契約の森 精霊の瞳を持つ者
13.
「うっそ!全然美味しくないよ!なんでだろう?!……こっちの腐ってんのかなぁ」
ジェフは不思議そうに自分の果実と他の果実を見比べた。タカオの果実はもう跡形もないので、イズナとグリフの間を行ったり来たりしていた。
「見た目は一緒なのに」
不味い果実はどれも一緒だったけれど、ジェフは匂いを嗅いだり指で押してみたりして検証していた。
「人間だから……味覚が違うのかも」
イズナのその発言に何故があっさりとジェフは納得した。
「なるほど!タカオは人間なんだもんね!人間て、なんでも食べれるんだね」
そう言うと後は諦めて最後まで果実を食べた。グリフはそれについて何も言わなかった。タカオは微かにショックを受けていた。
タカオは気分を変えるように立ち上がると本来の目的を思い出した。
――ウェンディーネを探さなきゃ。
そして、無表情で桃を食べるグリフに話しかける。
「グリフ、この水筋はウェンディーネに続いていると思う」
桃を食べながら、グリフはすでに水筋の先を見つめていた。
「ああ、行ってみよう」
そう言って先に歩き出した。ジェフとイズナは急いで口の中に果実を放り込み、慌てて荷物を背負った。
「ね!ね!なんか変わった?僕の背伸びた?」
ジェフは目をキラキラとさせ、飛び跳ねながら全員に聞いて回った。
「身長か?変わりないと思うけど」
タカオはつい、正直に答えてしまった。ジェフは残念そうに肩を落とした。
「やっぱり、あれは偽物だったんだ……だから不味かったんだ」
ジェフの期待はあまりにも大きかったようで、その分ショックも大きかった。ジェフはふてくされた顔で、走って先に行ってしまった。今ではグリフもイズナも追い越し、一人で小さな大股で歩いている。
タカオは追いかけようとジェフの名を呼んだけれど、振り返る事はなかった。
「放っておけ」
グリフは冷たく言うと、それでも追いかけようとするタカオを腕で止めた。
「聞きたいことがある」
グリフはタカオに鋭い視線を放った。
ジェフはタカオ達と一定の間隔をあけて歩いている。ジェフ自身は大きな荷物に隠れていたけれど、小さな足がしっかりと地面を捉え水の道筋を追っていた。見える所にいればまだ大丈夫だろうとタカオは思った。
「聞きたい事って?」
タカオがそう言うと、グリフは腕を離した。
「ウェンディーネの名をどこで聞いたんだ?俺は"水の精霊"としか言ってない」
グリフは歩きながらそう言い、岩でできた階段を軽く降りて行く。階段といってもそれは苔だらけで、段差はタカオの身長と同じくらいのものが3段もあった。
グリフはふわりとジャンプしたかと思うと、まるでリズムを取るように岩と岩を足を滑らす事もなく着地し、そしてまたふわりとジャンプする。
今では4、5メートルほど下に降りていた。タカオは岩にしがみつきながら慎重に降りて行く。
ウェンディーネは近いのかもしれない。地面は泥のように水気があり、こんな場所では足を滑らせて転びそうだった。
岩の階段を半分ほど降りた時、イズナはタカオの頭上から一気に飛び降りていた。タカオは自分の事も忘れてイズナの降りた先を見守った。
イズナは音もなく着地する。それから真っ青な顔でイズナを見ているタカオを不思議そうに見つめ返した。時間をかけて岩から降りたタカオは息を切らせながらイズナに言った。
「心臓に悪いから……危ない事はやめなさい!飛び降り禁止!」
タカオはふるふると震えながら、自分に子供がいて、それがもし女の子だったら何かある度に生きた心地がしないだろうと思っていた。子供はなんて無邪気に無茶な事にチャレンジするのだろう。 その時は本気でそう思っていた。
ジェフは不思議そうに自分の果実と他の果実を見比べた。タカオの果実はもう跡形もないので、イズナとグリフの間を行ったり来たりしていた。
「見た目は一緒なのに」
不味い果実はどれも一緒だったけれど、ジェフは匂いを嗅いだり指で押してみたりして検証していた。
「人間だから……味覚が違うのかも」
イズナのその発言に何故があっさりとジェフは納得した。
「なるほど!タカオは人間なんだもんね!人間て、なんでも食べれるんだね」
そう言うと後は諦めて最後まで果実を食べた。グリフはそれについて何も言わなかった。タカオは微かにショックを受けていた。
タカオは気分を変えるように立ち上がると本来の目的を思い出した。
――ウェンディーネを探さなきゃ。
そして、無表情で桃を食べるグリフに話しかける。
「グリフ、この水筋はウェンディーネに続いていると思う」
桃を食べながら、グリフはすでに水筋の先を見つめていた。
「ああ、行ってみよう」
そう言って先に歩き出した。ジェフとイズナは急いで口の中に果実を放り込み、慌てて荷物を背負った。
「ね!ね!なんか変わった?僕の背伸びた?」
ジェフは目をキラキラとさせ、飛び跳ねながら全員に聞いて回った。
「身長か?変わりないと思うけど」
タカオはつい、正直に答えてしまった。ジェフは残念そうに肩を落とした。
「やっぱり、あれは偽物だったんだ……だから不味かったんだ」
ジェフの期待はあまりにも大きかったようで、その分ショックも大きかった。ジェフはふてくされた顔で、走って先に行ってしまった。今ではグリフもイズナも追い越し、一人で小さな大股で歩いている。
タカオは追いかけようとジェフの名を呼んだけれど、振り返る事はなかった。
「放っておけ」
グリフは冷たく言うと、それでも追いかけようとするタカオを腕で止めた。
「聞きたいことがある」
グリフはタカオに鋭い視線を放った。
ジェフはタカオ達と一定の間隔をあけて歩いている。ジェフ自身は大きな荷物に隠れていたけれど、小さな足がしっかりと地面を捉え水の道筋を追っていた。見える所にいればまだ大丈夫だろうとタカオは思った。
「聞きたい事って?」
タカオがそう言うと、グリフは腕を離した。
「ウェンディーネの名をどこで聞いたんだ?俺は"水の精霊"としか言ってない」
グリフは歩きながらそう言い、岩でできた階段を軽く降りて行く。階段といってもそれは苔だらけで、段差はタカオの身長と同じくらいのものが3段もあった。
グリフはふわりとジャンプしたかと思うと、まるでリズムを取るように岩と岩を足を滑らす事もなく着地し、そしてまたふわりとジャンプする。
今では4、5メートルほど下に降りていた。タカオは岩にしがみつきながら慎重に降りて行く。
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