神眼の転生者
第13話「同行者」
「ああ、有意義な1日だった」
取っていた部屋に帰り、ベッドに倒れ込みながら俺は呟いた。とても濃い一日だったと思う。
まずはリオン、突如目の前に現れた大虎に少しだけ驚いた。虎が女の子になった時はもっと驚いたが。
そのリオンといえば今は湯浴みをしてるらしい、というか普通にシャワールームだったが。
「詳しい事情もある程度話してもらわなきゃな」
そして、銃。最高だったよまったく!
「ああ、早く撃ちたい」
そういえば都市の入口の兵士が言っていた零世代の銃ってのはどんなもんなんだろうか、やっぱりプロトタイプが強いのはファンタジーのお約束か。試作品のくせにな。
プロトタイプと言えば、某大作RPGのカードゲームに出てくる殺戮機械のプロトタイプは自爆がウリだったな、懐かしい。
「何はともあれ、リオンを待つか……」
「ただいま上がりました……マコトさん?……寝てる」
私がシャワー室から出て部屋に戻ると、椅子に体を預けるようにマコトさんが眠っていた。日中は元気が溢れてたけど、はりきり過ぎて疲れてしまったのだろう。
私は無防備に寝姿を晒すマコトさんに忍び寄り、顔を覗き込みます。出会った時にしていた口布を下ろしているから、顔がちゃんと見える。灰色の髪、今は閉じられているけど鋭いながらも優しさを感じる赤の瞳、スッと通った鼻、歳は知らないけど顔だけ見るととても幼い、15の自分と同じぐらいに見える。
ただ、その雰囲気だけが今の自分にはとても大人に感じた。歳も私よりは上なんだろう、なんとなくそう思っている。
そして……
「……とても、強い」
この都市に入る時にもひと騒ぎあったけど、あの十数秒に満たない戦い、戦いというのもおこがましいだろう圧倒的な制圧。
目にも止まらぬ速さで飛んでくる鉄の塊を短剣で的確に弾き、さらに元来た場所に打ち返すまでの芸当をして見せたあの刹那に私は惚れ込んでしまった。
マコトさんは私のことを女に対する目では見てないだろう、どちらかと言うと妹に対するような扱い方だ。
でも、それでも。
選ばれたいと思ってしまった。
だからこれは、そう。
一つの誓い。
私はマコトさんの頬に顔を寄せ静かに口づけをした。
「…………」
その行為を知る者はリオン本人と、ウィズだけだった。
「……さん……マ……さん……」
どこかから声が聞こえる、一体なんだろうか。
「マコトさん、そろそろ起きてください」
自分の名前を呼ぶ声に導かれるように、俺の意識は浮上を始めた。
「……あぁ、リオンか…どうした?」
「20時です、この時間になったら、夕飯を食べるって言ってたので起こしたんですけど……」
段々と意識が覚醒してくる、寝覚めは悪い方ではない。
そうだ……
「ごめん、寝ちゃってたのか。悪いな」
「い、いえ、そんな、大丈夫です」
少し慌てたように答えるリオン、こころなしか顔が赤い。熱でもあるのだろうか。
神眼でステータスの状態異常を覗くが、特に問題は無いようだ。まだ緊張してるのかな?
「まあいいや、それじゃあとりあえず……」
夕飯を食べに行くことにした。
「ごちそうさまでした」
「?……えっと、ごちそうさまでした」
俺が手を合わせ食後の儀式をすると、それを見たリオンが真似をしていた。かわいらしいね、うん。
「しかし、外にも全然出てないらしいからどんな食事の国なんだろうと思ったら、案外ちゃんとしてるんだな」
「はい、おいしかったです」
今日の夕飯はアリアのレストランで食べた。文明レベル自体はかなり高いようで機械技術はもちろん、食生活も王都と変わらないくらいにはしっかりしていた。食レポは趣味じゃないから細かいことは言わないが。
俺とリオンは宿の部屋に戻ってきた。今後について少し話をしておきたかった。
「それじゃあ……リオンは今後どうしたいか、自分の考えを聞こうかな」
部屋に戻ってひと段落ついた所で俺は切り出した。俺の言葉にリオンはあらかじめ考えていたのであろう、ゆっくりとだが答えてくれた。
「私はマコトさんと一緒に行動したいと思っています。マコトさんがいいと言ってくれればの話ですが。暴走していた私を助けてくれてその上ここまで面倒を見てもらった事に感謝しています、その恩を返したいです」
「なるほど、俺に着いてくること自体はいいよ。だけど危険だと思う。俺は勇者達をどうにかして戦争を止めなければならない、その為には数多くの危険を乗り越えなければならないんだ。きっと厳しい旅になる、それでも……いいのか?絶対に守り切れるとは保証できない」
「それでも、です。私だってそれなりに力はあります、何かしら役に立てると思います。だから、お願いします。私を連れてってください」
そう言い、リオンは俺に頭を下げた。リオンにも俺がしようとしてる事と、それに付随する危険性は理解出来ているはずだ。その上で行動を共にしたいと言うのなら俺に拒否する意志はない。
「……わかったよ、これからよろしくな、リオン」
「はい、マコトさん。ありがとうございます」
こうして俺の旅に同行者が加わった。
取っていた部屋に帰り、ベッドに倒れ込みながら俺は呟いた。とても濃い一日だったと思う。
まずはリオン、突如目の前に現れた大虎に少しだけ驚いた。虎が女の子になった時はもっと驚いたが。
そのリオンといえば今は湯浴みをしてるらしい、というか普通にシャワールームだったが。
「詳しい事情もある程度話してもらわなきゃな」
そして、銃。最高だったよまったく!
