オタク気質が災いしてお妃候補になりました
2-5 創作の一歩
父に言われたとおり、日常でやるべきことはちゃんとこなし、そのほかの時間に絵本のもととになるシーンを考えることなった。
色々考えてみるも、400年前のことはわからないことは多い。
例えば前世だったら西暦2000年だとしたら400年前といえば1600年の時代。1600年といえば確か関ヶ原の戦いがあったはずだ。つまり江戸幕府をひらいた徳川家康が天下分け目の戦をしたのだ。前世でも400年前のことなど教科書にそれらしい肖像はあったものの、それが真に本当かはわからない。当時とてもイケメンだったという記述があったとしても、その当時のイケメンが現代と同じ美的感覚かどうかも怪しいものだ。
中庭のサンパウロの像は、とても凜々しく筋肉があり英雄として立派な風貌だ。一緒にある妻らしい像も実は本当に妻かもわからないのだ。サンパウロには諸説あって、一生涯独身だったという説もどうやらあるらしいのだ。ではアリーシアたち子孫がなぜいるのかというと、サンパウロが兄弟の子どもを養子にとったことも考えられるそうだ。
それをいったらサンパウロが本当に男性だったかもわからない。
例えば、前世で言う上杉謙信も女性だった説もあったようだ。それは研究で残っている資料・書物などから、その根拠が色々考えられ研究されたからわかってきたことである。しかしアリーシアがいる世界では歴史を研究している人も多くはないようだ。
あくまでわかってるのは建国の功績として、侯爵の爵位があること。そしてアリーシアたちがサンパウロの家系の子孫であることは間違いないのでは?という程度である。だからアリーシアは考えてはみるものの、サンパウロ様の本当の生き様などわからないのだ。
でも――――とアリーシアは考えた。
これだけの時代を経ても、語り継がれるということは、それだけ人々を魅了し続けるエピソードなのだと思う。
現にアリーシアもサンパウロ様が空想の中で何度も自分を勇気づけてくれたし、兄もサンパウロ様を語るときは生き生きしている。勇気を与えてくれる存在。それこそ今の世でも英雄なのではと思った。だから弟には知ってほしい。
アリーシアは自分が想像するサンパウロ様を描くことにした。サンパウロ様は、父のようなたくましさがあったと思う。だから筋肉があって肉体派、でも兄のように理知的なところがあったと思う。だってあれだけの人を仲間にして、建国まで支えた人。きっと聡明であったに違いない。そうすると顔はもちろんイケメン。剣ももちろん強くて、紳士であって。
アリーシアは妄想が進んでくると、スーパーマンのようなサンパウロ様が浮かんできた。
「でもこんなスーパーマンなのに、王を支えるため頑張るなんて健気な面もあるのね。王はどんな感じなのかしら。もちろん公爵のエンドリク様みたいにイケメンであることは間違いないわ」
王は少し頼りないけれど、サンパウロ様の活躍とともに自分も成長していくために頑張るのだ。
「王はサンパウロ様に少しコンプレックスがある設定も萌えるわ。サンパウロには負けない!!みたいな男同士のプライドがぶつかるのも素敵ね!そんな様子をサンパウロ様は父性のような寛容な気持ちで見守るのよ」
ああ、とっても楽しい。
「そう、サンパウロ様は完全無敵なのだけれど……例えば王を守るために無理難題を強いる相手にも、王にもその苦労を告げず頑張るの。王への献身はサンパウロ様の英雄話には欠かせないわ。そうすると四貴族はどんな感じだったのかしら? 」
四貴族のそれぞれの特徴が考えてみることにする。
北の貴族は、肌色が白く、髪の毛も銀髪だったら素敵。
武器はフルーレみたいな細い剣などで戦うのも素敵だわ。
南の貴族は、肌色が黒く、髪の毛も黒いの。
ジャンみたいな感じの人かもしれない。
アポロへの贈り物が黄金の剣だったから、きっと大きな剣をもって戦うのだわ。
西の貴族は、肌色は普通、髪の毛の色はこの際青色にしよう。
工芸が盛んで栄えている地域だから、盾をもち弓で戦い、主にサポート役がいいわ。
商いが得意で交渉ごとが得意なタイプ。
東の貴族は、前世でいうと東洋風なイメージ。肌色は黄色、髪の毛は黒。
音楽が得意で楽器を奏でる神秘的なイメージで、身軽でお侍さんみたいな切れ味の鋭い剣を持っているんだわ。
そういった固定的なイメージをアリーシアは考えた。
イメージを簡単にメモにまとめてみた。そしてイメージしたシーンの構図を考えた。アリーシアはそれほど画力もないため、棒人間が動いている程度にしか書けない。だからつたない文字で「このシーンはこういう設定があります」と絵の横に書き加えた。
空き時間で取り組んだことだったので、時間は一ヶ月くらいかかってしまった。できあがったときは達成感があった。うまく自分のイメージがピエールに伝わるといいなと思いながら、描いた紙とともにお礼のお手紙もピエールに書いた。
言付けを受けてくれる下働きの少年は、絵がうまくないアリーシアに対しても親切で、アリーシアの話を細かいところまでよく聞いてくれた。年齢は15歳くらいだと思う。くれぐれもよろしくお願いしますと頼んで、ピエールがどんな風にしてくれるのか楽しみな日々を過ごすことになった。
