魔滅の戦士

やましゅん

剣技

來央との会話が一切無いまま夜を明かし、目的地へと着いた天音は來央のしょぼくれた背中を見送った。そして、目の前の目的地である小屋の扉をノックする。すると、「はーい!」という返事とともに、仮面を付けた小さな女が出てきた。「訓練士の天音です。育成士さんはどちらにいらっしゃりますか?」おそらくこの女児の保護者が育成士なのだろう。と思いそう尋ねた。「我だ。」仮面を付けた女児はそう言った。「貴様、見た目で判断するのは良くないぞ!」怒られた。「すみません...」取り敢えず謝っておくことにした。「まあよい、中に入れ。」部屋の中へと招き入れられた天音はまず、「悪魔について詳しいことを聞かせてください。」と、來央から聞けたけど聞こうとしなかった質問をした。「悪魔に対する知識は剣技よりも重要だからのぅ、よし、ここに座れ。」指定された場所に座ると、話が始まった。


悪魔にも、階級がある。雑魚悪魔には階級はないが、特殊能力を持つ悪魔には階級が与えられる。幽、破、災。これが悪魔の階級であり、いずれも恐ろしいほどの強さを誇る。特殊能力を持つには一つ条件がある。知能を持っていること。人を喰えば喰うほど脳が成長していき、特殊能力が発現する。階級破、災の悪魔は、確認されているが、討伐までには至っていない。確認されたのは、何年も前の話だ。


「悪魔に関する説明はこんなところかのぅ。最後に、お前は家族や友人が悪魔になった時に、躊躇せず殺せる覚悟はあるか?」躊躇するだろう。だが、その甘さは戦場では命取りになる。覚悟を決めなければ、死ぬ。「あります。」そう言うと、少女は立ち上がり、家を出た。「では鍛錬を始めよう。手本を見せるからそこで見ておけ。」少女は剣を鞘から抜き出し、構える。「まずは初歩中の初歩。悪魔の弱点を貫く技じゃ。これが出来なければ話にならん。」少女は目の前にある悪魔の形を模した人形の心臓を勢いよく貫いた。恐ろしい速さで。「そして次。悪魔に知能があった場合に、弱点を守ろうとした時の技。」悪魔の人形の腕を切り落とした。これもまた、恐ろしい速さで。「この程度のスピードでは、能力持ちには勝てん。勝てるかどうかはお前の技量しだいじゃ。技の基本はここまでかのぅ。取り敢えずやってみろ。」と言うと少女は新しい人形を持ってきて、木にくくりつけた。見たことをやるだけなら、とても簡単だ。問題はどうやってあのスピードを出すのか。考えても仕方がない。やってみよう。天音の剣は人形の心臓を貫いた。「やはりまだ体が仕上がっとらんかぁ。いくら剣の才能があっても、体がこれじゃあのう...よし!これから毎日筋トレじゃ!」天音はまだ知らない。この少女の言う筋トレがどれほど恐ろしい物かを。

コメント

コメントを書く

「戦記」の人気作品

書籍化作品