴まれたせいで痛そうに顔をしかめた。
「オーガと戦っているとき、タカオの血で剣が錆びついたようになったのを覚えてるか?」
タカオのことは気にもせず、グリフがそう言うと、コダは力強く返事をする。
「ああ、俺も同じことを思ってた。もしかしたらタカオの血がついたことで、卵が孵ったんじゃないかって」
タカオはグリフに掴まれている腕が痛くて、話どころではなかった。そっとグリフの手をどけることで精一杯だ。
やっとグリフの手から解放されたと思ったが、逃げることができず、再びグリフに腕を掴まれた。今度は先ほど以上に手に力が入っている。
「それで、お前は知ってたのか?自分の血で、サラが卵から孵るってことを」
嘘をつけば見抜こうとしているように、グリフはタカオの腕を掴んだまま、じっと見つめた。
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