色々考えてみるも、400年前のことはわからないことは多い。
例えば前世だったら西暦2000年だとしたら400年前といえば1600年の時代。1600年といえば確か関ヶ原の戦いがあったはずだ。つまり江戸幕府をひらいた徳川家康が天下分け目の戦をしたのだ。前世でも400年前のことなど教科書にそれらしい肖像はあったものの、それが真に本当かはわからない。当時とてもイケメンだったという記述があったとしても、その当時のイケメンが現代と同じ美的感覚かどうかも怪しいものだ。
中庭のサンパウロの像は、とても凜々しく筋肉があり英雄として立派な風貌だ。一緒にある妻らしい像も実は本当に妻かもわからないのだ。サンパウロには諸説あって、一生涯独身だったという説もどうやらあるらしいのだ。ではアリーシアたち子孫がなぜいるのかというと、サンパウロが兄弟の子どもを養子にとったことも考えられるそうだ。
それをいったらサンパウロが本当に男性だったかもわからない。
例えば、前世で言う上杉謙信も女性だった説もあったようだ。それは研究で残っている資料・書物などから、その根拠が色々考えられ研究されたからわかってきたことである。しかしアリーシアがいる世界では歴史を研究している人も多くはないようだ。
あくまでわかってるのは建国の功績として、侯爵の爵位があること。そしてアリーシアたちがサンパウロの家系の子孫であることは間違いないのでは?という程度である。だからアリーシアは考えてはみるものの、サンパウロ様の本当の生き様などわからないのだ。
でも――――とアリーシアは考えた。
これだけの時代を経ても、語り継がれるということは、それだけ人々を魅了し続けるエピソードなのだと思う。
現にアリーシアもサンパウロ様が空想の中で何度も自分を勇気づけてくれたし、兄もサンパウロ様を語るときは生き生きしている。勇気を与えてくれる存在。それこそ今の世でも英雄なのではと思った。だから弟には知ってほしい。
アリーシアは自分が想像するサンパウロ様を描くことにした。サンパウロ様は、父のようなたくましさがあったと思う。だから筋肉があって肉体派、でも兄のように理知的なところがあったと思う。だってあれだけの人を仲間にして、建国まで支えた人。きっと聡明であったに違いない。そうすると顔はもちろんイケメン。剣ももちろん強くて、紳士であって。
アリーシアは妄想が進んでくると、スーパーマンのようなサンパウロ様が浮かんできた。
「でもこんなスーパーマンなのに、王を支えるため頑張るなんて健気な面もあるのね。王はどんな感じなのかしら。もちろん公爵のエンドリク様みたいにイケメンであることは間違いないわ」
王は少し頼りないけれど、サンパウロ様の活躍とともに自分も成長していくために頑張るのだ。
「王はサンパウロ様に少しコンプレックスがある設定も萌えるわ。サンパウロには負けない!!みたいな男同士のプライドがぶつかるのも素敵ね!そんな様子をサンパウロ様は父性のような寛容な気持ちで見守るのよ」
ああ、とっても楽しい。
「そう、サンパウロ様は完全無敵なのだけれど……例えば王を守るために無理難題を強いる相手にも、王にもその苦労を告げず頑張るの。王への献身はサンパウロ様の英雄話には欠かせないわ。そうすると四貴族はどんな感じだったのかしら? 」
四貴族のそれぞれの特徴が考えてみることにする。
北の貴族は、肌色が白く、髪の毛も銀髪だったら素敵。
武器はフルーレみたいな細い剣などで戦うのも素敵だわ。
南の貴族は、肌色が黒く、髪の毛も黒いの。
ジャンみたいな感じの人かもしれない。
アポロへの贈り物が黄金の剣だったから、きっと大きな剣をもって戦うのだわ。
西の貴族は、肌色は普通、髪の毛の色はこの際青色にしよう。
工芸が盛んで栄えている地域だから、盾をもち弓で戦い、主にサポート役がいいわ。
商いが得意で交渉ごとが得意なタイプ。
東の貴族は、前世でいうと東洋風なイメージ。肌色は黄色、髪の毛は黒。
音楽が得意で楽器を奏でる神秘的なイメージで、身軽でお侍さんみたいな切れ味の鋭い剣を持っているんだわ。
そういった固定的なイメージをアリーシアは考えた。
イメージを簡単にメモにまとめてみた。そしてイメージしたシーンの構図を考えた。アリーシアはそれほど画力もないため、棒人間が動いている程度にしか書けない。だからつたない文字で「このシーンはこういう設定があります」と絵の横に書き加えた。
空き時間で取り組んだことだったので、時間は一ヶ月くらいかかってしまった。できあがったときは達成感があった。うまく自分のイメージがピエールに伝わるといいなと思いながら、描いた紙とともにお礼のお手紙もピエールに書いた。
言付けを受けてくれる下働きの少年は、絵がうまくないアリーシアに対しても親切で、アリーシアの話を細かいところまでよく聞いてくれた。年齢は15歳くらいだと思う。くれぐれもよろしくお願いしますと頼んで、ピエールがどんな風にしてくれるのか楽しみな日々を過ごすことになった。
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