「ああ、早く撃ちたい」
そういえば都市の入口の兵士が言っていた零世代の銃ってのはどんなもんなんだろうか、やっぱりプロトタイプが強いのはファンタジーのお約束か。試作品のくせにな。
プロトタイプと言えば、某大作RPGのカードゲームに出てくる殺戮機械のプロトタイプは自爆がウリだったな、懐かしい。
「何はともあれ、リオンを待つか……」
「ただいま上がりました……マコトさん?……寝てる」
私がシャワー室から出て部屋に戻ると、椅子に体を預けるようにマコトさんが眠っていた。日中は元気が溢れてたけど、はりきり過ぎて疲れてしまったのだろう。
私は無防備に寝姿を晒すマコトさんに忍び寄り、顔を覗き込みます。出会った時にしていた口布を下ろしているから、顔がちゃんと見える。灰色の髪、今は閉じられているけど鋭いながらも優しさを感じる赤の瞳、スッと通った鼻、歳は知らないけど顔だけ見るととても幼い、15の自分と同じぐらいに見える。
ただ、その雰囲気だけが今の自分にはとても大人に感じた。歳も私よりは上なんだろう、なんとなくそう思っている。
そして……
「……とても、強い」
この都市に入る時にもひと騒ぎあったけど、あの十数秒に満たない戦い、戦いというのもおこがましいだろう圧倒的な制圧。
目にも止まらぬ速さで飛んでくる鉄の塊を短剣で的確に弾き、さらに元来た場所に打ち返すまでの芸当をして見せたあの刹那に私は惚れ込んでしまった。
マコトさんは私のことを女に対する目では見てないだろう、どちらかと言うと妹に対するような扱い方だ。
でも、それでも。
選ばれたいと思ってしまった。
だからこれは、そう。
一つの誓い。
私はマコトさんの頬に顔を寄せ静かに口づけをした。
「…………」
その行為を知る者はリオン本人と、ウィズだけだった。
「……さん……マ……さん……」
どこかから声が聞こえる、一体なんだろうか。
「マコトさん、そろそろ起きてください」
自分の名前を呼ぶ声に導かれるように、俺の意識は浮上を始めた。
「……あぁ、リオンか…どうした?」
「20時です、この時間になったら、夕飯を食べるって言ってたので起こしたんですけど……」
段々と意識が覚醒してくる、寝覚めは悪い方ではない。
そうだ……
「ごめん、寝ちゃってたのか。悪いな」
「い、いえ、そんな、大丈夫です」
少し慌てたように答えるリオン、こころなしか顔が赤い。熱でもあるのだろうか。
神眼でステータスの状態異常を覗くが、特に問題は無いようだ。まだ緊張してるのかな?
「まあいいや、それじゃあとりあえず……」
夕飯を食べに行くことにした。
「ごちそうさまでした」
「?……えっと、ごちそうさまでした」
俺が手を合わせ食後の儀式をすると、それを見たリオンが真似をしていた。かわいらしいね、うん。
「しかし、外にも全然出てないらしいからどんな食事の国なんだろうと思ったら、案外ちゃんとしてるんだな」
「はい、おいしかったです」
今日の夕飯はアリアのレストランで食べた。文明レベル自体はかなり高いようで機械技術はもちろん、食生活も王都と変わらないくらいにはしっかりしていた。食レポは趣味じゃないから細かいことは言わないが。
俺とリオンは宿の部屋に戻ってきた。今後について少し話をしておきたかった。
「それじゃあ……リオンは今後どうしたいか、自分の考えを聞こうかな」
部屋に戻ってひと段落ついた所で俺は切り出した。俺の言葉にリオンはあらかじめ考えていたのであろう、ゆっくりとだが答えてくれた。
「私はマコトさんと一緒に行動したいと思っています。マコトさんがいいと言ってくれればの話ですが。暴走していた私を助けてくれてその上ここまで面倒を見てもらった事に感謝しています、その恩を返したいです」
「なるほど、俺に着いてくること自体はいいよ。だけど危険だと思う。俺は勇者達をどうにかして戦争を止めなければならない、その為には数多くの危険を乗り越えなければならないんだ。きっと厳しい旅になる、それでも……いいのか?絶対に守り切れるとは保証できない」
「それでも、です。私だってそれなりに力はあります、何かしら役に立てると思います。だから、お願いします。私を連れてってください」
そう言い、リオンは俺に頭を下げた。リオンにも俺がしようとしてる事と、それに付随する危険性は理解出来ているはずだ。その上で行動を共にしたいと言うのなら俺に拒否する意志はない。
「……わかったよ、これからよろしくな、リオン」
「はい、マコトさん。ありがとうございます」
こうして俺の旅に同行者が加わった。
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